Hi-Res 10 songs: Licaxxx(DJ) ハイレゾで、聴きたかった10曲

DJを主軸としながら、ラジオパーソナリティーやウェブメディアの編集長を務めるなど、さまざまな活動を続けるLicaxxx(リカックス)さん。多岐にわたる発信は、一貫して、いい音楽を届けるためのアプローチであり、いつも挑戦。今回はmoraのハイレゾ音源の中から、電子音楽の可能性を広げる10曲をセレクト。その一曲一曲を試聴しながら、デジタルでしか表現できない世界を追究した音楽を、ハイレゾで聴く楽しさについて紹介してくれました。

 


Licaxxx

 

音のもつ意味合いや、つくり手の人間味も鮮明になる

 

01/10
Four Tet「Planet」(from 『New Energy』)

「フォー・テットは、もちろん大好きなアーティストのひとり。生っぽい楽器の音や、キックの音が粒立った感じで混在している曲が特徴的で。そういう音の要素によって再構築していくテンションが気持ちよくて、気に入っています。ハイレゾでは、そうした音色がよりはっきりと聴こえてくる印象がありました。空気感の異なる音が面白い感じでミックスされていることが、よくわかりますね。民族楽器とか、サンプリングのパートも生き生きと聴こえてきて、その音のもつ意味合いや人間味といったものまで、しっかり伝わってくる。キックもビートも、めちゃくちゃきれいに聴こえてきました」

New Energy/Four Tet

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02/10
Alva Noto「Uni Chord」(from 『UNIEQAV』)

「まさに、電子音楽のど真ん中。こういう曲こそ、いい音質で聴かないと、本当の楽しさがわからないというか。メロディーがはっきりしているわけでもないので、耳や体全体で体験してみて、はじめて楽しいと感じられる音楽だと思います。実際にハイレゾで聴いてみると、一つひとつの音がきれいに配置されていて、その感触まで感じられて、すごくよかった。ノイズのような音も、音楽として聴けるようになると、そこに広がる世界を立体的に楽しめるようになってくる。私自身、耳がそう切り替わることで、こうしたミニマルな電子音楽が、かっこよく聴こえるようになりました。自分のDJのプレイスタイルにとっても、歌メロに引っ張られないところでの解体や再構築が、ひとつのテーマになっています」

UNIEQAV/Alva Noto

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03/10
ショーン レノン コーネリアス「Heart Grenade」(from 『攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T. by Cornelius』)

「『攻殻機動隊』のシリーズがもともと大好きで、あの世界観とコーネリアスの組み合わせもすごく好き。なかでもこの曲は、ボーカルに加えて、ドラムの生っぽい音も入っているうえに、きらびやかな電子音が飛び回っていたり、すべてが融合していてとても気持ちいい。ショーン・レノンの声も、本当にちょうどいい塩梅で。メロディーラインとしてしっかり歌っていながら、楽器的なノリがあって、その心地よさが絶妙にマッチしています。もって生まれた声に、倍音が多く含まれているのかもしれないですね。コーネリアスは変わらず、空間を楽しむ音楽を提示していて、解像度の高いハイレゾで聴くと、そういった音楽の可能性がよりわかりやすいと思います」

攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T. by Cornelius/コーネリアス

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04/10
くるり「Liberty & Gravity -Madegg remix-」(from 『There is (always light) / Liberty & Gravity Special Edition』)

「Madegg(マッドエッグ:小松千倫によるソロ・プロジェクト)が手がけた、くるりの曲のリミックス。ほとんど原型がわからないくらいにアレンジされていて、音の処理が自分流になっていたり、空間のつくり方にしっかり特徴があってうまい。こういうつくり手の音楽は間違いなく、ハイレゾで聴いたほうが、その感覚の面白さがわかると思います。本人が18歳の頃から知っているのですが、当時からすでに、すごい感覚をもって音づくりをしていましたね。自然に身についているセンスが、とにかく抜群によくて。電子音楽はひとりでつくれるところが大きい、という創作上の条件も、かなり関係しているのかもしれません」

