宇多田ヒカルを再発見したハイレゾ試聴会

●繊細で生々しい高音質が、宇多田ヒカルの新たな魅力を引き出した。

宇多田ヒカルのベスト盤『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』と『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』のハイレゾが配信される。
24bit/96kHzのWAVファイルでのリリースだ。

さっそく都内某所でおこなわれたハイレゾ試聴会にかけつけた。宇多田ヒカルといえば、デビュー時のショックが今も忘れられない。
その後も日本の音楽界をリードしてきた楽曲の数々を思い浮かべると、ハイレゾでどんな音に聴こえるか一刻も早く聴きたい。
そう思ったのはもちろん僕だけではなかった。会場では1時間以上も前から沢山のファンが席を埋めていた。

ステージにはプロデューサーの三宅彰氏、ディレクターの沖田英宣氏、録音エンジニアの松井敦史氏、小森雅仁氏という、宇多田ヒカルにもっとも近かったスタッフが登場。
4氏ならではの秘蔵トークを交えながら、ハイレゾを聴くという趣向だ。

そのハイレゾであるが、三宅氏が選んだ「traveling」が場内に流れるやハッとさせられた。会場はクラブのような広さなのだから、いくらハイレゾと言えども完璧なリスニングは無理かなと思っていたのだが、聴こえてきたのは実に繊細な音だった。沖田氏推薦の「FINAL DISTANCE」は音の粒子が見える感じ。
まさに「ハイレゾはCDの3倍以上の細かさ」という体験だ。エンジニアの松井氏オススメの「Beautiful World」には、滑らかな音に舌を巻いた。

これでハイレゾのスゴさを十分堪能したわけだが、最後に小森氏オススメの「Hymne a l’amour ~愛のアンセム~」にあらためて驚いてしまった。ヴォーカルがじつに生々しい。
サウンド、メロディ、歌詞、アレンジ、どれもが素晴らしいのが宇多田ヒカルだが、ハイレゾで宇多田ヒカルの新たな魅力が伝わった、というか再発見した思いだ。

試聴会の再生システムは、大ヒットしたハードディスクオーディオプレーヤーHAP-ZIESとステレオアンプTA-A1ES、そしてスピーカーはソニーが世界に誇るSS-AR1である。
しかしハイレゾの高音質は普通のステレオやウォークマンでも堪能できるはずだ。
僕も自分のステレオでこのハイレゾを聴いたのだが、「time will tell」が始まるや、繊細で広がりのある音がスピーカーから飛び出してきた。

宇多田ヒカルもスゴいが、やっぱりハイレゾもすごい。

 

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文・イラスト:牧野良幸

 


 

宇多田ヒカルハイレゾ
●2014/12/9(火)~配信
cd「Utada Hikaru Single Collection Vol.1(2014 Remastered)」
0003633226.200

cd「Utada Hikaru Single Collection Vol.2 HD(2014 Remastered)」
0003633242.200

●好評配信中!
cd「First Love [2014 Remastered Album]」
0003013386.200

●2014/12/9(火)同時配信 ※通常音源(AAC-LC 320kbps)
cd「宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について-」
0003634040.200


 

宇多田ヒカル・スタッフ、ハイレゾの魅力を大いに語る!!
宇多田ヒカル『mora』ハイレゾ座談会 展開中!
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<牧野良幸プロフィール>
大学卒業後、81年に上京。銅版画、石版画の制作と平行して、 イラストレーション、レコード・ジャケット、絵本の仕事をおこなっている。
近年は音楽エッセイを雑誌に連載するようになり、『僕の音盤青春記1971-1976』『同1977-1981』『牧野式高音質生活のすゝめ』などを出版。