米津玄師が2019年もすごい! 日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』主題歌「馬と鹿」配信!
「Lemon」の300万セールス(ダウンロード・CDシングル累計)、「紅白歌合戦」への出場、そしてアジアツアー……と躍進を続ける米津玄師さん。
moraでは昨年「米津玄師のココがすごい!」として、「5つのポイント」から彼の魅力に迫る記事を公開しました。
米津玄師のココがすごい! 5つの切り口から2018年最注目アーティストを読み解く(moraトピックス)
2019年もリリースする楽曲が大型映画・ドラマ主題歌に続々起用されるなど、話題を振りまき続けています。
そんな米津さんのYouTube公式チャンネル登録者数が、8月5日に400万人を突破!
再生数では「Lemon」が4億再生、「打上花火」2.9億再生、「アイネクライネ」2億再生をはじめ、1億再生超えタイトルは8作品(Lemon、打上花火、アイネクライネ、LOSER、orion、ピースサイン、灰色と青(+菅田将暉)、Flamingo)。
チャンネルの総再生回数は20億回越えと、日々記録を更新中です。
TBS日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』に書き下ろした主題歌、「馬と鹿」を収録したシングルも配信中!
馬と鹿
カップリング曲として収録されている「海の幽霊」は、配信限定シングルとしても配信中です。
海の幽霊
本記事では以下、「Lemon」の大ヒット後~現在に至るまで米津さんがどのような歩みを辿ってきたか、5つのポイントで振り返っていきたいと思います!
米津玄師、「Lemon」後の躍進を振り返る5つのキーポイント
1. 幅広い楽曲提供
DAOKOが紅白歌合戦で歌唱した「打上花火」のヒット後も、幅広く楽曲提供を手がけています。
一方で子供たちによる純粋無垢なユニゾンが印象的な〈NHK〉2020応援ソング「パプリカ」、一方で俳優・菅田将暉の歌うドラマ『パーフェクトワールド』主題歌であり、シンプルながら奥深さを感じさせるバラード「まちがいさがし」。
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パプリカ
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まちがいさがし
“子どものころを思い返すことがここ最近の音楽活動に於いて、重要なテーマになっていたところに、ダイレクトに子どもへ向けた音楽を作ることになりました。子どもたちが素直に楽しめるものを作るためには、子どもの目線で生活を省みつつ、まず子どもを舐めないところから始めるべきだと思いました。この曲を聴いた子どもたちが、小さな世界を元気に生きていく為の糧になりますように。”
“灰色と青で出会えて以来、会えばその都度「なんかやりたいね」という話を続けてきて、出来上がったのがこの曲でした。
彼の歌を聴くたび、バーンと喉から勢いよく飛び出してくるその声に毎度震えます。
いろんな人に早く聴いてほしいですね。僕と同じように思うはずです。”
他者への提供楽曲には、より歌いやすく親しみやすい、米津さんの楽曲の持つメロディやリズムの「人懐っこさ」が表れているような気がします。今後の提供楽曲にも注目ですね。
「パプリカ」セルフカバーver.のミュージックビデオも公開! 配信シングルのジャケットを描いた、加藤隆さんが手がけるアニメーション映像となっています。
2. 進化したライブパフォーマンス
アジア各地での公演も開催された最新のツアー「脊椎がオパールになる頃」には、ドラムパフォーマンス集団の「鼓和-core-」が参加。映像演出ともシンクロしつつ立体的に展開するパフォーマンスは、観客に強い印象を残しました。
(彼らがどんなパフォーマンスを行っているかは、「鼓和-core-」でぜひYouTube検索してみてください!)
また、同ツアーには「LOSER」「Flamingo」の振り付けも担当した盟友ともいえる振付師・ダンサーの辻本知彦さん率いる「チーム辻本」もダンスパフォーマンスで参加。
主に打ち込みトラック主体の楽曲に参加し、米津玄師のインナースペースに潜り込むような不穏な世界観を表現していました。
「打上花火」に辻本さんが独自に振り付けを施したダンス作品。
米津玄師のダンスはどんどん進化していく、、、。
米津最強伝説
ダンスの練習時から私が呟いていたフレーズ。(笑)
もう一度言います
米津玄師のダンスはどんどん進化していきます、、、。
フラミンゴー
ゴー
ゴー
おめでとう嬉しいよ!あなたの踊りを観れて^^
フランスはパリより https://t.co/aVfr0ESQ9c
— 辻本 知彦 Tomohiko Tsujimoto (@waiwaisarasa) October 20, 2018
(辻本さんは米津さん自身のダンサーとしての才能も絶賛! お互いに刺激を受け続ける存在のようです。)
3. 異分野の才能との交流
辻本知彦さんや菅田将暉さんもそうですが、音楽面でも異分野との交流がつづきます。
「海の幽霊」で聴くことのできる大作映画にふさわしいオーケストレーションを手がけたのは、東京藝術大学を主席で卒業したという気鋭の作曲家・坂東祐大さん。
人気アニメ『ユーリ on ICE』のサントラや、今年初めに公開されたホラー映画『来る』のサントラなどにも参加しています。
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Oh! スケトラ!!! ユーリ!!! on ICE/オリジナル・スケートソングCOLLECTION
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来る (Original Motion Picture Soundtrack)
坂東さんは1991年生まれと、米津さんと同世代。芸術性の高い、いわゆる現代音楽を出自としながら、コーネリアスやディアンジェロなどを尊敬するミュージシャンとして挙げるという、新しい感覚を持った作曲家です。
そんな坂東さんが率いる器楽集団が、Ensemble FOVE(アンサンブル・フォーヴ)。若い世代の演奏家によって構成されていて、クラシック音楽の可能性を押し広げる活動を繰り広げています。
中でもサックスの上野耕平さん(1992年生まれ)は、ソロ名義でも複数の作品をリリースしています。
BREATH – J.S.Bach × Kohei Ueno –
Ensemble FOVEの特徴に関しては、下記の記事が読み応えがあり、おすすめです!