There is (always light) / Liberty & Gravity  Special Edition/くるり

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ひとりでつくれる電子音楽は、センスにより直結しやすい

 

05/10
Jon Hopkins「Emerald Rush」(from 『Singularity』)

「ジョン・ホプキンスの約5年ぶりに発表されたアルバムは、アンビエントな音が積極的に取り入れられて、その広大な響きが印象的でした。この曲は、前半がまさしくアンビエントそのもので、後半にかけてビートが力強く入ってくる。そうした曲の構成に加えて、音響の面においても面白いダンスミュージックだったので、ハイレゾで聴くのに向いているかなと。宇宙っぽいというか、果てしなく広がりが感じられる音色で、しかも、そうした音に俗っぽい嫌みが感じられない。自分の作品として表現したい世界観があるからこそ、より遠くまで広がっていく、こういう音がつくれるのだと思います」

Singularity/Jon Hopkins

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電子音楽でありながら、赤裸々な心情が伝わってくる

 

06/10
Arca「Mutant」(from 『Mutant』)

「アルカは、特殊なミックスをしている電子音楽の代表格。ハイレゾで聴いてみると、割れた音が地を這ってくるようで、その移動してくる感触もすごかった。音と音が直線的に結びついたり、並行して迫ってきたりして。音が全般的に配置されているというより、どこかに断崖絶壁があるような、高い壁の存在が感じられるつくりも好きです。直感的なのに、理路整然としている。冷たそうで、じつは熱い。そういうところでも共感できるのかな。最近のアルバムでは、ますます自分自身をさらけ出しているようで。電子音楽なんだけど、シンガーソングライターみたいな気持ちでつくっているのかもしれない。私にとってはそれくらい、人間味を感じる音楽です」

Mutant/Arca

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07/10
牛尾憲輔「roh」 (from 『映画 聲の形 オリジナル・サウンドトラック a shape of light 【形態B】』)

「牛尾さんの音楽は、そもそもagraph(アグラフ:牛尾憲輔によるソロ・プロジェクト)として発表されているものが好きで、いろいろ聴いていたのですが、こういう映画関連の音楽もすごくいいんですよね。映画そのものも面白いのですが、もっとよく観えてくるというか。とにかく、つくりが丁寧で。この曲も、ピアノの音をどうやって録っているんだろうと、不思議なくらい、そこにある空気感が鮮明に伝わってくる。エレクトロニックが駆使されていながら、空気の流れる音みたいなものがそのまま入っていることで、聴こえ方がまるで違う。それこそ、やっぱり、牛尾さんならではの音楽なのだと思います。このハイレゾの音質で、映画館で観てみたいですね」

映画 聲の形 オリジナル・サウンドトラック a shape of light【形態B】/牛尾憲輔

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08/10
Ben Frost「Ionia」(from 『The Centre Cannot Hold』)

「ビートが入ってこない電子音楽として、アンビエントやドローンを中心に探していて、このベン・フロストのアルバムを見つけました。踊るためというより、微小な変化を楽しむ、というジャンルの音楽ですね。普通にスピーカーで聴くだけでは、そういう面白さはわかりにくいので、できるだけいい音質と再生環境で聴きたい。微小な変化といっても、じつはどんどん何かしらが変化していて、ハイレゾならば、その質感の移り変わりも、よりクリアに楽しめると思います。ある種の型どおりに、ストーリーが感じられる音楽をつくるというより、ひとつのアートフォームをつくっているような感覚。音楽をつくる場合には、私自身もそうしたアプローチのほうが楽しいです」

The Centre Cannot Hold/Ben Frost

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09/10
Le Dom「Bayern」(from 『Sound Pellegrino presents SND.PE, Vol.5: mixed by Teki Latex & Orgasmic』)

