遂に竹原ピストルVer 配信開始 「サンサーラ」が持つ力強さ ~カバーされる名曲たちとその魅力~

カバーされる名曲たちとその魅力

原曲に尊敬の念を込めながら、名曲を自分たちなりにアレンジして世に放つカバーソング。

世の中に星の数ほどある名曲の中から、よくカバーされる楽曲をmoraスタッフが自らが選び、その原曲とカバー曲の魅力を紹介するコーナーです。

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<紹介する楽曲:サンサーラ>

ドキュメンタリー番組の「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系 毎週日曜14:00~)のテーマ曲。番組をご覧になった方ならこのテーマ曲の威力の大きさはご存知の通りでしょう。今回は「ザ・ノンフィクション」を見ている・見たことのある人向けの記事になります。もちろん私も毎週かかさず見ています。30代になってから見るようになりました。

ドキュメンタリー番組エンディングは、その曲の威力のすさまじさは皆さんご存知の通りでしょう。
『情熱大陸』の「Etupirka 」(葉加瀬太郎)、『プロフェッショナル 仕事の流儀』の「Progress」(kokua)、『ドキュメント72時間』の「川べりの家、」(松崎ナオ)、どれをとっても番組とのマッチングがすさまじく、番組のおかげで曲の良さが際立つのか、曲のおかげで番組の良さが際立つのか、はたまた両方か。
いずれにせよ、名曲揃いのドキュメント番組ですが、その中でも群を抜いて音楽と抜群のマッチングをしているのが「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系 毎週日曜14:00~)の「サンサーラ」。”生きてる 生きていく”、この歌詞のインパクトの強さもあり、番組を見終わった後にはこの曲のおかげか、何とも言えない前向きな気持ちになるのは私だけでしょうか?

「サンサーラ」の魅力は、聞く側の状況によっていろんな景色を見せてくれる。例えば、定時よりも少し早く会社を出れたとき、いつも降りる駅より一つ前の駅で降りて夕暮れの中を歩きながら「サンサーラ」を聞いてみるとどうだろうか? 「ザ・ノンフィクション」の主人公になったような気になりますので、是非一度お試しあれ。

 

(2020年5月13日追記)

遂に竹原ピストルによる「サンサーラ」が配信開始。今年2月に放送された「アメトーーク!」の『ザ・ノンフィクション大好き芸人』にてチャン・カワイに「ブルースのようなサンサーラ!」と言わしめるほど、竹原ピストルの色が濃く出ているのは、番組のエンディングのみでも十分伝わっていた。ようやくフルコーラスが聴ける、まさに待望の配信開始。

2020年2月掲載「2月20日(木)「ザ・ノンフィクション大好き芸人」放送」記事はこちら

 

<紹介するmoraスタッフ>

・名前:ハイレゾマンの中の人
・年齢:社会人として脂が乗りに乗っている30代中盤
・性別:男性
・趣味:サッカー、ダンス、お笑い鑑賞、汗をかくこと。
・担当:mora編成・宣伝全般

ギター弦の銅の匂いまで感じられるような臨場感
曲が進むにつれ音数が増減するのは、まるで一人の人間の歴史を見ているかのよう

リョウメンシダ/サンサーラ/竹原ピストル

竹原ピストル「サンサーラ」
(2020年1月から放送)

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ライブツアー中に楽屋で「サンサーラ」を歌い続けた末にレコーディングに臨んだという。また、番組のチーフプロデューサー西村陽次郎氏が竹原ピストルに歌い手を決めた理由として「ボタボタと滴り落ちる汗をぬぐいもせず、ギター1本でマイクに向かい、地面から鳴り響いてくるような歌声。竹原ピストルさんの歌う姿が『ザ・ノンフィクション』という番組の世界観と1つに結びついたんです」とコメントしている。この背景の通り、フルコーラスで聴くと ”人間らしさ” という単語が強烈に目の前に浮かんでくる。人生には決まったリズムも無いのである。

まず、圧倒的に今までのサンサーラに比べて音数が少ない。声、ギター、曲終盤にピアノとハーモニカ。彼が愛用しているギターはYAMAHA FG200らしく、今回のレコーディングにもその相棒と共に臨んだと推測するが、ギターの弦の銅の匂いまで感じられるくらいギターの音の臨場感。”ライブ会場にいるみたい”という表現では圧倒的に伝わらない、表現力の乏しさに悔しさすらおぼえる。

