レグルス・レーベル初配信! スコットランドの楽器資料館でレコーディングされたこだわりバッハ音源ほか4タイトル、配信開始。

「バッハをハイレゾで聴くなら絶対にコレ!」と、満を持してオススメできるアルバムが、本日、配信開始となりました。

レーベルは、中世・ルネサンス・バロックの音楽史(古楽)や20世紀のピアノ作品などでオーディオ・ファンからの評価も高い「レグルス・レーベル」。第1段として、ヨーロッパで四半世紀にわたり活躍しているチェンバロ奏者・家喜美子が奏でる、J.S.バッハ作品ほか4タイトルが配信されることになりました。

日本でいえば国宝や重要文化財にあたるような、17~18世紀の貴重な古楽器を、楽器所蔵の資料館にて演奏・レコーディングしたという、ハイレゾファンにとっても非常に興味をそそられる音源。ピアノ学習の定番「インヴェンションとシンフォニア」や、鍵盤作品の傑作「ゴルトベルク変奏曲」などのおなじみの作品を、あらためてじっくりと愉しむには最適です!

 

新規配信4タイトル家喜美子(チェンバロ)24bit/96kHz

J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲」

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[エディンバラの銘器]

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[J.S.バッハ: インヴェンションとシンフォニア]

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[J.S.バッハ: トッカータ Vol.1]

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  • 4台のオリジナル・チェンバロの魅力的な個性

いわゆる「古楽器」を聴く際に、楽曲の背景やアーティストのプロフィールと並んで重要なのは、演奏される「楽器」のプロフィール。このたびの使用されている4台のチェンバロは、スコットランドのエディンバラ大学内にある「ラッセル・コレクション」「バーンズ・コレクション」、フランス・コルマール市の「ウンターリンデン美術館」の3箇所に収蔵されています。両館は、いずれも、楽器コレクションの収蔵館として世界的に知られており、これらのチェンバロはいずれも魅力的な特徴を持つ名器ばかり。下記のプロフィールを手がかりに、ぜひ、気になったチェンバロの音を聴いてみてください。

チェンバロ(1)~現在では館外持ち出し禁止となっている超一流&超レアな名器

二段鍵盤チェンバロ、ジャン・グールマン製作、パリ、1764年(パスカル・タスカンによる修正、パリ、1783/84年)(ラッセル・コレクション収蔵)

アルバム「J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲」「エディンバラの銘器」で使用

コレクターのラッセル自身が「これは間違いなく、あらゆる観点から最高の楽器のひとつ」と評したチェンバロの名器。1764年にグールマンが製作した楽器を、P.タスカンが1783/4年に改造。現在は門外不出の楽器とされており、「ゴルトベルク変奏曲」の録音は、特別の許可の元、コレクションを一週間休みにして館内で行われた。

 

 

チェンバロ(2)~豊かな質感の下鍵盤、軽く輝くような上鍵盤というギャップの魅力

二段鍵盤チェンバロ、ルイジ・バイヨン製作、シトー、1755年(ラッセル・コレクション収蔵)

アルバム「J.S.バッハ: インヴェンションとシンフォニア」で使用

豪華な美しい装飾が特徴のチェンバロ。フランスのブルゴーニュ地方にて製作されたと推測される。1895年、1963年、1990年に修復と改変が行われる。豊かな質感のバック(下鍵盤)、軽く輝くようなフロント(上鍵盤)という対照的な音質を持ち、インヴェンションとシンフォニアのような曲においてはその絶妙なコントラストを楽しむことができる。

 

 

チェンバロ(3)~澄んで明敏なトーンをもち、シンプルな響きが魅力の一段鍵盤チェンバロ

一段鍵盤チェンバロ、ヨハン・ダニエル・ドゥルケン製作、フランダース、1740年頃(バーンズ・コレクション収蔵)

