音楽コンシェルジュ ふくりゅうのDig It 90’s~隠れた神曲探訪 vol.2

〜これまでのあらすじ〜

90年代に生まれた隠れた神曲を『mora』内で掘っていくコーナー。昨今、音楽配信やハイレゾ、聴き放題サービスの登場で、膨大なアーカイヴ音源でいっぱいの情報過多な現代。でも、どんな楽曲でも最初に聴いたときが“自分にとっての新曲”というフラットな時代へと突入しました。2016年の“いま”聴いても神曲だと自信を持ってレコメンデーションできる、90’s邦楽名曲を紹介していきます☆

 


 

~今月の隠れた神曲~

 

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Nelories「Daisy」(1994年)

アルバム『DAISY』11曲目収録

〈スイート・スプエスト(東芝EMI)〉

https://mora.jp/package/43000006/00094631306358/

 

2回目は、90年代初頭にネオアコ・ガールズ・バンドとして人気を集めた、奈良県出身のNelories(ネロリーズ)による名曲「Daisy」(※アルバム『DAISY』11曲目収録)をピックアップしましょう。

 

女子大生2人組、上品な低音ヴォイスが魅力の栗原淳(ヴォーカル&アコーディオン)と、トリックスターな久保和美(ギター&コーラス)にて1990年に結成されたNelories。開局したばかりのCS音楽チャンネル『スペースシャワーTV』や、イギリスの老舗音楽メディア『NME』&『Melody Maker』、BBC の伝説的番組 『ピールセッションズ』、ニューヨークのカレッジチャート『CMJミュージックマラソン』に見初められ、国内での認知を飛び越して、海外のギターポップな音楽シーンで先行して話題となりました(←いや、ほんとすごいことなんです☆)。

 

いわば、2016年でいうところのBABYMETAL現象な活躍を、チープでローファイさを武器にアンファンテリブルな存在として、海外進出に成功した逸材なのです。

 

90年代前半、カウンター・カルチャーとして席巻した渋谷系ファンにはお馴染みの、アズテック・カメラやモノクローム・セットを彷彿とする、ネオアコ・サウンドが魅力だった彼女たち。スイート・スプエスト!レーベル(東芝EMI)よりリリースしたメジャー・デビュー・アルバム『DAISY』は、本家本元モノクローム・セットのビドがプロデュースでロンドン・レコーディングというのだから恐れ入ります。

 

サウンド的には軽快でノスタルジックなネオアコ・ビートが、小山田圭吾、小沢健二が在籍したフリッパーズ・ギターのメジャー1stアルバム『three cheers for our side〜海へ行くつもりじゃなかった』(1989年)に通じるセンスを与えてくれます。全編英語詞というのも同じですね。

 

しかし、Neloriesなのですが、1995年には解散。一般的にインターネット普及前だったこともあり、情報があまりネット上に残っていないことも、今回選曲したポイントでもあります。埋もれてしまうには惜しい、時代を超越するレトロなポップセンスが解き放つ魅力に注目してほしいです。

 

以上、いま聴いても新鮮なNeloriesで「Daisy」でした。

 


 

【プロフィール】

 

ふくりゅう

 

ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

happydragon,LLC代表。Yahoo!ニュース、J-WAVE、ミュージック・マガジン、音楽主義などで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども手掛ける。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)。

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