そして弾き語りから音数が増えていくこのアレンジは、もしかしたら一人の男の人生を表しているのではないかと考察できた。イントロから2コーラス目まではアコースティックギターと声のみ。自身の声とアルペジオでつま弾くギターによる自由律は、まるで一人暮らし。2コーラスが終わり間奏で鍵盤が入る、これは二人暮らし・結婚を想像できる。間髪入れずハーモニカが入る、まさしく子供ができたのだろう。この勢いに続いて大サビではギターがアルペジオからストロークで力強く掻き鳴らされピアノと重なり歌唱にも一定のリズムが生まれる、これは一家の大黒柱としての責任感を表現しているのだろうか。順風満帆な人生でこのまま盛大にフィナーレを迎える、と思いきやラストのサビでは再びアルペジオでつま弾かれたギターと声。離婚か死別か、別れによってふたたび一人になり、静かに幕を下ろしたのだろうか

公式に発表した竹原ピストルによるコメント
「壮大さにおいて、自分では絶対に書けない歌詞ですし、多彩さにおいて、自分では絶対に書けないメロディーです。やはりとても難しかったけれど、こういうことかな、、とか、こうしてみたらどうだろう、、と、自分の“間”や解釈と摺り合わせていく作業がとても楽しかったし、とても良い経験をさせていただいたと思っています。
そして、自分なりに、自分なりの体重を乗せた「サンサーラ」を歌うことができたと思っています。「サンサーラ」を歌わせていただいたこと、そしてそれを「ザ・ノンフィクション」で使っていただけること、とても光栄です。歌唱が、番組とうまく溶け合えたならば嬉しいです。」

 

 

浮遊感と幻想感の極致
森に迷い込み、生き残るためにもがく映画ような、輪廻転生を音で表現

ベスト/エキセントリック・オペラ

エキセントリック・オペラ・リローデッド feat. リカコ「サンサーラ」
(2008年 オープニングテーマ)

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2008年当時、 『ザ・ノンフィクション』オープニングで起用されていた楽曲。今ではエンディングで力強く流れることに慣れている視聴者も多いだろうが、この曲がオープニングに流れることで一気に番組が引き締まる気がすると同時に、当時の放送を見ていない自分を悔やむ。
楽曲は頭サビで”生きてる 生きていく”とお馴染みのフレーズで始まる、しかしその後しばらく日本語は聴こえてこない。この後のAメロもサビも、日本語ではない歌詞でささやくような歌唱が続き、強烈な浮遊感と幻想感を生み出す。『ザ・ノンフィクション』が都会を中心とした1時間の人間ドラマだが、このエキセントリック・オペラ・リローデッド feat. リカコ「サンサーラ」はまるで『もののけ姫』に出てくるような大自然の森に迷い込んだ人間が、必死に幻想と戦いながらもがいて生きる2時間の映画のような感覚だ。
そして最後のサビで「生きることはサンサーラ」。もう何も言葉は出てこない、今曲を聴いている自分は大自然の森の中ではないことに感謝して、そっと耳からイヤホンを抜きたくなる曲だ。

 

 

まずは違和感。のちに納得。
従来のアプローチを変えて前向き感が強まった「サンサーラ」

サンサーラ/The Super Ball

The Super Ball「サンサーラ」
(2019年4月から担当)

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3月まで担当していた宮田悟志による「サンサーラ」と同じ、26秒間のイントロ。”来たぞ”という感覚で番組視聴者は心つかまれること間違いない。瀬川あやかによる「サンサーラ」がアコースティックギターとピアノによるイントロだが、今作はピアノのみ。それによって優しさが増している。どんなに凄惨な放送内容でも前向きな気持ちに切り替えてくれる。
番組ではAメロBメロでナレーションや放送と音が重なりあまり音楽が立っていないのだが、曲だけを聞いてみると今までの「サンサーラ」とは大きな違いが。コードが違う。これは初めて聞いたときには正直、違和感だった。特にBメロ「命つないで」では、従来のクッション的な役割がない。しかしサビに向かう直前にはストリングスが前に出てきて、より劇的なアレンジに盛り上げ、遂にはツインボーカルならではのサビ「生きてる 生きていく」。なるほど、このメッセージがより伝わるためのアレンジなのかと。AメロBメロで感じた違和感は今までの「サンサーラ」とは違いThe Super Ball風にアプローチし、サビに全てを集約させるべきなのかと。もちろんこの解釈があっていない可能性もある。

