レジェンド復活で話題! シューゲイザーバンド特集

Jesus & Mary Chain、Ride、Slowdiveといった大御所がこぞって復活作をリリースしたことでにわかに活気づく音楽ジャンル「シューゲイザー」。
……と言われても、そもそも「シューゲイザー」って何?という方も多いかもしれません。

 

シューゲイザーとは?

シューゲイザー(Shoegazer)は、ロックミュージックのスタイルの1つ。英語では正確にはシューゲイジング (Shoegazing)またはシューゲイズ (Shoegaze)と表現する。言葉の由来は諸説あるが、有力視されているのは90年初頭にイギリスの音楽誌『サウンズ』に掲載された、ムースという当時まだ新人だったバンドのライヴ・レポートだったという説。ヴォーカルのラッセル・イェイツが、ステージの床に貼ってあった歌詞を見ながら歌っている様子を、音楽ライターが半ば嘲笑気味に〈靴(シュー)を凝視(ゲイズ)する人〉と表現したのがきっかけと言われている。

(参考:Mikiki「黒田隆憲のシューゲイザー講座:第1回」

 

音楽的な特徴としては、エフェクターによって過剰に歪ませたギターサウンドを、大音量でかき鳴らす「轟音」。また、どこかポップで酩酊感のあるメロディや、ささやくようなウィスパーボイスによる歌唱も特徴で、特にこちらの側面を継承したものが「ドリーム・ポップ」と称されることもあります。90年代初頭という時代の空気にシンクロした、内省的で文学的なたたずまいも印象的でした。

 

今回は先述した3バンドに加え、主なシューゲイザーバンドを一挙に紹介します。

 

 

Jesus and Mary Chain

スコットランド・イーストキルブライド出身のロック・バンド。通称は“ジザメリ”。ウィリアムとジムのリード兄弟を中心に1983年に結成。翌年にデビューし、扇動的・挑発的なライヴで注目を浴びる。85年の『サイコキャンディ』から98年の『マンキ』までアルバム6枚を発表。パンク、ノイズ、ポップを融合したサウンドは、シューゲイザーそのものというよりは、その「ルーツ」として位置付けられることが多い。99年より解散状態が続いたが、2007年に再始動。2017年には19年ぶりとなるアルバム『ダメージ・アンド・ジョイ』をリリースした。

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Ride

マーク・ガードナー(vo)、アンディ・ベル(g)を中心に英オックスフォードで結成された4人組シューゲイザー・バンド。90年に『ノーホエア』でデビューを果たすと、クリエイション・レーベルの同僚マイ・ブラッディ・ヴァレンタインらとともに次代を担うバンドとして話題に。『ゴーイング・ブランク・アゲイン』など何枚かの作品を発表するも、96年に解散。後にアンディ・ベルはオアシスのベーシストとなる。2017年に21年ぶりのニューアルバム『ウェザー・ダイアリーズ』をリリース。8月にはHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERにて来日アクトが決定している。

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Slowdive

1989年にニール・ハルステッド(vo,g)とレイチェル・ゴスウェル(vo,g)を中心に結成。91年に『ジャスト・フォー・ア・デイ』でアルバム・デビュー。先述のライド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインと並び「シューゲイザー御三家」と称される。アルバム3枚を残して95年に解散。ソロ活動などを経て、2014年にニール、レイチェル、ニック・チャップリン(b)、クリスチャン・セイヴィル(g)、サイモン・スコット(ds)の5人組として再始動。2017年に約22年ぶりとなるセルフタイトル・アルバム『スロウダイヴ』をリリース。

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My Bloody Valentine

Loveless/MY BLOODY VALENTINE

1984年、アイルランド・ダブリンで結成。愛称は“マイブラ”。ノイジーなギター・サウンドと甘く気だるい男女ヴォーカルに加え、ディストーションによって構築された幻想的なサウンドは、今なお「シューゲイザー」のアイコンとして語り継がれている。91年の『ラヴレス』は代名詞的作品。その後の沈黙期間を経て、2008年にロンドンやフジロックのライヴで復活。2013年には約22年ぶりのアルバムを発表した。

