米津玄師のココがすごい! 5つの切り口から2018年最注目アーティストを読み解く

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映画『海獣の子供』書き下ろし主題歌「海の幽霊」配信開始! 2019年版の記事は以下より。

米津玄師が2019年もすごい! 新曲「海の幽霊」に至るまでの軌跡を、5つのキーポイントで振り返る(moraトピックス)

 


 

2018年1月~3月クールに放送されたドラマ『アンナチュラル』の主題歌として書き下ろされた米津玄師「Lemon」。「大切な人の死」をテーマにドラマの内容とも深くリンクした歌詞が多くのリスナーの心を打ち、累計200万ダウンロードを記録。日本レコード協会より「史上最速200万DL達成作品」として認定も受けました(シングルトラック・2018年12月31日付)。

 

Lemon/米津玄師

Lemon

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2018年末の紅白歌合戦にも初出場。もちろん歌唱したのは「Lemon」です。

この曲には、実の祖父との死別を経験したことが大きく影を落としているとのことで、ゆかりの地である故郷・徳島からの中継出演となりました。

 

米津玄師本人が「Lemon」を語る!
ラジオ風番組を公式YouTubeで配信中

 

同年10月には、「Lemon」以来となる待望の新作「Flamingo / TEENAGE RIOT」も発表。両A面シングルとなっており、ともにCMタイアップ曲となっています。

国民的存在になりつつある今だからこその「攻め」のサウンドは、必聴です!

 

Flamingo / TEENAGE RIOT

Flamingo / TEENAGE RIOT

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米津玄師の「5つのスゴさ」

 

1. 楽曲の独創性がすごい

それまでボーカロイド楽曲を「ハチ」という名義で投稿し続けていた米津玄師が本名名義で1stアルバム『diorama』を発表したのは、2012年。

たったひとりで、比類なき緻密さで作られた圧倒的な世界観は、『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』といったロック誌を中心に驚きとともに取り上げられました。

 

diorama

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初期の作品はライブ演奏を想定していなかったため、明らかに2本の腕では叩けないドラムも入っているとのこと。そんないびつさ、過剰さというのも魅力です。

 

2014年にはメジャーレーベルから2ndアルバム『YANKEE』をリリース。

また、この年からライブ活動も本格的にスタート。これ以降、楽曲制作にライブでの経験も反映されるようになっていったといいます。

 

YANKEE

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Bremen

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現在でも「音源を作っているときが一番楽しい」と語る米津ですが、最新作『BOOTLEG』ではタイアップ(アニメ『僕のヒーローアカデミア』『3月のライオン』)や異業種のクリエイターとのコラボレーション(DAOKO、菅田将暉、池田エライザ)の中から生まれた楽曲を数多く収録するなど、「他者の影響の中で自分が浮き彫りになる」面白さにも開眼。

音楽性も海外のオルタナティブR&BやEDMなど、より多様な音楽性からの影響を感じさせるようになっています。

 

BOOTLEG

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最新作「Lemon」にもカルヴィン・ハリスの大ヒット曲「Slide」を彷彿とさせる加工された合いの手(?)が入っていますね。「ウェイ」というこの声、気になった方も多いのではないでしょうか?

 

 

 

2. 世界観がすごい

いまやよく知られていることかもしれませんが、もともと米津は「ハチ」という名義でボーカロイド楽曲を投稿していました。(「ハチ」名義の作品一覧はこちら

 

 

イラストや動画編集も自ら手掛けていたというのだから圧巻。

現在もジャケットのイラストは米津本人が手がけており、「ビジュアルや音楽を組み合わせ、トータルに世界観を表現する」という手法に行き着いたのも、動画投稿サイトというプラットフォームあってのことだったかもしれません。

 

ツアーグッズのデザインにも自身が関わっています!(ツイートは2019年のツアー「脊椎がオパールになる頃」のグッズをスライドショー形式で紹介したもの)

普通に普段使いしたくなるかわいいデザイン…!

