日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」 vol.2
Vol.2 Theme: 「カントリーとフォークの違い」
先日我がBANDザ・スターベムズのメンバーにフォークROCKをお勧めしていたところ、三十路に突入して間もないドラマー高地とギタリスト後藤曰く「フォークとカントリーって何が違うんですか?」とのこと。
アコギを中心に素朴なスタイルを持つ両者は、平成キッズには違いが判りにくいのかっ! というゼネギャに苛まれつつ、たしかに違いを明確に説明したり、されたりする機会もなかなか無いことも事実。実際テイラー・スウィフトもカントリー・シンガーとしてデビューしたのですが、世界的なブレイクを果たした現在、彼女からカントリー・テイストを探すのは難しいですしね。
ウィキっぽい説明をすると、アメリカ大陸に移り住んできたヨーロッパ移民の民族音楽が、奴隷として連れて来られてしまった黒人たちのゴスペルや賛美歌と融合して、日々の喜怒哀楽を基本ハッピーに演奏することで発展したのがカントリー。フォークは民謡の影響を受けつつも、第二次世界大戦後の社会や世相に対するメッセージ性を含むオリジナル曲を、基本BAND形態ではなく個人でアコギ一本で歌うことで発展してきたもの。
プラス、カントリーはロックンロールの原型にもなっているだけあって(R&Bと合体してR&Rへと)、シンプルな3コードを基調としたブルース的な音楽性。フォークはアメリカ各地、個々で発展しただけあって音楽的には自由で、もっとポップス寄りで特定のスタイルをあまり持たないのですが、ルーツや演奏形態が似ていることから混同されがちなこの2つ。
近年はカントリーもポップス寄りになって大ヒットを記録していますが、そもそも1960年代からポップスに肉迫していたのがフォーク。それを決定付けたボブ・ディランの存在はやはり大きいのです。特にエレキに持ち替えてからの彼は、同時代性と普遍性を同時に持つという離れ業をやってのけ、まさに代表曲「Like a Rolling Stone」のタイトルの通り「転がり続ける石のように」現在もロックし続けているのであります。