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Chapterhouse

Whirlpool (Expanded Edition)/Chapterhouse

1987年にイングランドのレディングにて、共にボーカルとギターのアンドリュー・シェリフとスティーヴン・パットマンを中心に結成。1stアルバム『ワールプール』こそ典型的なシューゲイザー・サウンドの枠に収まる作品だが、セカンドアルバム『ブラッド・ミュージック』ではドラムの脱退も手伝って、大胆にエレクトロサウンドを導入。“御三家”にはないサウンドの変遷を見せたことでファンも多い。

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School of Seven Bells

SVIIB/School of Seven Bells

2007年、レハンドラ・デヘサとクラウディア・デヘサの双子姉妹にベンジャミン・カーティスを加えた3人組のユニットとしてスタート。2010年にクラウディアが脱退し、その後ベンジャミンも病のため他界。遺された音源を元にレハンドラがラストアルバム『SVIIB』を完成させた。ユニットという形式上打ち込み主体の音楽性であるが、それゆえに現代性をもってシューゲイザーのエッセンスを伝えてくれる。

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Cigarettes After Sex

Cigarettes After Sex/Cigarettes After Sex

RideとともにHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERでの来日アクトが決定している、近年急速に注目を集めるドリーム・ポップ・バンド。08年、フロントマンのグレッグ・ゴンザレスを中心に米テキサスはエル・パッソにて結成。現在はNYはブルックリンを拠点に活動。その気怠く甘いメロディとボーカリゼーションは確かにシューゲイザーの遺伝子を受け継ぐ。

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Coaltar Of The Deepers

The Breastroke - The Best of Coaltar of the Deepers/Coaltar Of The Deepers

近年ではアニメ劇伴の世界での活躍も目立つコンポーザー/ギタリスト・NARASAKIがフロントマンを務めるバンド。ハードコアやメタルをルーツに持つスピーディかつテクニカルな演奏が持ち味。日本において独自進化したシューゲイザーのひとつの形といえよう。

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Plastic Tree

剥製/Plastic Tree

一般には「ヴィジュアル系」として認知されているバンドだが、サウンド的には確かにシューゲイザーを受け継いでいる。ハイトーンのウィスパーボイスはV系とシューゲイザーに共通のアイコン。まずはアルバムを一枚聴いてみればこの並びの中に彼らがいる理由がわかるはずだ。

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ART-SCHOOL

Hello darkness, my dear friend/ART-SCHOOL

フロントマン・木下理樹の偏愛する洋楽・洋画からの引用に満ちた歌詞、退廃的な世界観が熱い固定ファンを持つ日本を代表するオルタナティヴ・ロックバンド。木下は2010年に発刊された書籍『シューゲイザー・ディスク・ガイド』にも帯文を寄せるなど、同ジャンルへの深い愛着を示している。

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THE NOVEMBERS

Hallelujah/THE NOVEMBERS

独特の美意識を持った活動が音楽界以外からも注目を集めるオルタナティヴ・ロックバンド。ライブでの「轟音」には定評があり、ルーツとして公言されるザ・キュアーなどのポストパンク/ニューウェイヴのバンドとともにシューゲイザーも彼らの美意識を形作っている。

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きのこ帝国

愛のゆくえ/きのこ帝国

女性ボーカル・佐藤千亜妃が率いる上記2バンドの次に続く世代のオルタナティヴ・ロックバンド。2015年にメジャーデビューし「歌もの」路線へ舵を切ったかに見えたが、2016年のアルバム『愛のゆくえ』で「轟音」を解禁。日本を代表するエンジニア・zAkによるサウンドプロダクションも冴える名盤だ。

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その他のシューゲイザー(と括られることもある)バンド ※洋・邦別にA-Z順

 

【洋楽】

【邦楽】