Bird Bear Hare and Fish『Moon Boots』リリース記念インタビュー

Galileo Galileiの終了から約2年、3人のメンバーにサポートメンバーであったDAIKIを加え、4人組のバンドとして今年5月に再始動したBird Bear Hare and Fish(通称:BBHF)が、初のアルバム『Moon Boots』を完成!

プロデューサーには米メディア・ピッチフォークのベストミュージックにも選ばれたPOP ETC(ポップ・エトセトラ)のフロントマン、クリス・チュウを迎え、ミキシングエンジニアにはアンドリュー・ドーソン(カニエ。ウェスト、ビヨンセ、ジェイ・Zらの作品を手がけた )氏を起用した、サウンドへのこだわりが強い作品となっています。

BBHFはメンバー全員が北海道出身でありながらも、現在はVo./Gt.尾崎雄貴さん、Dr.尾崎和樹さんの兄弟は札幌に、Ba.佐孝仁司さん、Gt.DAIKIさんは東京に在住しており、リモートのスタジオワークで楽曲の制作が進んでいったとのこと。

再スタートをきっての心境の変化、新たな出会いとそこから得られた音楽的刺激、そして制作方法の変化……
バンドの名刺代わりとなる一枚の完成を記念し、前回のソロプロジェクトwarbearでのリリース時と同様、ギターボーカルの尾崎雄貴さんにお答えいただきました。

 


  • 1st Album
    『Moon Boots』

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  • 1. ウクライナ
    2. ライカ
    3. ダッシュボード
    4. レプリカント
    5. Hearts
    6. Lights
    7. 夏の光
    8. ページ
    9. Wake Up
    10. Different
    11. 次の火
    12. 1991
    13. Work


 

Q1. 全体的に外向きに開かれた作品となっている印象を受けました。新体制で音楽活動をスタートしたことで意識が変わった部分もあったのでしょうか。

A1. バンドの意識が外に向いているというのは間違っていないと思います。
素晴らしいメンバーで新しいことを始められるんだから、より沢山の人たちへ向けて投げかけていきたいですね。

 

Q2. 現在のリモートを中心とした制作体制になったことでGalileo Galileiの頃と比較してどのような変化がありましたか。具体的な工程について可能な範囲で教えていただきたいです。

A2. Galileo Galileiの頃は僕が中心となって、多くのことをソングライター的にコントロールしていましたが、BBHFでは遠隔でのアイディアデータのやり取でアレンジのほとんどを完成させていったので、必然的に楽曲にメンバーそれぞれの意向が反映され、いよいよレコーディング開始!といった段階で辻褄をあわせていく、という感じでした。

 

Q3. 正式メンバーとなったギターのDAIKIさんはプレイヤーとしてどんな方なのでしょうか? Galileo Galileiから引き続いてのメンバーの皆さんに関しても、プレイングの幅が広がったなと感じる点があれば教えていただきたいです。

A3. しばらくギタリスト不在が続いていたので、DAIKIが入ったことで改めてギターという楽器を見直すチャンスをメンバー全員が感じていると思います。
プレイの幅が広がったというよりは、メンバーが自分のプレイすべき楽器に集中できるようになった、という感じです。
ギタリストとしてのDAIKIのことは、僕たちもこれからもっともっと知る必要があると考えています。

 

Q4. 制作のイメージを共有するためにメンバー間でよく聴いていた音楽(アルバムタイトル、ミュージシャン名)があれば教えてください。

A4. 今作を制作するにあたって、これといって共有していた音楽はなく、強いて言うならKanye Westくらいです。
4人それぞれの好みの違いが、今作を生み出したと思います。

 

Q5. セッションで作ることが少ない分、どなたかが主導的にアイデアを出す形で制作が始まると想像します。
曲によっては作詞をされている雄貴さん以外のメンバーが主導的に作られる曲もあるのでしょうか。また12曲の中で、特に印象的な生まれ方をしたなと思う曲があれば教えて欲しいです。

A5. 基本的に最初のアイディアは僕が書いていますが、例えば「夏の光」は、仁司がサンプリングでアイディアを追加したことで、とても良い方向に激変した曲で、「ページ」は、僕とDAIKIとでギターを弾きながら書いた曲だったりします。

 