 

初音ミクが10周年を迎えた昨年には、「砂の惑星」という楽曲を作って議論を投げかけました。

米津がニコニコ動画に作品を投稿していた頃は、現ヒトリエのwowakaや「カゲロウプロジェクト」のじんなどその後さらに大きく活動の場を広げていった才能がひしめき合っていました。それに比べていまのニコニコ動画はどうなんだ? もしかしたら自分たちがいなくなったあとの「砂漠」なのではないか……と。

 

 

米津玄師の公式YouTubeチャンネルには、いまも消されずに「ハチ」時代のMVが残されています。

彼の中ではすべてが地続きの表現。音楽に、創作に真摯に向き合っているからこそ、言うべきことは言っていく。そのスタンスも大きな魅力だと筆者は思います。

 

砂の惑星 feat.初音ミク

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3. ダンスもすごい

近年ではダンスにも挑戦。

 

 

ダンスの振付は、ストリートダンスやバレエ、コンテンポラリーなど、多岐にわたる分野で世界的に活躍する辻本知彦さんが担当。日本人として初めてシルク・ド・ソレイユのダンサーとして活躍するなど、国内外で注目を集めている気鋭の人物です。

そんな辻本さんをして「惚れ惚れするほど美しい」と言わしめる米津玄師のダンス。なるほど高い身長、手足の長さを活かしたダンスは唯一無二の個性を放っています。

 

 

「Lemon」のMVではハイヒールを履いた姿が話題に。ファッションリーダーとしても注目です。

 

 

4. 他アーティストからの信頼も厚い

コラボをしたアーティストからもその才能に絶大な信頼が寄せられていることがうかがえます。

 

中田ヤスタカ

NANIMONO (feat. 米津玄師)

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“最初は僕が歌詞を書いたり、共作するのもどうかという話もあったんです。でも、そこは僕の判断で彼に任せたほうがいいと思った。SNSのリアルについてはきっと僕よりも得意だろうし。僕が心配していたのは歌詞が音楽的かどうか、ちゃんと音楽としての言葉になっているかという部分なんですけれど、そこも安心して任せられましたね。リズムも含めてチョイスがすごく良くて、完成したものは一言も直すことがなかった。”

「リアルサウンド」の記事より引用)

 

DAOKO

打上花火

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“私は中学生のときにニコニコ動画に投稿したのをきっかけにインディーズレーベルに入ったので、米津さんがハチという名前で活動されてたときから知っていました。その頃の私は全然音楽に詳しくなかったうえに、Vocaloidというもの自体すごく新しくて聴いたことがない音楽だったので、よく考えたら私の音楽のルーツはVocaloidなんです。すごく影響を受けています。だから今回もとてもうれしくて。自分のルーツ的なところを司っている人と一緒にできるなんて、音楽をやっててよかったなと思いました。”

「音楽ナタリー」の記事より引用)

 

初出場をはたした第69回紅白歌合戦で共演したサザンオールスターズの桑田佳祐さんは、数年前からラジオで米津さんの曲をかけるなどその才能を絶賛。

 

また、その「紅白」をきっかけに米津さんの存在を知ったという吉田拓郎さんも、自身のラジオで惜しみない賞賛を送っています。

 前段の番組のなかで、吉田は「彼の曲にはね、古い日本の歌謡曲的なノスタルジーを感じる時がね、曲の中にフワッとある。なんか聞き覚えがある、なんだろうっていう風に考える」などと世代や性別を超える力があることにも言及。

 さらに、「どんな新しい人がどんどんヒット曲を出そうと、どんなライバルが人気が出ようが、うらやましいとか、やきもちをやくとか、ジェラシーの感情は一切なかったです」とこれまでの自身を振り返りつつ、「自分は自分の音楽を進むだけと思っていたんですが、米津玄師、ちょっとやきもちをやいてる(笑)。ちょっとジェラシーを感じてる」と率直な心境を明かしていた。

吉田拓郎も認める米津玄師の才「ちょっとジェラシーを感じてる」 – ライブドアニュース

 

 

5. ユーモアも忘れない

↑のツイートに対する返しが…

 

時たまこうしてTwitterでファンとの交流を行っています。アーティスティックなたたずまいの中に見え隠れする、こうしたユーモアあふれる人柄も魅力ですね。

 

 

いかがでしたでしょうか? 汲めども汲めども汲み尽くせない魅力を持った米津玄師。ひさびさに現れた、真に「アーティスト」と呼ぶにふさわしいミュージシャンだと思います。

今後もmoraは米津玄師を追い続けていきます!

 

米津玄師 配信一覧はこちら