サラウンドの巨匠とチェンバロの名手が目指したものとは?深田晃による待望のDXD新録が配信開始!

ハイレゾ黎明期の2013-2014年に驚異のハイスペック・レコーディングを敢行して話題となった「天上のオルガン」「天使のハープ」。その両アルバムのレコーディングを手掛けた世界的エンジニア・深田晃の自主レーベルから、待望の新録がリリースされました。

PCM 192kHz/24bit, DSD 11.2MHz/1bit(オリジナルレコーディングはDXD 352.8kHz/24bit)の配信です。

 

「メディテイション ~フローベルガーの眼差し~」

桑形亜樹子(チェンバロ)

試聴・購入(DSD 11.2MHz/1bit)

試聴・購入(FLAC 192.0kHz/24bit)

試聴・購入(AAC)

 

「メディテイション ~フローベルガーの眼差し~」プロモーション・ムービー

 

深田晃は、CBS/SONY(現Sony Music Entertainment)録音部チーフエンジニア、NHK放送技術局制作技術センター番組制作技術部チーフエンジニアを歴任した世界的なレコーディングエンジニア。

とりわけサラウンド収録用に考案されたマイク設置方式「Fukada Tree」は、1997年のニューヨークでのAESコンベンションで発表されて以降、様々な文献で紹介されています。

 

クラシック、ポップス、映画作品ほかさまざまなジャンルの録音を手がけてきた深田が、このたび自主レーベル「dream window」から満を持してリリースしたのが、こちらの新録「メディテイション ~フローベルガーの眼差し~」。

2016年に生誕350年、2017年に没後300年を迎えた作曲家、ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー(1616-1667)の作品を扱ったチェンバロのアルバムです。

 

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演奏は、フローベルガーに格別の思い入れを持つチェンバロ奏者、桑形亜樹子。

17世紀にドイツのシュトゥットガルトに生まれ、ヨーロッパ中を旅しつつ独自の作風を確立していった初期バロック時代の音楽家・フローベルガー。そんな彼の作品の中から、今回は「死」をモチーフとした作品を中心に選曲が行われました。

 

とりわけ注目したいのは、パルティータ第6番(FbWV612)。他の5つのパルティータは「Allemand – Gigue – Courante – Sarabande」という4曲で構成されていますが、この第6番だけは1曲目が「Lamento(ラメント)」=哀歌。20歳の若さで亡くなったフェルディナンド4世への追悼のために作曲されました。愛する子を失い哀しみにくれる父王フェルディナンド3世の心を慰めるため、フローベルガーは、曲の最後に、3オクターブにわたる「天国への階段」を描いたといわれています。(トラック6 6:36~)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パルティータ第6番 1曲目「Lamento」の楽譜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音階が描く「天国への階段」(赤枠内)

 

最終トラックの「メディテイション」もまた、死というモチーフを持つ作品。「将来の自分の死に対する瞑想(Meditation)」を描いており、楽譜の最後にはラテン語で”Memento mori(死を憶え)”という言葉が残されています。

まるで、生前に書かれた自分への追悼曲のよう、といえるでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェンバロは桑形本人が所有する、1638年製作のヨハネス・ルッカースの復刻品。

アルバムのジャケットにも使用されている、内蓋の美しい装飾にもご注目を。

 

「ただ単にマイクが音を拾ったものが録音なのではない」と、深田は言います。

「まるで画家が様々な絵具や表現手法を用いて1枚の画を完成させるように、様々な知識と技術を動員して「いかにその音を表現するのか」が音楽録音」

(引用元:https://www.phileweb.com/review/article/201611/11/2274.html)

 

そんなレコーディング哲学を持つサラウンドの巨匠と、チェンバロの名手が目指したものとは?その答えが存分に表現されている新録です。

 

 

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古楽器をハイレゾで聴く愉しみをもっと味わいたい方へ。リューベックの伝統ある教会で録音されたこちらのオルガン作品集も、本日から先行配信がスタートいたしました。

 

Erinnerung エリンネルング ~ オルガン音楽・300年の伝統

大木麻理(オルガン)

試聴・購入(FLAC 96.0kHz/24bit)

試聴・購入(AAC)

 

 

録音は、北ドイツの港町リューベックにあるゴシック様式の教会、聖ヤコビ教会。

演奏は、ブクステフーデ国際コンクール優勝者であり、2018年度からミューザ川崎シンフォニーホールのホールオルガニストに就任する、最注目の俊英・大木麻理。留学先で親しんだこの歴史ある教会に設置された3台のオルガンのうち、北壁にある初期バロックの3段鍵盤のオルガンと、西壁にある4段鍵盤のオルガンの2台を自在に奏で、北ドイツスタイルのバロックから20世紀の名作まで、ハイレゾで味わうにふさわしい実にたっぷりとした、かつ華のあるサウンドを聴かせてくれます。

レコーディング・エンジニアは、「バッハ・コレギウム・ジャパン」をはじめ良質な録音で知られる「BISレーベル」の諸作を手掛ける名匠、ハンス・キプファー。個々のパイプの発音ディテールから教会全体の響きまでが見事なバランスで収録されています。

 

 

 

 

 

 

 

北壁のオルガン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西壁のオルガン

 

アルバムタイトルのErinnerung(エリンネルング)は、ドイツ語で「思い出、記憶」の意味。

リューベックへの留学歴をもつ大木にとって、この教会のオルガンはまさに「思い出」そのもの。留学の記憶と、オルガン300年の伝統の歴史が、演奏のなかでひとつに溶け合います。

ブクステフーデ、バッハ、リストのおなじみの作品と、この大オルガンのために作曲されたディストラーの壮麗なパルティータを、たっぷりとお愉しみください。