【第二弾 インタビュー】河野啓三2ndソロアルバム『BEST FRIENDS』 mora 独占先行配信記念 アルバム全曲解説!

 これまでにも河野啓三の楽曲は多数、T-SQUAREのアルバムで聴くことができた。しかし、それらはT-SQUAREというバンドのカラーに合わせた楽曲であり、彼の音楽の世界は決してそれだけではない。T-SQUAREに通じるポップで爽やかな曲はもちろん、もっとプライベートでピアニスティックな曲、ブラジリアン・フィールな曲、ラテンジャズ+スペイン風エッセンスの曲、クラブ系の曲など、バラエティに富んだ楽曲が並んでいる。

 まさに、ソロ・アルバムだからこそ明らかになる河野啓三というミュージシャン/コンポーザーとしての全貌。しかも、レコーディング参加メンバーはT-SQUAREの新旧メンバーだけでなく、以前のリーダー・ライヴにおけるメンバー、さらに最近新たに交流が始まったミュージシャンまで、多彩な素晴らしい人選。また、リーダー作として全体を総監督するプロデューサーとしての姿は、今後の彼の音楽活動に大いに期待できるという確信を与えてくれる。アルバムのタイトル通り、まさにベスト・フレンズに囲まれた河野啓三のカラフルな音楽世界を味わうことができる。

 第二弾インタビューでは河野啓三によるセカンド・アルバム「BEST FRIENDS」の全曲解説をお届けする。

●第一弾インタビューはこちら 「BEST FRIENDS」作品制作に関して

インタビュー:近藤正義

 


独占先行期間:2022/11/24(月)~

BEST FRIENDS

河野啓三

河野啓三

AAC FLAC DSD

1,Prologue 

 2016年に書いたピアノ曲です。自分でも気に入っていて、ライヴでもよく弾いていました。前作『DREAMS』を作ったあたりから、ソロ・アルバムに入れるならもっとピアニスティックな曲を増やしたいと強く思うようになりました。マルチ・キーボード・プレイヤーでありながらキャリアの後期はピアノに専念していた、大先輩である和泉宏隆さんの活動にも影響されましたし、刺激も受けています。

 普段は、バンドありきのアレンジで作曲することが圧倒的に多いのですが、それとは逆にピアノ独奏で成り立つ曲をもっと作っていこう、と思った中の1曲です。

 

2,Shadow Striker

 以前、T-SQUAREのアルバムのために書いた曲です。その時は採用されなかったのですが、気に入った曲だったのでストックしてあったんです。当時のソロ・ライヴでは、そこで初めてやる曲を用意しなければならなかったので、ライヴのフロントを務める勝田一樹さんの得意な演奏スタイルであるスピード感とハイトーンをフィーチャーできるように改良して今回の形に仕上げました。

 そして2016年2月、勝田一樹さんをフロントに迎えた僕のリーダー・ライヴのオープニングで披露しました。曲を演奏し始めて1分以内に、その日のライヴがうまくいくかどうか分かるのですが、確かな手応えを感じたこの日の演奏でした。そして、曲が終わってからいただいた大きな拍手で、それは確信に変わりました。打ち上げで、勝田さんがこの曲を褒めてくださったことも覚えています。

 この曲はライヴでもこの時1回しか演奏していませんので、この時に会場にいたお客さんだけしか体験していない曲なんです。だから今回、形に残せて嬉しいです。

 

3、Best Friends

 T-SQUAREのアルバム『Smile』制作中の最後に書いた曲です。僕の譜面に書き込んである日付が作曲締め切りの日になっていました。すでにそのアルバムには2曲が採用されていましたので、僕がこの曲を作る必要は、じつはなかったんです。でも、もう1曲何か少しだけチャレンジしてみよう、と思ったわけです。だからでしょうか、自分の個人的な趣味を強めに打ち出しながら余裕を持って作曲していますね。

 リズムとしては6/8拍子なので、普段とはちょっとスタイルが違います。T-SQUAREでは4/4を主体にしていますからね。そして北欧感のある旋律や楽器の音色は、ノルウェーやフィンランドの民族音楽を意識しています。決してインパクトが強いわけではありませんが、流麗で優しい曲です。

 もともとEWI用の曲として書いていましたので、この曲を伊東さんにお願いできることになってよかったです。

 

4、Melancholy 

 安藤さんから「鍵盤ハーモニカで、あんみつにゲスト参加しない?」とお誘いいただいたのがきっかけです。安藤さんは、こういう風にさりげなく僕に手を差し伸べてくださる方なんです。最初は実現するとは思っていなかったのですが、使ったことのある楽器でもあるのでチャレンジしてみようと思いました。ところが研究すればするほど難しい楽器であることがわかりました。この楽器を専門に活躍している人の演奏力は大変な高レベルなんです。でも、自分のやり方でできればいいなと考えて書いてみたのがこの曲です。

 ギターと鍵盤ハーモニカが相性の良い、ブラジリアンな方向性でやってみました。鍵盤ハーモニカならアコーディオンやバンド・ネオンの代用としても使えるのではないだろうかと思うんです。そして、今年の3月には実際にあんみつにゲスト参加することができました。

 なんとも言えない平和な空気感が魅力の鍵盤ハーモニカ。これからもっと勉強して、高い次元を目指していきたいと思います。

 

