【森口博子インタビュー】『 ANISON COVERS 』配信開始!“アニソンは一生の宝物”

  ガンダムの名曲たちをカバーした『 GUNDAM SONG COVERS 』が話題を呼んだ、森口博子の新たなカバーアルバムが登場。今回は“大人のためのアニソンカバー”がコンセプト。前作からの流れを引き継いだ、“大人の”シリーズやアニソンへの思い、歌手活動についてこれまでの軌跡を振り返りながら、今作の魅力をたっぷり語ったインタビューをお届けします。

 

『 ANISON COVERS 』
森口博子

AAC ハイレゾ

 

きっかけはファンの声、ノスタルジーのなかで新たなアレンジと歌声を楽しんで

――“大人のためのガンダムソングカバーアルバム”をコンセプトにした、人気シリーズ『GUNDAM SONG COVERS』に次ぎ、今作も、あえて“大人の”としたのはなぜですか?

森口博子さん(以下、森口):『GUNDAM SONG COVERS』が大好評で、昨年の3月に最終章を発表した時、ファンの方々から「もっともっといろんなアニソンを歌ってください」というリクエストが届きました。実はその頃には企画があがっていて、既に構想してワクワクしていました!人格形成期に聴いたアニソンは裏切らない!大人になった私たちに再び新しい力を与えてくれます。懐かしい感情とは・・・。それだけ長い年月、色々なことを乗り越えて生き抜いてきた証だと思っています。

大人になると、褒められることも叱られることも少なくなってきますが、今回のアルバムが頑張ってきた自分へのご褒美、労いの音楽、歌声になってくれたら嬉しいです。それぞれのノスタルジーとともに、あのメロディーや歌詞をもう一度。そこにオリジナルのアイデンティティを受け継いだ新しいアレンジと歌で、新たな楽しみを見つけてもらえたらと。 豪華ミュージシャンの方々とのコラボレーション三昧!アニソンや、森口博子に興味がない方にも音楽的に楽しんでいただけると思います。

 

――テレビ番組 BS11「Anison Days」にてレギュラーMC を務めながら、250 曲を超えるアニソンをカバーされてきたとのことですが、今回収録した楽曲はどのように選曲したのでしょうか。

森口:アニソンの名曲は果てしないので80年代90年代に縛って選んでいました。番組でカバーした時、強い衝撃を受けた曲や、新たな発見で涙がこぼれた曲、ライブで好評だった曲、ファンの皆さんが、きっと喜んでくれるに違いない人気楽曲などを選ばせていただきました。

 

――『GUNDAM SONG COVERS』から引き続き、今回も豪華なアーティストともに、原曲の世界観を踏襲しつつ、様々なジャンルでアレンジされています。各作品のアレンジはどのように決められたのでしょうか。

森口:スタッフの方々とアイディアを出し合いました。参加してくださったアーティストの方々には希望する基本的な方向性のイメージと「オリジナルの印象的なフレーズは必ず残して下さい」とリクエストを。そこへアーティストのみなさんならではのアレンジを加えていただきました。その塩梅が森口博子のカバーアルバムは絶妙なのです!とにかくアーティストの方々、それぞれの世界観が素晴らしくて、生楽器の魅力があふれています。DJ赤坂泰彦さん、押尾コータローさん、酒井ミキオさん、塩谷哲さん、武部聡志さん、寺井尚子さん、マーティ・フリードマンさん、携わってくださった全ての皆様と一緒に愛と情熱を注ぎこんだ作品です。

 

――特にお気に入りの収録曲はありますか?

森口:

①悲しみよこんにちは / with 酒井ミキオ

86年リリース当時、悲しみに対してどうして「こんにちは」なのか子供ながらに疑問でした。でも大人になって気づいたんです。消すことのできない悲しみや傷を受け入れて上手に付き合っていく。悲しみのなかの微笑だということを、森雪之丞さんのすばらしい歌詞に教わり号泣しました。玉置浩二さんの寄り添うメロディー、武部聡志さんのイントロからインパクトのあるアレンジ、全てがパーフェクト!今回は酒井ミキオさんアレンジのポップとジャズの融合が素晴らしい!生のブラスで厚みが広がり、多幸感があります。

②そのままの君でいて / with 武部聡志

マイナーコードで80年代ならではの歯切れの良いサウンドが心地よい。番組でカバーした時は、心身ともに落ちている時で・・・。“夢は君の武器のはずだよ”と言うフレーズに泣けてきました。4歳の頃から、歌手になるという夢があったからここまでこれたのに、何故立ち止まっているのか?背中を押され初心に帰れた楽曲。カバーでは、武部聡志さんにピアノロックでとリクエストを。イントロから武部さんの洗練されたピアノがとにかくおしゃれでかっこいいです!

