T-SQUARE ニューアルバム「WISH」 mora 独占先行配信 記念インタビュー!

昨年、結成以来のリーダーであったギタリストの安藤正容が退団し、伊東たけしと坂東慧、2人のユニット形態となったT-SQUARE。早くもその新体制によるニュー・アルバムが届いた。通算49枚目のオリジナル・アルバム『WISH』である。そこには、これまでのアルバムを凌駕するほどのスリリングで爽やかな演奏が繰り広げられている。さらに、元メンバーである本田雅人が退団後に初めて合流したこともファンにとっては嬉しいサプライズ!さらに渡辺香津美、是方博邦、松本圭司というジャズ/フュージョン界大御所のゲスト参加も話題騒然。

そして5月18日のCD及びアナログLPの発売に先駆け、音楽配信サイト mora では4月18日より1カ月間、独占先行配信を開始。

それでは、伊東たけし、坂東慧、本田雅人の3名にこのアルバムにまつわるお話を伺ってみよう。

インタビュー:近藤正義

 


独占先行期間:2022/4/18(月)~

WISH

T-SQUARE

WISH

AAC FLAC DSD

■収録内容(全9曲収録)

1.晴れのち晴れ

2.Magical Hour

3.Trial Road

4.Good For You

5.Lady “S” の初恋

6.Freaky Rats

7.Lover’s Beat 

8.Smile on the hill

9.As you wish!

 

■参加アーティスト(順不同)

渡辺香津美 (Gt)M6、是方博邦 (Gt)M5、本田雅人 (Sax)M3,8,9、松本圭司 (Key)M3,8、

エリック・ミヤシロ (Tp)M3,8,9、西村浩二 (Tp)M3,8,9、中川英二郎 (Tb)M8,9、

半田信英 (Tb)M3、田中晋吾 (Ba)M1,4,6,8、白井アキト (Key)M6,7,9、佐藤雄大 (Key)M1,4,5

YUMA HARA(Gt)M1,2,3,4,9、外園一馬 (Gt)M7,8、半田彬倫 (Key)M2、森光奏太 (Ba)M2,3,5,7、Taiki Tsuyama(Ba)M9


 

――本田さんが退団後にT-SQUAREのアルバムに参加するのは初めてですよね

本田:僕が退団してから、もう20数年経ちますよね。メンバーに伊東さんがいる以上、同じサックスの僕が一緒に入ることはまずありませんし、イベントなどで伊東さんや他の元メンバーたちと絡むことはありましたけど、オリジナル・アルバムに関わるというのはもう20年もなかったわけですから、僕としては今後もないだろうなと思っていたんです。それが突然の急な展開であれよあれよと話が進んで‥。その辺りの経緯は、お二人に聞いた方がいいですよ(笑)

本田雅人

坂東:昨年行なった公演の打ち上げの最中に、来年(現在の今年)はどんなことをやろうかって話し合っていたんですが、ツイン・サックスはどうだろうか?ということになったんです。そこで、すぐに本田さんに電話してお願いしたというわけです。

本田:あの時は、電話口の人が次々変わるし、何言ってるんだかよく分からないし、典型的な打ち上げの酔っ払い電話でした(笑)

伊東:よく分からないけど、よろしくお願いしますって、なんとか話を合わせてたよな(笑)

本田:ホントしばらくは、一体何のことだかよく分からなかったんですよ。ところが、その後酔っ払っていない時にも連絡が来て話しは進んでいって‥(笑)

坂東:打ち上げで青木社長(株式会社ティースクエア・ミュージックエンタテインメント)からこのアイデアを聞かされた時点で、もう次作の曲のデモも出来上がっていたんです。そこで思いついたのは、ツイン・サックスとして参加していただく曲、そしてテクニカルなブラス・アレンジを入れていただく曲。早速、用意していた曲の中からそれらが出来そうな曲を3曲ピックアップしました。

伊東:まさか、ブラス・セクションを入れることができるなんて思ってもいなかったので、話が決まった時点ですごく楽しみになった。坂東がいい感じにアレンジしてくれたので、これは面白くなるぞと‥。

 

――本田さんは、最近のT-SQUAREのアルバムは聴いておられましたか?

本田:ほとんど聴いてないです(笑)。たまたま、ある曲を何かの機会で聴くことはあったかもしれませんが、アルバムを毎回チェックするようなことはしてないです。自分のアルバムさえ、出来上がっても聴いてませんからね(笑)

 

――ご自身がスクエアのメンバーだった頃、T-SQUAREというバンドについてどう思っておられましたか?

本田:まず、スクエアというのは伊東たけしサウンドが大黒柱だと思うんです。まあ、伊東さんはどこかに行っちゃったりしたこともありますが今はいるわけで、そうなれば今の曲はスクエアの音楽に聞こえるわけです。だから伊東さんが抜けた時、スクエアの声というか歌にあたる部分がなくなってしまって、このバンドはどうなるんだろう?と思いました。そこへ自分が加入するという謎過ぎる現実があったわけで、「なんだこりゃ?」という感覚でしたね。僕が在籍していた時も、確かにT-SQUAREには違いないのですが…。しかし、あの頃はバンドの声が変わってしまったんですから、バンドとしての存在が一番ヤバかった時期じゃないですか?(笑)

 

――そして、今回一緒にやってみてどんな感想ですか?

