「世界樹の迷宮X(クロス) オリジナル・サウンドトラック」配信記念 古代祐三さんメールインタビュー

楽曲が非常に高い人気を誇る『世界樹の迷宮』シリーズより、最新作「世界樹の迷宮X(クロス) オリジナル・サウンドトラック」が配信開始!
サウンド・コンポーザーを務めるのは、シリーズ当初から音楽を担当してきた古代祐三さん。『イース』『ナムコ クロス カプコン』『湾岸ミッドナイトMAXIMUM TUNE』シリーズなど、数多くのヒット作で知られています。

moraでは、「世界樹の迷宮X(クロス) オリジナル・サウンドトラック」の配信を記念して古代さんへのインタビューを実施しました!

 

「世界樹の迷宮X(クロス) オリジナル・サウンドトラック」
古代祐三

世界樹の迷宮X(クロス) オリジナル・サウンドトラック/古代祐三

試聴・購入 [ハイレゾ]

試聴・購入 [AAC]

 


 

――まずは「世界樹の迷宮X(クロス) オリジナル・サウンドトラック」の発売、おめでとうございます!2007年発売の「世界樹の迷宮」オリジナル・サウンドトラック以降、10年以上携わっていらっしゃる作品となりますが、改めて『世界樹の迷宮』シリーズに込める想いを教えてください。

12年もの間、このシリーズ作品に関われたことはとても幸いです。私が音楽をやっていく上でいろいろと悩んでいた時期にスタートしたタイトルで、その後の私の楽曲の可能性を大きく広げることが出来ました。特に生楽器を多用したスタイルはこの『世界樹の迷宮』シリーズが原点でして、それは今後も大事にしていきたいと思っています。

 

―― 『世界樹の迷宮』シリーズ当初は、PC-8801のレトロな音色が特徴のひとつでしたが、4作目より生レコーディングが取り入れられています。今作でも生バンドのサウンドがフィーチャーされていますが、一方でこれまでの「レトロ」というテイストを意識する事はございますか?

今まではそこまで意識していなかったのですが、『世界樹の迷宮X』ではむしろ原点回帰しておりまして、管弦楽器を使わない純粋な4ピースのバンドで演奏されるシンプルなメロディが特徴になっています。そしてそれはPC-88時代のポリフォニック制限にも対応できるようなアレンジがされております。

 

―― ゲームミュージックの歴史は、ハード・音源の進化の歴史と切っても切れない関係があると思います。現代はかつてのような音源面での制約から解放されていますが、作曲の際は「ゲームミュージック」であるという事をどれくらい意識されていますか?またそういった環境の変遷で楽曲が変わったと感じる部分、変わらずに重要である部分はあるでしょうか?

ゲームミュージックであることは多分に意識します。特にテンポ感ですね。私は世界背景よりも実際のキャラクターの動きを重視します。アクションゲームが多かったからかもしれませんね(笑) 実際のゲームプレイヤーの立場に立って考えることはずっと大事にしてきています。

 

―― 作曲される際のモニターと、ご自身でのリスニングの際はスピーカーやイヤホンを使い分けていますか?それらの機材にこだわりがありましたら教えて下さい。

スピーカーが中心でヘッドホンはたまにしか使いません。スピーカーに関しては特性がフラットなほうが制作には向いているので好みです。

 

―― これまでのキャリアでは様々なハード・音源の変化や新たな楽器の導入を経験されてきたと思うのですが、もっとも衝撃だったもの・影響が大きかったものは何ですか?

やはりスーパーファミコンですね。あの当時にあの価格であのPCMスペックは相当な衝撃でした。ソフトではGIGA Samplerでしょうか。サンプラー界のゲームチェンジャーだったと思います。

 

―― スマートフォン向けやニンテンドー3DSなど、手掛ける作品のハードで使用する楽器・音色や作曲/モニター環境等を意識的に変える事はありますか?

もちろんです。再販はiPhoneのゲームが多いので、iPhoneやiPadでよく試聴しますね。

 

―― とあるインタビューで、「ソフトよりハード・シンセが好きで少しずつ集めている」と仰っていました。今作でハード・シンセが活躍している楽曲や、おススメの聴きどころがありましたら教えて下さい。

『世界樹の迷宮X』ではソフト音源はKontakt以外ほとんど使っていなかったと思います。バンド収録したものに関しては皆無ですね。シンセはRoland MKS-80やJP-8000、D-50、DSI Prophet Rev2、などをよく使いました。

 

―― 幼少期に、久石譲さんに作曲を習っていた時期があると伺いました。現在の作風に当時の影響を感じる部分はございますか?

現在は意識としては無いのですが、幼少のころに受けた影響は私の音楽を形成する上で計り知れないと思います。

 

―― 今作はハイレゾ音源でも配信されます。高音質ならではの聴きどころはございますか?

やはり音の立体感や奥行きですかね。管弦を使ったものと比較するとシンセが多めなので高域の伸びはそれほど感じないかもしれませんが、それでも豊富な倍音が醸し出す味わいはハイレゾならだと思います。

 

―― 最後に、今作のリスナーの皆さまへ一言、お願いいたします。

『世界樹の迷宮X』は今までの総集編的な内容から、過去曲もたくさん使われています。ですので、本作ではそれらをつなぎ合わせるボンド的な役割を考えて作りました。派手さはありませんが、シリーズを影から支える、いぶし銀的な楽曲として聞いていただければ嬉しいです。

 

©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

 


 

古代祐三さんの関わってきた音楽作品はこちら