③LOVE SONG 

こんな素晴らしいアニソンを埋もれさせてはもったいない!となんとしてでも入れたかった楽曲。胸が締めつけられる歌詞、民族的で広大なメロディーとアレンジ。出会った時、衝撃的でした。今回のリアレンジはアルバムの音楽プロデューサー、時乗浩一郎さん。ストリングスでよりエモーショナルな仕上がりに。イントロなしのアカペラでいきなりこぶしを回した歌い出しはインパクト大です!

④夢を信じて / with 塩谷哲

“夢を信じて”というストレートでシンプルな歌詞が刺さりました。学生時代、歌手になるためのオーディションに受けては落ちまくり「夢があるから頑張れているのか、夢があるから苦しめられているのか、神様、わからなくなってきました」と日記に綴っていたあの頃。今は胸を張って夢があったから生かされているといえます。塩谷哲さんのピアノ一本でボーカルと同時レコーディングに挑戦。透明感のある塩谷さんのピアノがとにかく美しい!伝えたい歌詞がよりクリアに聴こえてきます。MVもお勧めですよ。

 

――レコーディングの際、気をつけたところなどはありますか?

森口:とにかくリラックス!お気に入りのスニーカーに履き替えて臨みます。そして基本に返り、ブレスのタイミングや深さも大切にしています。歌の表情が変わるので重要です。

 

――ハイレゾでの聴きどころを教えてください。

森口:以前、moraでアルバムが1位にランクインするなど、丁寧に作った作品が好評で本当に感激です!熱いスタッフのみなさんと豪華ミュージシャンの方々と今回も燃えました! 生楽器を主体としたこのアルバムのレコーディングは、微細なダイナミクスの変化を受け止めるべく96KHz/32bitで録音が行われました※1。ハイレゾ音源では、楽器や歌がレコーディングスタジオで本来鳴らしていた豊かな艶や響きを、より高い解像度で感じていただけると思います。特に本アルバム収録の「そのままの君でいて / with 武部聡志」「風のノー・リプライ / with 寺井尚子」「City Hunter ~愛よ消えないで~」「夢を信じて / with 塩谷哲」は楽器と歌の同時レコーディングを行いました。そんなライブの臨場感が醸し出す音にならない緊張感、私達が発する息遣いも、余すことなく感じてもらえると思います。

※1 :moraでは96.0kHz/24bitで配信中。

 

――音楽を聴く環境にもこだわりがあるのでしょうか。普段はどんな音楽を聴いていますか?

森口:よく聴くのは、18歳の頃から憧れたジャズ。リラックスしたいときは細胞に効くモーツァルト。初心に帰りたい時はアニソン。特に「キャンディ キャンディ」のエンディングテーマ「あしたがすき」を聴いています。テンションを上げたい時はラテン!グロリア・エステファンの「Conga」をよく聴いていて、その時の気分によって様々です。音楽を聴く環境は、普段は車のオーディオやスマートフォン内蔵のスピーカーなどが多いです。レコーディング音源のチェックでは、歌や楽器の細やかな変化を聴き分けられるようにライブで愛用しているカスタムIEMを使用しています。

 

――ジャケ写のデザインもカラフルで、レトロな雰囲気がとても可愛らしいですね。 

森口:80年・90年代のアニソンカバーなので、その時代を感じるテイストと現代の新しい解釈も感じられるイラストをと思いました。Instagramでお見かけして素敵だと感じたイラストレーターの電Qさんに依頼させていただきました。1985年のデビューアルバム『水の星へ愛をこめて』のジャケットをモチーフに、聖子ちゃんカット時代の私が描かれています。実は衣装も胸のお花のブローチも当時のまま。周囲に描かれているスノードームやラジカセなども懐かしくてキュンキュンしますよね。

 

夢を叶えてくれたガンダムは“運命の作品”、大人のシリーズ・・・次回作は・・・?