「これはストレートなダンスミュージックも聴いてみたいと思って、選びました。テキ・ラテックスとオルガスミックが手がける、〈サウンド・ペレグリノ〉というレーベルからリリースされたコンピレーションに収録されている曲です。ミニマルに比べれば、昔ながらの音楽的要素が含まれていますが、音の数は比較的少なくて、ハイレゾだとよりきれいに聴こえる。やっぱり、いい音で聴くことによって、曲本来の楽しさが見つけやすいと思います。私自身、DJプレイでは、ビートが崩れていったり、戻ってきたりする感覚が好きなので。こういうベース・ミュージックをビートの要素として、テクノの間に挟みながら、テンションを上げていったりしますね」

Sound Pellegrino presents SND.PE, Vol.5: mixed by Teki Latex & Orgasmic/Various Artists

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手が届きそうな距離で鳴っている。そんな感覚も共有できる

 

10/10
砂原良徳「subliminal」(from 『subliminal』)

「まりんさんの曲は、とにかく圧倒的に音がいいんですよ。とくにこの音源は、ハイレゾ用にリマスタリングされているということで、ひたすら気持ちがいいですね。音のつくり方にもすごく特徴があって、聴いた人がリアルに感じられる空間の広がりの中で、徹底的に音が再現されるというか。広すぎず、狭すぎず。そこに壁があるような、ないような。自分の手が届きそうな距離感で鳴らされているような、不思議さがあります。なかでもこの曲には、ちょっとアグレッシブな一面も表れているようで。まりんさんならではの、とても丁寧な仕事であるとともに、人間味がはっきりと出ている作品であることが、よくわかります」

subliminal/砂原 良徳

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【取材を終えて】 DJとしてかける一曲も、ラジオで紹介する一曲も、その曲を選んだ理由については、しっかり答えられるようにしたい。Licaxxxさんの目指すプレイやセレクトは、アーティストへのリスペクトと、曲に対する深い理解のうえにあるものでした。より多くの人が、それまで知らなかった音楽に触れて、思い思いに楽しんでくれること。そのために、“裏方としての作業”や“地味な実験”が欠かせないと言います。今回紹介してくれたのは、電子音楽の進化を続ける楽しさ。精緻につくり込まれた音楽をハイレゾで聴くことによって、果てしなく広がるイマジネーションが迫ってくるようです。(Hi-Res 10 songs編集部)

 

 

 

 

取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-A45」、ヘッドホン「WH-1000XM2」で試聴しました。

 

【同モデルの最新機種はこちら】

・ウォークマン「NW-A50」シリーズ

SONY公式サイト

 

・ヘッドホン「WH-1000XM3」

SONY公式サイト

 

 

PROFILE
Licaxxx(リカックス) 1991年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業。DJを本業としながら、トラックメーカー、ラジオパーソナリティー、エディターなど、音楽に関わるさまざまな活動を並行。2016年、所属するASOBISYSTEMにて、ウェブメディア『シグマファット』を立ち上げ、編集長を務める。2017年にはフジロック・フェスティバルに初出演。現在、J-WAVE「SONAR MUSIC」(月曜~木曜 21:00~24:00放送)で、水曜日のミュージックレシーバーを担当。BS スカパー!「BAZOOKA!!!」(月曜 21:00~22:00放送)にも出演中。

ASOBISYSTEM オフィシャルサイト
https://asobisystem.com/talent/licaxxx/

 

 

本記事は、ソニーのオーナーズマガジンサイト「Sony’s feature」にて公開されたものです。Hi-Res 10 songsをはじめ、家電のさまざまな活用方法や楽しみ方を紹介しています。
詳しくはこちら: https://www.sony.jp/feature/?s_tc=jp_other_mora_201808_feature

 

※moraでのハイレゾ商品の試聴再生はAAC-LC 320kbpsとなります。試聴再生は実際のハイレゾ音質とは異なります。
※音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています。
※ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります。
※掲載している情報は、その時点のものであり、予告なく変更される場合があります。

 

Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM)