【氷川 きよし一斉解禁記念インタビュー】一番のHappy!は“たくさんの方に応援してもらえたこと”、活動休止前に振り返る音楽への思い

 11月30日(水)に、デビュー曲「箱根八里の半次郎」や「きよしのズンドコ節」、日本レコード大賞 大賞に輝いた「一剣」など、氷川きよしが歩んだ22年間の歌手活動で発表された、589曲が一挙配信開始。
解禁楽曲はこちらから!

配信を記念して、これまでの音楽活動を振り返り、歌手として学び、自身が大切にしてきたこと、活動休止直前の素直な気持ちを聞いた、moraスペシャルインタビュー。

 

はじめて人前で歌ったキャンペーン、あの時の緊張は今も忘れられません

――今回、旧譜作品がデジタル配信されることとなりましたが、その経緯をお聞かせください。

氷川 きよしさん(以下氷川):これまでリリースした作品をより多くの皆さまに聴いていただきたいという想いもあって、スタッフの皆さんとデジタル配信をしようということになりました。

 

——配信開始となった作品のなかで、特に印象的(転機となったなど)な作品を3つ教えてください。

1.「箱根八里の半次郎」

氷川:2000年2月2日に念願の歌手デビューをした楽曲です。高校三年生のときに参加したオーディション番組がきっかけで、作曲家の水森英夫先生から声をかけていただき、高校を卒業して上京。水森先生にレッスンをつけていただきながら修行して2000年、北野武監督に「氷川きよし」という芸名をつけていただいて、2月2日にこの曲でデビューしました。

「箱根八里の半次郎」

通常

2.「白雲の城」

氷川:2003年に発売して、その年の年末に紅白歌合戦のトリ前で歌わせていただいた楽曲です。2016年の紅白歌合戦でも歌唱させていただいたのですが、その時は、その年の4月の地震で被災した熊本城から中継で歌わせていただきました。自分も同じ九州出身なので、熊本の皆さまに歌で元気をお届けしたいという想いで歌わせていただきました。

「白雲の城」

通常

3.「限界突破×サバイバー」

氷川:自分の歌手人生でも大きな転機となった一曲です。大好きなアニメ「ドラゴンボール超」のテーマソングとしてレコーディングした楽曲ですが、本当にいろんな限界を突破できる、勇気を持たせてくれる一曲です。この楽曲をきっかけにジャンルにとらわれず、色々な楽曲を歌っていきたいという気持ちが強くなった楽曲です。

「限界突破×サバイバー」

通常

 

——元々ポップスがお好きということで歌手を目指されたそうですが、なぜ演歌の道を志すようになったのでしょうか。歌手を目指したきっかけや当時憧れていた歌手、演歌との出合いをお聞かせください。

氷川:小学生の頃、松田聖子さんのコンサートを見て歌手に憧れるようになりました。最初はポップスを歌っていたのですが、高校時代に通っていた芸能教室で、ご高齢の歌の先生に「演歌を歌ってほしい」と頼まれたことがきっかけで演歌を勉強して歌うようになりました。 ある時その教室から老人ホームに慰問に行ったことがあって、演歌を歌ったらおじいちゃんおばあちゃんが泣いて喜んでくれたんです。自分が歌うことで喜んでもらえるなら「歌手になりたい」と、より一層と強く思いました。

 

——デビューされて、はじめてファンの皆さまの前で歌われた時の思い出を教えてください。

氷川:デビュー日の2000年2月2日は自宅にいて、翌日はレコード会社でコツコツサイン書きをしていました。歌手として初めてお客さまの前で歌ったのはキャンペーンでした。すごく緊張したのを覚えています。今でもステージの前は緊張しますが、メイクや準備をしていくと自然にスイッチが入っていきます。

 

——CDからダウンロード、そして時代はサブスクへ。デジタル化が進み、この10年で音楽の楽しみ方にも変化がありました。氷川さんの音楽活動においても影響はしていますか?

氷川:子供のころはカセットでしたし、今はCDからサブスクになってきていますが、音楽はいろんな楽しみ方があっていいなと思いますし、皆さんがそれぞれのかたちで楽しめたらいいのかなと思います。音楽の楽しみ方に変化があっても左右されず、レコーディングにおいてはしっかりと歌詞が伝わるようにということが一番だと思います。

 

——氷川さんご自身は普段どのように音楽を聴かれていますか?

氷川:氷川:CDももちろん聴きますが、最近は携帯で好きな音楽を探して聴くことが多いですね。色々なジャンルを聴きますが、洋楽とかも多いです。

 

一番の味方は“母”。1人でも肯定してくれる人がいたら、強く、自分らしくいられる

 

——氷川さんも印象的な作品の1つとして挙げていた、サブスクが普及しつつある2017年にリリースされた「限界突破×サバイバー」。ロックなナンバーをダイナミックに歌い上げるパフォーマンスはとても印象的で話題となりました。リリース当時の心境を教えてください。

氷川:大好きなアニメ「ドラゴンボール」のテーマソングを歌えるということで、お話をいただいたときはとても嬉しかったです。さいたまスーパーアリーナで行われた「Animelo Summer Live」に出演したとき、約3万人のお客さんがすごく盛り上がってくれて、歓声がものすごくてとても嬉しい気持ちになりました。

 

——2020年に初のポップスアルバム『Papillon(パピヨン)』をリリースされました。デビュー20周年という節目に、本格的にポップスの楽曲を歌われるようになったのは、音楽活動にたいする心境の変化があったのでしょうか。

氷川:そもそも音楽はジャンルにとらわれることはないと思っていて、この初めてのポップスアルバムはその時にやりたいサウンドをすべて詰め込んだ一枚でした。自分らしく生きるということの大切さを伝えたいと思って制作したアルバムでした。ファンの皆さまの前で、演歌以外のジャンルの楽曲を披露するにあたっても、デビューした翌年から河村隆一さんに書いていただいた「きよしこの夜」など、ポップス楽曲も歌ってきましたから、不安などはありませんでした。

実際に楽曲を披露する時もジャンル関係にとらわれず、どの楽曲もその世界観をしっかりと伝えることが大切だと思っています。特に演歌は歌の主人公になりきって、時代感や心情などを伝えることが大事です。ポップスはよりメッセージを伝えられるように、素直に歌うようにしています。

歌の世界観を視覚からも広げられるように、衣装も生地やデザインなど、とてもこだわって作っています。和装洋装、歌の世界を伝えるために、より自由な発想で衣装も制作しています。その衣装を着るあたり、もちろん体型管理も注意していますよ。美しく着こなし、歌の世界を表現できるように、肌のお手入れなども気を配っています。

 

「Papillon(パピヨン)-ボヘミアン・ラプソディ-」

通常

——昨年リリースされたアルバム『You are you』。前作からの延長にあり、“あなたは、あなたなんだ”と自分らしさの大切さを、力強いメッセージと共に表現されています。22年間の音楽活動をとおして、氷川さんのこれまでの経験がこの作品に込められているのでしょうか。

氷川:より明確に自然体の自分を大切にしようというメッセージを盛り込んだ作品が2枚目のポップスアルバム『You are you』です。特に表題曲の「You are you」は私がkii名義で作詩した一曲で、「あなたはあなたのままでいいんだよ」という、ポジティブなメッセージを伝えたい一曲でした。

 

——“自分は自分なんだ”と、自分自身の軸をしっかり持って活動していくことは、時に辛いことや大きな壁にぶつかることもあったのではないかと思います。氷川さんの前にはどんな壁が立ちはだかり、どのように乗り越え、糧にしてきたのか、教えてください。

氷川:仕事が忙しい時は自分でもプレッシャーに感じることはありますが、とにかく自分の心を強く持つことで、一生懸命取り組んできました。常に自分らしくあることが大切だと思います。

 

「You are you」

通常

——学校や仕事など生活するうえで、“自分らしくありたい”と思いながら、時にはどうしても“自分の気持ち”を、心に閉まっておかなければいけない時があると思います。氷川さんは音楽活動をされるなかで、そのような状況に陥った時どのように自分の気持ちと向き合っていたのでしょうか。

氷川:ひとりでも自分を肯定してくれる味方がいると心を強く持てると思います。私にとっては母が一番の味方でした。どんなことを言われようとも、自分の心を強くもつことが一番大切だと思います。

 

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