アルバム「エディンバラの銘器」で使用

「ルッカース以降のもっとも傑出した製作家」と呼ばれた名匠ドゥルケンによる、現存する10台のオリジナル・チェンバロのうちの1台。奏者のタッチに敏感に反応してくれる、非常に質の高いメカニックを持つ。保存状態も良く、バーンズ・コレクション内のチェンバロの中でもスター的な位置づけの楽器。

チェンバロ(4)~「2帖のお茶室なのに広大無辺……まるで利休の思想のような楽器」

二段鍵盤チェンバロ、ヨハネス・ルッカース製作、アントワープ、1624年(ウンターリンデン美術館収蔵)

~アルバム「J.S.バッハ: トッカータ Vol.1」で使用

チェンバロ製作で名高いルッカース一族のひとりによってアントワープで製作され、17世紀後半に輸出先のフランスで改造。1979年にクラークによって修復されたのち、ウンターリンデン美術館に収蔵。その後、クラークは、ステファン・バーケットが最近の歴史的研究に照らして復元した弦に張り替えを行っている。この張り替えによりさらに魅力が増したこの楽器のことを、家喜は「弾き手の意識を遠いところへ連れて行ってくれる利休の思想のような楽器」と評する。いくつものコピー楽器が製造されている人気楽器。

 

  • 「どうして?」「何がいけなかったのだろう」……アーティストと古楽器との対話が結実した音源

さて、これらの何百年もの歴史をもつチェンバロは、日本でいえば国宝や重要文化財にも等しい存在。たいがいは博物館や個人のコレクターが厳重に管理しており、アーティストが試奏願いを許可してもらうのも一苦労。家喜美子も、有名な師であるグスタフ・レオンハルトに手紙を書いてもらい、なんとか試奏に行き着いたこともあったそうです。

 

「ゴルトベルク変奏曲」を演奏する家喜美子

 

しかし、それ以上に心を砕かなければならないのは、アーティストと楽器との対話。誕生から数百年の歳月を経た楽器は、そう簡単に弾き手を受け入れてくれません。

日中に現地で楽器を弾いたあと、「どうして?」「何がいけなかったのだろう」「そうか、強引だったかもしれない」とホテルで自問自答することもたびたびあったと家喜美子は振り返っています。「待ちに待った嬉しさから(自分本位の気持ちで)弾いてしまうと楽器は閉ざしてしまう。余計な自我や気負いを捨てて無心に向き合って初めて応えてくれる。本当に勉強になりましたね」(「J.S.バッハ: トッカータ Vol.1」ブックレットより引用)

こうした楽器との真摯な対話によって生まれるのは、「音楽と自分の間に一切余計なもののない感覚」。特に有名な「ゴルトベルク変奏曲」や「インヴェンションとシンフォニア」では、そのゆっくりとしたテンポに驚くかもしれません。それは、家喜が、楽器と密なコミュニケーションを取りながら、呼吸や間合いを繊細にコントロールした結果なのです。

演奏が録音された資料館内のホールは、現代のコンサートホールやレコーディング・スタジオのように完全には遮音されておらず、外の交通音がときおり聴こえてくるような環境。それにもかかわらず、その演奏は、思わず居住まいを正してじっと聴き入りたくなるような静謐感をたたえています。家喜の演奏は、イタリアの鍵盤楽器の巨匠、ルイージ・フェルディナンド・タリアヴィーニも絶賛しています。「アンティーク楽器を演奏出来る音楽家は、なかなかいないものです。古い楽器にどう触れて良いのか知らないのです。美子さんは、それらの楽器に秘められている素晴らしい技術的可能性を充分に活かし、オリジナル楽器の音色を、ご自分の繊細な洗練された優雅さで見事に創り出して下さいました。」

CDで音を届けることに強いこだわりを持ってきたレグルス・レーベルが、この稀少な音源をより多くのリスナーに届けたいという想いを胸に踏み切った、初のハイレゾ配信。ぜひ、この機会にご堪能ください。