イリーナ・メジューエワ ロシア発・実力派ピアニストの記念作品がハイレゾ3フォーマットで配信開始!(PDFブックレット付)

ロシア出身のピアニスト、イリーナ・メジューエワの日本コンサート・デビュー20周年を記念して2017年に制作された『メジューエワ・プレイズ・ベーゼンドルファー』の《ハイレゾ・エディション》が配信開始! オーディオの専門誌を発行する出版社、株式会社ステレオサウンド監修による「Stereo Sound リファレンスレコード」からのリリースです。

 

メジューエワ・プレイズ・ベーゼンドルファー
Stereo Sound REFERENCE RECORD

 

《曲目リスト》

1. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」第一楽章
2. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」第二楽章
3. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」第三楽章
4. シューベルト:即興曲 変イ長調 Op.142-2
5. シューベルト=リスト:連祷
6. リスト:エステ荘の噴水
7. ワーグナー=リスト:イゾルデの愛の死
8. ドビュッシー:沈める寺
9. ラフマニノフ:プレリュード 嬰ト短調 Op.32-12

 

発売ラインナップは、マイク・アレンジとファイル・フォーマットの異なる3種類。

① DSD11.2MHz/1ビット [ワンポイント・ヴァージョン] (試聴・購入はこちら
② DSD11.2MHz/1ビット [マルチミックス・ヴァージョン] (試聴・購入はこちら
③ PCM96kHz/24ビット [マルチミックス・ヴァージョン] (試聴・購入はこちら

①のワンポイント・ヴァージョンとは、2本のマイクのみで演奏を収録した【DSD 11.2MHz/1ビット】音源。いっぽうのマルチミックス・ヴァージョンとはメイン2本にサブ2本とアンビエンス用2本を加えた、合計6本のマイクでとらえた音声をミックスしたもので、②はその【DSD 11.2MHz/1ビット】音源、③は同じ演奏を【PCM 96kHz/24ビット】で収録したものとなります。②と③はデジタル変換によって作り出したものではなく、2種類のデジタルレコーダーを稼働して同時録音したものです(DSD=Pyramix、PCM=Pro Tools HD)。ちなみに③は既発CDのマスター音源でもあります。

今回の《ハイレゾ・エディション》のリリースにあたっては、イリーナ・メジューエワご本人を含む制作陣による試聴選考会を開催。当初は、音源を聴いて賛同を得られた1つのフォーマットに絞り込む予定でしたが、どのヴァージョンにも異なる魅力と味わいがあり、選考は難航。最終的に「それぞれに魅力があり、とても1つに絞り込めない」と決着し、上記3種類の同時発売が決定した次第です。
「ワンポイントもミックスも、そしてDSDもPCMもすべてを皆さんに聴かせたい」とメジューエワが語る、計3種類のヴァージョンを、演奏者、録音エンジニア、プロデューサーがそれぞれの立場からどのように聴いたのかは、アルバムを購入された方を対象に配布するブックレット(PDFファイル)で詳しくリポートしているので、作品をより一層深く味わうためにもぜひともご一読いただければ幸いです。

※後日、ご登録いただいているアドレスにメールでの送付になります。メールに記載のPINコードを指定のアドレスに入力しダウンロードください。
ご購入後、状況により1週間ほどお時間を頂く場合がございます。何卒ご了承ください。
購入対象期間:6/20 (水) ~ 7/19 (木)

 

レコーディングの様子。

 

■アルバム解説 ※PDFブックレットにはロングバージョンを掲載!

このアルバムはイリーナ・メジューエワによるベーゼンドルファーへのオマージュである。彼女は2017年に日本コンサート・デビュー20周年という記念の年を迎え、様々なピアノを用いた録音をリリースした。これらを聴いて実感するのは、彼女がそれぞれの楽器の音やキャラクターを巧みに引き出しながらも、最終的には彼女自身の音や表現に全て還元させていることで、どの1枚を聴いても彼女の個性が力強く、あるいは繊細に脈打っていることである。