「サンサーラ」の魅力は、聞く側の状況によっていろんな景色を見せてくれる。例えば、定時よりも少し早く会社を出れたとき、いつも降りる駅より一つ前の駅で降りて夕暮れの中を歩きならが「サンサーラ」を聞いてみるとどうだろうか? 「ザ・ノンフィクション」の主人公になったような気になりますので、是非一度お試しあれ。

 

 

 

優しい…。優しすぎるが、メッセージは力強い。 
地上で最も優しい歌声による「サンサーラ」

THE BEST OF KOUSUKE ATARI/中 孝介

中 孝介「サンサーラ」

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”地上で最も優しい歌声”の中孝介が歌う「サンサーラ」。奄美大島出身の彼の歌声は、とにかく優しい。ファルセットと地声が同居する独特の温かみが番組のエンディングとがっちり握手を組んで心に染みてきます。そもそも「サンサーラ」の意味は何か気になるところですが、サンスクリット語で「輪廻転生」という意味です。「輪廻転生」、「生きてる 生きていく」。これほどまでに真っ直ぐに伝えてくる歌詞があったでしょうか? 落ち着いたアレンジの中に楽器のような中孝介の歌声。優しく「生きてる 生きていく。だから生きていきなさい」と背中を押してくれるような、父親のような曲でもある。

 

厳しくも優しい 
母親のようなメッセージをしみこませてくれる「サンサーラ」

尊々加那志~トウトガナシ~/城南海

   

城南海「サンサーラ」

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頭サビで「生きてる 生きていく」。中孝介に続いては、同じく奄美大島出身の城南海。カラオケ番組でも抜群の歌唱力を披露している彼女の「サンサーラ」は、力強い。中孝介の時の父親的な優しさを含みつつも、下町のおかあちゃんのような「しっかり生きなさいよ!」という力強さが彼女の歌声から伝わってくる。もしあなたがこの曲を聴いて涙してしまう時、そんなときは一度両親に連絡を取ってみてはいかがでしょうか? 必ず全てを肯定してくれるはずです。

  

イントロが足されて、より応援力が増した
現役看護師シンガーソングライターによる「サンサーラ」

恋の知らせ/瀬川あやか

瀬川あやか「サンサーラ」

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現役看護師シンガーソングライター瀬川あやかによる「サンサーラ」は、今までとはガラりと表情を変えてきた。もしかすると、今までの「サンサーラ」に馴染んだ「ザ・ノンフィクション」ファンからすると、違和感を覚えたかもしれない。今まで番組で起用されていた奄美大島出身シンガーによる「サンサーラ」は頭サビ且つ島唄の要素も入っていたせいか、地方出身者の上京したて人への”生きてる 生きていく”と言える。しかし、瀬川あやかの「サンサーラ」はイントロが足されており、”生きてる 生きていく”への助走が用意されている。番組での曲が流れる場面に関しても、キラーワードの”生きてる 生きていく”を出すよ、出すよ!?と準備させてくれる。アレンジも変わり、キラキラ感のある都市部的な”生きてる 生きていく”である。

 

エレキギターで”鳴き”要素満載
生粋のボーカリストによる厳しい上司的な力強さのある「サンサーラ」

サンサーラ/宮田悟志

宮田悟志「サンサーラ」

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2019年3月の「ザ・ノンフィクション」で使用されている宮田悟志による「サンサーラ」。圧倒的特徴はエレキギターによる力強いイントロ。演歌的”鳴き”要素も足され、メッセージ性もより強くなったが、優しさが弱まったわけではない。歌声がより強くなったことで「負けてたまるか!」と奮起させてくれる、そういう厳しい上司的な優しさがある。

 

 

番組ファンならこの「サンサーラ」の素晴らしさ、流れるタイミングの良さ、歌詞の力強さなど、語りだしたら止まらないだろう。
番組にも楽曲にもアーティストにも、これからの素晴らしい活躍に期待したい。