Q6. 全体的にひとつひとつの日本語が音として気持ちよく、しかし明瞭に意味も聴き取りやすい作品になっていると感じます。
目指すサウンドに日本語特有の音節を乗せることには難しさもあるかと思うのですが、工夫されているポイントについてお聞かせください。

A6. ソロプロジェクトのwarbearで、自分独自の言葉の選び方を掴んだような気がします。
特徴的な声の調子等で雰囲気を作るのではなく、言葉選びやリズムで自分にしか歌えない歌を見つけていきたいと思っています。

 

Q7. 「ウクライナ」や「ページ」のように、生活の裏に潜む狂気といったものを感じる作品も散見されます。
一貫した尾崎さんの楽曲の特色ともとれる部分と思いますが、何か元になる風景や、影響を受けた作品(音楽以外も含め)があれば教えてください。

A7. ウクライナは、ぼーっとニュースを見ていた時にみつけた、ある事件が元になっています。
と言いつつも僕は、可能であれば作詞のインスピレーションについてはあまり語りたくないのです。

 

Q8. 「どのパートを誰が演奏したかなどの情報をなるべく入れないようにサウンドの調整をしていた」というお話を以前のインタビューで拝見しましたが、録音機材についても、たとえばどういった機材を使って録るかなど、共有しない状況で進めていったのでしょうか。
また、特に活躍した機材などがあれば教えていただければと思います。

A8. メンバー全員が、どんな楽器のアイディアも考えることができるということもあり、何度も膨大な量のトラックデータのやり取りをしていると、誰が何を弾いたのか、誰の意見でいつそのアレンジになったのか、徐々に曖昧になっていくのです。弾いた本人ですら忘れる程だったので、”自分が頑張って弾いたから”という先入観を持たずに、お互いが自由な意見を言い合えたと思います。
機材は、Universal Audio UADのプラグインが活躍しました。
100万円以上するようなスタジオ機材の数々を素晴らしいクオリティーでシュミレートしてくれているので、ちょっとした音の質感で印象が大きく異なってくるアイディアのやり取りにおいて、とても重宝しました。
それと今作をレコーディングした札幌の芸森スタジオにある、EMT 140 plate reverbはいつもインスピレーションを与えてくれます。6畳くらいの空間がないと設置できない巨大で高価なリバーブマシーンなのですが、共同プロデューサーのクリスもお気に入りで、今作のサウンドに大きく貢献してくれています。

 

Q9. サウンドエンジニアであるAndrew Dawson氏起用の決め手について教えてください。

A9. クリスに紹介してもらいました。
アンドリューはPOP ETCのアルバムでレコーディングとミックスを担当していて、クリス曰く”録りとミックスにおける完璧な男”とのことだったのと、彼がしてきた素晴らしい仕事を聴いて、心を奪われました。
何よりLAに住んでいるクリスが、直に行ける場所に彼のスタジオがあったことが大きいです。芸森スタジオとわんわんスタジオ(自宅のガレージスタジオ)で2週間をかけて一緒にレコーディングしたプロデューサーが、しっかりエンジニアの後ろについてミックスに参加できるというのは、とても大事なことでした。

 

Q10. 普段離れた場所で制作をしている分、一斉に音を出せるライブという空間はより特別なものになるのではと思います。
作品を聴き終えたリスナーの皆さんに、ライブならではの聴きどころがあればお伝えいただければ幸いです。

A10. やはり海を越えた距離で生活しているので、リハーサルやライブ本番でお互いに“会えた!”という喜びとぎこちなさがあるのですが、それはきっとライブに足を運んでくれるオーディエンスとバンドの関係にも近い感覚だと思います。
その不思議な共通感覚が、BBHFとそのファンのライブをより素敵なものにしてくれる気がします!
感じていた距離よりずっと近く、目と鼻の先に音と視線が迫ってくる感じ、胸が爆発しそうになる瞬間を、この記事を読んでくれている方と過ごしたいです。

 

尾崎さん、ご回答ありがとうございました!

 

 

Bird Bear Hare and Fish プロフィール

メンバーには尾崎雄貴をはじめ元Galileo Galileiからそれぞれドラマーに尾崎和樹、ベースには佐孝仁司が、そしてラストツアーでサポートを務めたDAIKIがギターで参加し、4人体制での始動。

オフィシャルHP: http://www.bbhf.jp/