本田:坂東くんの作る曲が、すごくスクエアっぽいですよね。たぶん坂東くんもそれを意識して作ってるんだと思います。最初にスクエアに曲を書いた時の気持ちは僕にも経験があるから分かるんですけど、まず伝統あるバンドへのリスペクトがあって、その中で自分がどうすべきなのかをすごく考えると思うんです。それを長年積み重ねることによって‥ 坂東くん、何年やってるんだっけ?

坂東:もう17年になります。

本田:えーそんなにやってるんだ!(笑) そういう中でずっとやってきたことで、自然とスクエアっぽい曲になってきたんじゃないかと思います。もともとこういう音楽が好きだったんだろうし、無理して伝統を受け継いでるというふうにも感じないし。むしろ、その中に自分の新しい風を上手く加えながらやってるんだな、と今回のレコーディングでそう思いました。そこに伊東たけしサウンドが乗っかるから、曲を書く方はますますそれっぽくなっていくのかもしれない。そんなバランスで、この2人のスクエアは成り立っているんだなと、僕なりに納得しました。

 

――元メンバーということでしたら、河野さんも作曲で2曲、参加しておられますね

坂東:かねてからお願いして作っていただいた曲から2曲を選ばせていただきました。アレンジの基本的なところは河野さんで、もうちょっとこうしたいというような箇所は僕と伊東さん、河野さんの3人で作り込んで行きました。

伊東:「Freaky Rats」がまさにそういう曲だった。この曲は渡辺香津美さんが入ることになって、だいぶ変えたよね。最初の河野のアレンジだと、あっち行ったりこっち行ったりという従来のスクエアっぽいアレンジだった。でも、そういう譜面通りにパズルの隙間を埋めていくようなやり方だとハジけてもらえないというか、香津美さんの良さが出ないんじゃないかと思って、プリプロの段階でかなりシンプルにした。そうするとレコーディングでは自由に弾いてもらうことができて、曲が気持ち良く聞こえるようになった。音楽がイキイキしていて、香津美さんがゲストに加わったという存在感も大きく感じられるよね。

 

――安藤さんが抜けて、初めてのアルバム制作でしたが、どんな気持ちで臨みましたか?

坂東:逆に2人になったことで、いろんなミュージシャンと一緒にできるなと、不安よりも期待の方が大きかったです。ベースとキーボードに関しては既にもうそうなっていましたが、今回からはギターもですから、いろんな組み合わせを考えました。

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――本作ではギタリストが、YUMA HARA、外園一馬、是方博邦、渡辺香津美と4名参加していますが、本田さんから見て如何でしたか?

本田:僕が関わった曲ではYUMAくんと外園くんが参加していたんですけど、ギタリストが安藤さんじゃないスクエアはすごく不思議な感じがしました(笑)。だけど、これもバンドとしての新しいやり方で、これはこれでいいんだと思います。僕は昔、原信夫とシャープ&フラッツというバンドにいたことがあって、その時一緒にいたギタリストの原とも也さんがYUMAくんのお父さん。つまりYUMAくんは原信夫さんのお孫さんというわけで、僕とは妙な縁があるわけです。彼はプレイが安定した素晴らしいギタリストだと思います。外園くんとも一緒にやるのは初めてでしたが、彼のギターの音はスクエアっぽいですね。

伊東:YUMA HARAは洗練されたオシャレなサウンドを出せるギタリストで、そのサウンドの透明感は安藤のギターの質感に似ているね。でも、安藤ほどキッチリしていなくて、適度にブルース・フィーリングが残っている。最初に一緒にやった瞬間、「これは違和感なくイケる」と思った。スクエアではユニゾンも多いので相性が大事なんだけど、彼に関してはどの曲をやってもオッケーだなと思った。

2曲に参加してくれた外園くんも独特のノリがあって、坂東の曲にテイストとしてマッチしていた。EWIでも気持ち良く合わせられたしね。

香津美さんと是方の両巨匠はもはや個性の塊だから、そういうことはさて置き‥(笑) 香津美節、是方節が出てくれば、それでオッケー! やっぱり、お二人とも音が深いね。でも、是方のギターは関西弁だから、ユニゾンするのが難しい(笑)。あれはあれで面白いんだけどね。

 

――曲によって登場するゲストが変わったりしますから、アレンジが大変だったのではないかと思いますが、いかがでしたか? また、リズムにもいろんな工夫が感じられるのですが、その点は?

坂東:アレンジには曲ごとに目的とするサウンドがあって、こうしたら曲やフィーチャーされたプレイヤーがもっと引き立つのではないか? という方向で考えていきます。でも、是方さんにお願いした曲みたいに、逆にそのままいつも通りに弾いてくださいという場合もあります。是方さんとは普段からよくご一緒しているので、手癖みたいなフレーズが僕の頭の中に染み付いていて、それをお願いしたらバッチリでした。

リズムについては、ちょっと狙ったところがあります。最近のスクエアではやっていないビートをあえて使ったりしました。プログラミングのパーカッシヴなパーツを残したりするのは、ドラマーが手がけたプログラミングならではのこだわりであり遊びでもあると思います。

 

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