レオン・ラッセルのラスト・レコーデイング作品が配信。エルトン・ジョン、カーペンターズも惚れた伝説的シンガーソングライターの足跡を振り返る
2016年11月13日に74歳で亡くなったシンガーソングライター、レオン・ラッセル。「ア・ソング・フォー・ユー」「デルタ・レディ」などのヒット曲で知られ、かのエルトン・ジョンやカーペンターズもその才能を慕った偉大なるミュージシャンの足跡を振り返ります。
NEW RELEASE
レオン・ラッセル『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』
(原題:『On A Distant Shore』)
※マークのある作品はハイレゾ音源(高音質音源、Hi-Res)商品です。
レオン・ラッセルは1960年代に、スタジオミュージシャンとしてキャリアをスタート。音楽プロデューサー、フィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」(音の壁)と呼ばれた厚みのある音のオーケストラの一員として活躍する他、ビーチ・ボーイズのアルバム『ペット・サウンズ』のレコーディングにも参加しました。また、ベンチャーズの「10番街の殺人」やアニマルズの「朝日のあたる家」の印象的なオルガンや、バーズ、ローリング・ストーンズなど、数多くのミュージシャンのバックでも演奏。イングランドの歌手ジョー・コッカーのライブアルバム『マッド・ドッグス・アンド・イングリッシュメン』のプロデュースも担当し、同作に収録された楽曲「スーパースター」(作詞・作曲はレオン・ラッセルとボニー・ブラムレットの共作)は、のちにカーペンターズがカヴァーし世界的な大ヒット曲となりました。
ジョー・コッカー『マッド・ドッグス・アンド・イングリッシュメン』
カーペンターズ『シングルズ 1969-1981』
「Superstar」も収録
ソロアーティストとしては、1970年にソロアルバム『レオン・ラッセル』を発表。すでにスタジオミュージシャンとしての長いキャリアを備えていた彼は、処女作にしてカントリー、ソウル、ブルース、ジャズ、ゴスペル、ポップスなどさまざまな音楽のジャンルを融合させた独特のスタイルを確立していました。アルバムの冒頭を飾る楽曲「ア・ソング・フォー・ユー」は、カーペンターズ、レイ・チャールズ、ダニー・ハサウェイ、アレサ・フランクリン、ハービー・ハンコック、ホイットニー・ヒューストンら数多くのミュージシャンにカバーされ、愛されています。ジョージ・ベンソンがカヴァーして1977年のグラミー賞で最優秀レコード賞を受賞した「マスカレード」も彼の作品です(原曲は、1972年作の3rdアルバム『カーニー』に収録)。
1stアルバム
『レオン・ラッセル』
3rdアルバム
『カーニー』
2010年には「ピアノ・プレイヤー、シンガー・ソングライターとして最も影響を受けた」と彼の才能を称賛するエルトン・ジョンと共作でアルバム『ザ・ユニオン』を発表。また、2011年にはレコーディングやコンサートのスタッフを表彰する「サイドマン部門」でロックの殿堂入りも果たしました。晩年は複数の健康問題を抱えつつも精力的に活動し、人生最後の年となった2016年を費やして制作されたのが今作『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』になります。
エルトン・ジョンとの共作
『ザ・ユニオン』
他界から10ヶ月後にリリースされる『ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で』は、アメリカのスタンダード・ナンバーの不朽のサウンドに影響された新曲に加え、ツアーで磨き上げた「ハミングバード」や「ア・ソング・フォー・ユー」「マスカレード」の最新アレンジも収録。フランク・シナトラ、ナット・キング・コール、トニー・ベネットらの歴史に残る作品を参考に、レオンは今作を「不朽のメロディーに根ざした」ものにしようとしたのだといいます。共同プロデューサーのマーク・ランバートとオーケストラ・アレンジャーのラリー・ホールと共に、自身のキャリア史上もっとも壮大なサウンドに仕上げました。
~若かりし日のライヴ映像がこちら~