――原点を振り返らせていただきたいのですが、あらためて森口さんが歌手を目指そうと思ったきっかけを教えてください。 きっかけとなった瞬間や憧れのアーティスト、そのアーティストの好きなところを教えてください。

森口:4歳から歌手になると決めていました。テレビから流れてくる、歌謡曲やポップスに夢中でしたね。小学生の頃、中野サンプラザで行われる全国放送のちびっこの歌番組にも出演したことがあるんです。毎年ステージに立たせていただき、お客様の拍手に包まれて、子供ながらに生バンドの快感を知り興奮したことが、ライブの原体験です!

憧れは松田聖子さん。声、楽曲、表現力、ルックス、髪型、衣装、すべてがパーフェクト!張りがありながら、心にすーっと入ってくる甘い歌声。特に子音が強調されるサ行、タ行、ラ行の響きは唯一無二。

 

――松田聖子さんの特に好きな楽曲を教えてください。

森口:

「セイシェルの夕陽」

一気にその世界に引き込まれる松本隆さんの小説のような歌詞。大村雅朗さんの美しいメロディーはもちろんアレンジが秀逸!アイドルのアルバムのバラードで、イントロからフリューゲルホンを入れるセンスの良さにうっとり!

「ガラスの林檎」

細野晴臣さんの神聖なメロディー、イントロから神々しくて言葉を失う程。♪聞こえないふり♪のあとのストリングスのカウンターメロが美しすぎて失神しそうです。そして幻想的な、松本隆さんの歌詞がとても素敵です。男女の愛し合う美しさや繊細さを感じます。淡々と歌い出す聖子さんの歌唱力が炸裂しています。

 

▼森口博子お気に入りの楽曲をチェック!

『 SEIKO STORY~80’s HITS COLLECTION~ 』
松田 聖子

AAC ハイレゾ

 

――森口さんが歌手としてパフォーマンスをされる際、大切にしていることは何ですか?

森口:

●心技体。

●言葉を大切に、心身の開放。

●常にすべての出会いに感謝の気持ちを忘れない。

 

――これまでの歌手活動を振り返るなかで、一番の“出会い”は何ですか?

森口:デビュー曲「機動戦士Ζガンダム」のオープニングテーマ「水の星へ愛をこめて」に出会えたこと。この曲にファンのみなさん、支えて下さっているすべての皆さまとの出会いが詰まっています。今、生かされていることのすべてのはじまりです。

「 水の星へ愛をこめて~ 」
森口博子

AAC

 

――森口さんにとってデビューのきっかけとなった“ガンダム”そして“アニソン”とは どのような存在でしょうか。

森口:ガンダムは4歳から歌手になると言う夢を叶えてくれた、運命の作品。人生の恩人であるパートナー。 10代、20代、30代、40代、50代と各年代で新しいテーマソングを担当させていただきました。世代も国境も超えて熱く繋がることができる、生涯大切にしたい幸せな使命だと思っています。最初にも言いましたが、ほんとうに人格形成期に聴いたアニソンは裏切らない!寄り添ってくれたり、鼓舞させてくれたり。アニソンは一生の宝物です。

 

――“大人のためのガンダムソング”、“大人のためのアニソンカバー”・・・ 次なる“大人の”シリーズを・・・期待してもよろしいでしょうか。

森口:はい!期待される作品を届け続けられる歌手でいたいです!! みなさんにたくさんたくさん聴いていただけたら、実現するので。次作でまた!言霊です。

 

――ちなみに、次回新たに“大人の”シリーズをリリースされるとしたら、 どのようなコンセプトにチャレンジしてみたいですか?

森口:それは・・・・お楽しみのため秘密(笑)

 

――今後の音楽活動にて挑戦したいことや目標などがありましたら、教えてください。

森口:緊急事態宣言が発令された時、夏のライブツアーがすべて中止になってしまいました。その後も声出しNGのコンサートのみだったので、またみなさんと声を重ねて盛り上がれる全国ライブツアーが復活できれば嬉しいです。お客様の拍手と笑顔が大好物です!声優にも挑戦してみたいです!

 

――今回のアルバムを楽しみにしていた、ファンのみなさまへメッセージをお願いします。

森口:アルバムを聴いて下さり本当にありがとうございます。令和に、50代にしてまだまだこんにも贅沢なアルバムを、豪華ミュージシャンの方々の素晴らしい演奏で制作できたこと、心から幸せです。ファンのみなさんが必要としてくださっていることがモチベーションになりました!

そんなあなたへこの『ANISON COVERS』が明日の活力になりますように。

 

インタビュー:mora スタッフ

 

 

▼過去の配信曲はこちら▼