5、February  

 2曲目の「Shadow Striker」と同様に、2016年2月のライヴのために書き下ろした曲です。僕が思うところの勝田さんのコンテンポラリー・ジャズのスタイルにフィットするように考えました。  

 勝田さんは熱さを表現出来るサックス・プレイヤーです。そこを活かせる音域で、しかもどこでソロを入れると美味しいか?そこまで考えて作り込みました。その結果、勝田さんにドンピシャな曲ができたと思います。

 

6、Crossover Drive  

 演歌歌手ジェロさんのサポートを7~8年やっていたことがありまして、そこでは僕がバンドマスターだったんです。コンサートでジェロさんは、演歌だけでなくソウル・ナンバーも歌っていましたので、そこへ寄せた曲を書いてみました。今回のレコーディングに参加していただいたギタリスト、養父貴さんもこの仕事のツアーで一緒だったことがあるんですよ。そのコンサートのオープニング用として、一瞬で場を盛り上げるような曲を要求されて書いたクラブジャズ風の曲を新たにリメイクして収録しました。

 僕はジャズ/フュージョンに軸足を置いて作曲してきましたので、ソウル/ファンクな曲はあまり手掛けてこなかったんです。T-SQUAREでもファンクな要素は求められませんでしたからね。でも、それ以外の現場ではこういう方向性の曲を書いてみるのも良いだろうと思うんです。T-SQUARE的ではない僕の曲を楽しんでいただければと思います。

 

7、青春メモリーズ

 T-SQUAREのアルバム『AI Factory』へ向けての作曲期間に書いた曲です。じつは入院中から曲を書くようにと指示がきていまして、僕にとってはそれがとても回復へ向けての励みになりました。今回改めてデモ・テープを聴き直してみたのですが、そこに頑張ろうとしている自分がいたことが分かります。新しいことにチャレンジするのではなく、自分が最も得意とするスタイルの曲を慎重かつ丁寧に書き進めていますね。しかも、ハーモニーの使い方やメロディの展開のさせ方などにも僕の持つ作曲やアレンジのテクニックがふんだんに使われています。やはり、早く病気から回復しなくてはと、焦っていたんですね。あの時の自分に、そんなに必死になってやらなくても大丈夫だよ、と言って肩を叩いてやりたいです。

 

8、Exotic World Part Ⅱ 

 この曲は組曲になっていて、これは2つ目のパート。パート1は安達久美さんをフィーチャーしたクラブ・パンゲアで発表済みです。タイプとしては、ラテン・ジャズにスペイン音楽のエッセンスを合わせた超絶アンサンブルの曲ですね。インストを作曲する者としては、演奏能力を武器とする音楽も避けては通れないわけです。さらにワールドミュージックのエッセンスも採り入れ、ベーシックな部分はキューバのサルサで、ラテンの泣きというチャーム・ポイントもしっかり押さえています。

 アコースティック・ギターを弾いているEyal Hellerさんは、僕のチーフ・マネージャーがミュージシャンを紹介するインターネットのサイトで見つけてきたんです。音色がとても綺麗です。そして、ジプシー/スパニッシュ風のギター演奏の言語と、ジャズ/フュージョンのギター演奏の言語、両方を兼ね備えた本格派のギタリストです。 

 

9、Beautiful Season  

 この曲を作ったのは比較的最近で、T-SQUAREのアルバム『WISH』へ向けての作曲期間に書いた曲です。伊東さんには、これまでに作曲やアレンジについて、そしてサックスとはどういう楽器なのかということも含めて、いろんなことを教わってきました。そんなアドバイスの蓄積をもって、伊東さんのサックスの魅力が最大限に活きるように書いたのが、この曲です。

 まさに伊東さんへ当てて書き下ろした曲なので、伊東さんに吹いていただけたことでこの曲は命を授かったのだと思います。決して派手な曲ではありませんし、和泉さんの曲のように絵に描いたようなドラマチックなものでもありませんが、どこか力を抜いた美学、そういうところが上手くできたと思います。

   

 


河野啓三 2ndソロアルバム
『BEST FRIENDS』10月24日(月)mora独占先行配信決定!!

河野啓三の2ndソロアルバム「BEST FRIENDS」がCDの発売に先駆けて10月24日(月)よりmoraにて独占先行配信されることが決定!AAC、ハイレゾ、DSDの全配信形態がmoraでいち早くお楽しみいただけます。

河野啓三

アーティスト情報

楽曲一覧はこちら 

1971年2月4日生まれ。 2000年秋よりサポート・メンバーとしてT-SQUAREに参加。演奏・作編曲において、その才能をいかん無く発揮、2004年末に正式加入。

TSQUAREにおいて”音楽総監督”的存在であった。

2019年2月の急病による治療・療養及び自分のペースで音楽活動を続けるとの理由から、2020年8月T-SQUAREを退団、ソロ活動開始。

2011年11月23発売1stソロアルバム「DREAMS」発売。

2022年11月23日に11年振り待望の2ndソロアルバム「BEST FRIENDS」発売。

【アルバム発売記念公演 「BEST FRIENDS」決定! 】

2022年12月9日(金)18:00開場/19:00開演

会場 東京・渋谷 LIVING ROOM CAFE & DINING

チケット代 7,000円 (別途1ドリンク、1フード制)

出演: 河野啓三、伊東たけし、坂東慧、宮崎隆睦、養父貴、田中晋吾、井高寛朗

■関連リンク T-SQUARE公式ウェブサイト : https://www.tsquare.jp