【クラシック新譜紹介】グラミー賞受賞者4氏の才能が結集した超高品質ハイレゾ新譜~クラシック音楽レーベル「NAXOS」2019年4月最新録音より
──NAXOSレーベルからついに登場、超高品質DXDオリジナルレコーディング!
──グラミー賞受賞者4氏が参加する渾身のプロダクション
アーロン・シーハン(テノール)──2014年「ベスト・オペラ・レコーディング賞」
スティーヴン・スタッブス(指揮)──2014年「ベスト・オペラ・レコーディング賞」
ドミトリー&アレクサンダー・リペイ(エンジニア)──2016年「ベスト・サラウンド・サウンド・アルバム賞」
──ヘンデルが愛した名歌手ジョン・ビアードの歌声を追体験できるコンセプチュアルなアルバム
大型連休中にじっくり味わうのにオススメ。NAXOSレーベルの4月新譜のなかから、ハイレゾ・リスナー必聴のアルバムをご紹介します。
ヘンデル: 皆既日食 – ヘンデルのテノール作品集
アーロン・シーハン(テノール)/スティーヴン・スタッブス(指揮)
パシフィック・ミュージックワークス・オーケストラ
AAC[320kbps] FLAC[192.0kHz/24bit]
録音 2017年2月21-24日
バスタ大学 聖トマス教会(ワシントン、アメリカ)
(24bit/352.8kHz(DXD)オリジナルレコーディング)
グラミー賞受賞がきっかけになった、アーロン・シーハン(テノール)&スティーヴン・スタッブス(指揮)の最新アルバム
「アーロンと私の録音はグラミー賞の「ベスト・オペラ・レコーディング賞」にノミネートされていた。だが私は妻に「受賞する可能性は少ないだろうね」と言った。(……)他と比べてわれわれのプロダクションはもっとも小規模だったからだ。(……)にもかかわらず、呼ばれたのは私たちの名前だった。いったい何をスピーチしようか、私は壇上に向かいながらあわてて考えなければならなかった。
そのうれしくもとんでもない体験が一段落したあと、私たちは、アーロンのファースト・ソロ・アルバムとしてどのような作品を作りうるかということを考えはじめた」
──スティーヴン・スタッブス(指揮者)
『シャルパンティエ:歌劇「オルフェウスの冥府下り」』(CPOレーベル)で、2014年のグラミー賞「ベスト・オペラ・レコーディング賞」受賞した名コンビ、アーロン・シーハン(テノール)&スティーヴン・スタッブス(指揮)。
本人たちも予想していなかった栄冠に輝いた彼らコンビが、次作として企画したアルバム。
それが、このたびNAXOSレーベルからリリースされた『ヘンデル: 皆既日食 – ヘンデルのテノール作品集』。「生まれながらの“ヘンデリスト”」と称賛される歌手アーロン・シーハンの魅力を最大限に引き出したテノール・ソロ・アルバムです。
「生まれながらの“ヘンデリスト”」が歌いあげる、伝説の歌手ジョン・ビアードの世界
彼らがこのアルバムのテーマとして選んだのは、ヘンデルに愛された伝説のテノール歌手、ジョン・ビアード。
とき、1732年イギリス。ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル、47歳の誕生日の席。
周りを圧倒する美しい歌声でこの大御所作曲家を仰天させたとき、ビアードはまだ16歳の聖歌隊員でした。
その4年後の1736年、ヘンデルは新作のオラトリオ『アレクサンダーの饗宴』で、彼が歌うことを念頭に置いた美しいソロ・パートを作曲しました(トラック1、2)。このオラトリオの初演が大絶賛を浴び、ビアードは唯一無二の「ヘンデル歌手」として世に名前をとどろかせます。
当時のイギリスでは、歌といえば人気はもっぱら「女性歌手かカストラート(男性去勢歌手)が歌うイタリア語歌曲」。ヘンデルは、英語の歌曲を美しくクリアな発音で歌い上げるビアードの才能に触発されて、その後も数々の英語オラトリオを作曲。音楽界に新しいブームを巻き起こしました。
ビアードは、『エジプトのイスラエル人』(トラック3)『メサイア』(トラック14-17)ほか、ヘンデルが後半生で書いた数々の英語オラトリオに参加。このアルバムに収められている歌唱作品は、すべてビアードとかかわりを持っています。
最大の聴きどころは、アルバムの表題にもなっているヘンデル最大のオラトリオ作品『サムソン』(トラック23-29)。主役の「サムソン」役をつとめるビアードに、ヘンデルは、“叙情性”と“華やかさ”との両方を求めました。“叙情性”を象徴するのは、サムソンが盲目になった自分を悲しむ歌「皆既日食」(トラック24)、“華やかさ”を象徴するのは、サムソンが神に怒りをうながす「イスラエルの神は、なにゆえ眠っておられるのか?」(トラック26)。彼はみごとヘンデルの期待に応え、聴衆から万雷の喝采を浴びました。
アーロン・シーハンの歌声は、「世界有数の古楽系歌手のひとり」「上品で明快で洗練されており、流れるようなリリシズムと力強い響きを含んでいる」という評そのもの。伝説の歌手ジョン・ビアードの姿を現代によみがえらせることができる、唯一無二の歌い手といえるでしょう。
万全の環境でのレコーディング
録音は2017年2月21-24日の4日間をかけて行われました。
レコーディングとマスタリングを担当したのは、2016年度グラミー賞「ベスト・サラウンド・サウンド・アルバム賞」を受賞したエンジニア、ドミトリー&アレクサンダー・リペイ。グラミー賞の常連であるシアトル交響楽団の録音を多数手がけています。
会場は、アメリカ・バスタ大学にある聖トマス教会。
オークの羽目板や大理石の柱をあしらった美しい造りに加え、有名映画のサウンドトラックをはじめとする数々の名録音が行われた会場として知られ、「目と耳に訴えかける教会」して定評があります。
会場のビデオ・ツアー
ヘンデルの音楽は、「ハレルヤ」や「水上の音楽」のような祝祭的で派手なイメージがありますが、このアルバムは小編成の室内楽をバックにテノールの歌声を丁寧に聴かせる、とても穏やかで清涼感のある趣き。歌詞が英語なのも親しみやすさのポイントで、バロックの作品なのに現代の洋楽に通じるような安心感があります。新緑の季節に、繰り返し聴きたくなるアルバムです。
その他のNAXOS4月新譜オススメ
ラフマニノフ: 前奏曲集 Op. 3, No. 2, Opp. 23, 32
ボリス・ギルトブルグ(ピアノ)
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1月新譜『リスト: 超絶技巧練習曲/他』も話題に!実力派ピアニスト、ギルトブルグ待望の新譜。
モーツァルト: ピアノ協奏曲第8番&第23番(ラハナーによるピアノ、弦楽四重奏、コントラバス編)
ディディエ・カストル=ジャコマン(ピアノ)/ウィーン室内交響五重奏団
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ベルリオーズ: 劇的交響曲「ロメオとジュリエット」
フランス国立リヨン管弦楽団/レナード・スラットキン(指揮)
AAC[320kbps] FLAC[96.0kHz/24bit]
大人気アルバム、フランス国立リヨン管弦楽団&レナード・スラットキン(指揮)の「幻想交響曲」と一緒にオススメしたい、同演奏者による待望の新録音。