坂東祐大とEnsemble FOVEが創り出す「現代音楽」のポップな可能性(Webマガジン「ONTOMO」より)
4. 「オルタナティブ」な存在であることの自覚
個人的には予期せぬヒットだったという「Lemon」を経て、発表された両A面シングル『Flamingo / TEENAGE RIOT』。
インタビューではこの両曲について、以下のように語っていました。
“対面に人がいなかったのが大きいかもしれないですね、今までは「打上花火」のDAOKOちゃんとか、「灰色と青」の菅田(将暉)くんとか、もっと言えばタイアップ先の作品だとか、そういうものがある中で曲を作ってきたんですけれど、今回はそうではない。そうなったときに、自分の中にあるぐずぐずしたものとか、みっともなさとか、そういうものをまだ誰も聴いたことがないような形で出せたら面白いなっていうのはなんとなく考えてはいました。”(「Flamingo」について)
“今、中二病っていう言葉がすごく便利なワードになってるじゃないですか。自分もよくそう言われるし、なんならその筆頭みたいなところもある。そういうことに対して思うところもあって。初期衝動的な自分の感情をなんの枷もなく吐露することに対する恥ずかしさってあるじゃないですか。それが恥ずかしいことであるっていうことは間違いないんですけど、でも、今のSNSの時代って、そういうものにすぐツッコミが入っちゃうと思うんです。たとえばTwitterに自分の感情を吐露するようなことを書くと、やれポエムだ中二病だメンヘラだと言われてしまう。でもそれは当人にとっては、すごくシリアスな感情であって、吐き出さざるを得ないような言葉なんですよね。それがお手軽な言葉に全部回収されてしまって、相手にマウントをとられる材料になってしまう風潮に、個人的には「嫌だなあ」と思うところがあるんですよね。だからこそこういう、衝動的な……どこか稚拙であったとしても吐き出さざるを得ない感覚を大事にした曲を作りたいという思いはありました。”(「TEENAGE RIOT」について)
「オルタナティブ」をキーワードに、自身のコンプレックスや表現衝動について赤裸々に語ったインタビューも「Lemon」の大ヒット後に公開されました。
“学校に通ってたらクラスの中で共同生活をしなきゃいけないわけなんですけれど、そこで最初はみんな何を言ってるのか全然わかんなかったんですよ。自分だけ違う国の人間というか。自分は日本語をしゃべってるつもりなんだけど、相手の言ってること、何を意図してるのか全然わかんなくて、それに対してどう返していいかわからないから「あはは」って感じで適当に笑ってばっかりっていうことを長らくやってて。そういうところに対する居心地の悪さみたいなものがあって。自分の中でもそれに対して危機感があった感じです。”
“基本的には自己肯定感みたいなものはほとんどなかったですね。自分は落伍者だと思っていたので。社会的な、みんながやれてしかるべきことをすることが全然できない。単調な会話を続けることができないし、5分くらいしゃべったら「もういいや」ってなっちゃうし。そういう意味では自分は本当にダメなやつなんだなって意識があります。でも、そういう自己肯定感がほとんどない側面とめちゃくちゃある側面というのが両方あって。それは裏と表だと思います。音楽を作ったり、絵を描き続けてきましたが、そういうことをやる人って、思春期において、ある種の無敵感みたいなものがあるわけですよ。そういう無敵感は自分にもありましたね。その頃から、自分のことを天才だと思いながら生きてこれている。何の根拠もないその無敵感みたいなものが、自分は一度も折れることもなくここまで来た感じがしていて。いまだに自分のことを天才だと思うし、それは幸運なことでもあると思います。自分のことを必要以上に卑下することと、それは矛盾するわけでもなく両立している気がします。”
いよいよ大衆的なスターになろうかというタイミングで、このような言葉で自らを語るところに彼の信念を感じます。
答えの見えにくい時代。「いま、ここ」への違和感や鬱屈を抱えている人にも届いているということが、彼を時代を象徴する表現者へと押し上げているのかもしれません。
5. 意外に(!?)気さくな人柄と人間関係
紅白歌合戦で、「Lemon」を歌い上げ、カメラを正面から見据えて繰り返された感謝の言葉。
「ありがとうございました。この場を用意していただいた全ての方に感謝の言葉を述べたいと思います。どうもありがとうございます」
そして見せた笑顔。この一幕に好感を持たれた方も多いかと思います。
その後はプライベートで様々な交流の様子を垣間見せてくれるようにもなりました。
米津さん自身が影響を受けたバンドと公言する、RADWIMPS・野田洋次郎さんと、BUMP OF CHICKEN・藤原基央さんと。
「ネット発」のカリスマとして、YouTuberのヒカキンさん・ワタナベマホトさん、音楽ユニットAfter the Rainのメンバーでもある「歌い手」の“まふまふ”さんと。
「ああ、米津さんも人間なんだ……!」となんだかホッとしてしまいますね。
テレビなどのマスメディアには滅多に姿を見せないものの、自身のTwitterやブログ、そして友人のみなさんとのオフショットの中に不意に登場することが、かえって「近さ」を感じさせる要因になっている気がします。
いかがでしたでしょうか?
こうして振り返ってみても、まだまだ進化・深化の途上にあるアーティストだとつくづく感じますね。令和、そして2020年代も、時代と響き合う素晴らしい楽曲を届けてくれると期待したいです。
今後もmoraは米津玄師を追い続けていきます!