このアルバムの曲目を見ると、1828年にウィーンで創業され、”音楽の都”に集った大作曲家や大ピアニストたちにより育まれてきたベーゼンドルファーの歴史が反映されていることに気付く。プログラムの中心にはリスト作品が3曲配され、その1曲目は先輩作曲家シューベルトの歌曲からの編曲物、3曲目は後輩作曲家ワーグナーの楽劇からの編曲である。3曲のリストの前には、ロマン派の幕開け的な作品であるシューベルトの即興曲が配され、その前の、このアルバムの1曲目はシューベルトが神のように尊敬し、リストが幼少期にその才能を愛でられたベートーヴェンの《テンペスト》で堂々と開始される。リストの後には、リストの《エステ荘の噴水》から多大な影響を受けたドビュッシーの、やはり水に関係する作品が続き、ラストはメジューエワと同郷の大ピアニスト、作曲家のラフマニノフが、バッハとショパンの前例に則って書いた前奏曲の1曲で閉じられる。

そして演奏からは、西洋音楽史と密接に結びついたベーゼンドルファーの歴史に、自らを重ねるメジューエワの姿が強く感じられる。今回の相模湖交流センターにおけるセッション録音が、SP時代のように一発録りで行われたことも、こうした思いの強さに繋がったのだろう。

(板倉 重雄)

 

■演奏者プロフィール

イリーナ・メジューエワ

ロシアのゴーリキー(現ニジニー・ノヴゴロド)生まれ。5歳よりピアノを始め、モスクワのグネーシン特別音楽学校とグネーシン音楽大学(現ロシア音楽アカデミー)でウラジーミル・トロップ教授に師事。1992年、オランダ・ロッテルダムで開催された第4回エドゥアルド・フリプセ国際コンクールでの優勝をきっかけに、オランダ、ドイツ、フランスなどで公演を行なう。1997年からは日本を本拠地として活動を始め、東京文化会館小ホール、紀尾井ホール、浜離宮朝日ホール、トッパンホール、ハクジュホールなどでリサイタルを開催。

バロック、古典派から近・現代にいたる作品まで幅広いレパートリーを手がけるが、近年再評価の進むロシアの作曲家ニコライ・メトネルの作品紹介にも力を入れており、2001年にはメトネル没後50年を記念したシリーズ「忘れられた調べ」でその主要作品を4夜にわたって取り上げ注目を集めた。2002年、スタインウェイ・ジャパン株式会社による日本国内コンサートツアーを行なう。2003年、サンクトペテルブルク放送交響楽団の日本ツアーにソリストとして登場したほか、2004年・2006年にはカルテット・イタリアーノと室内楽を共演。2005/06年のシーズンにはザ・シンフォニーホールで4回にわたるリサイタル・シリーズを開催。2006年からは京都で毎年リサイタルを行ない、日本デビュー20周年を迎えた2017/18年のシーズンには、東京文化会館・小ホールでシリーズ演奏会(全3回)を開催するなど、精力的な演奏活動を展開している。

これまでにロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団、ロシア・シンフォニーオーケストラ、高雄市交響楽団(台湾)、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、オーケストラ・アフィア、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、セントラル愛知交響楽団、京都市交響楽団、日本センチュリー交響楽団、大阪交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団、テレマン室内管弦楽団、九州交響楽団、広島交響楽団、山形交響楽団などと共演。

CD録音にも精力的で、これまでに多数のアルバムをリリース。2006年度青山音楽賞受賞。2010年に発売した「ショパン:ノクターン全集」(若林工房:WAKA-4143~44)は同年度のレコードアカデミー賞(器楽曲部門)に輝く。2015年、第27回ミュージック・ペンクラブ音楽賞(クラシック部門、独奏・独唱部門)を受賞。2017年には初の著書「ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ」が講談社現代新書より刊行され、好評を博している。

詳細なディスコグラフィは若林工房のサイトから
http://www.waka-kb.com/cd/category/piano/irina-mejoueva

 


 

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サウンド・プロデュースとレコーディングを担当したのは、現・日本音楽スタジオ協会会長で、エンジニアとして数々の録音制作に携わっているミキサーズラボの高田英男氏。高田氏は、1969年に日本ビクターでレコーディングエンジニアとしてキャリアをスタートして以来、ジャズやロック/ポップスから邦楽まで、アコースティック録音を中心にさまざまなアーティストの作品を手掛けています。

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