なつかしアニメ主題歌プレイバック! ~2007年編~
懐かしのアニメ主題歌を放送年ごとに振り返っていく本連載。前回の2006年編に続き、今週は2007年編をお送りします!
この年は後に『〈物語〉シリーズ』『魔法少女まどか☆マギカ』を手掛け一躍ヒットスタジオとなるアニメーション制作会社・シャフトが『さよなら絶望先生』『ひだまりスケッチ』『ef – a tale of memories.』などの作品によって遂に頭角を現し始めた年として記憶されるべきでしょう!
また、後にメインスタッフが独立し制作会社「TRIGGER」(『キルラキル』『宇宙パトロールルル子』など)を発足させるガイナックスひさびさの(当時)ロボットアニメ作品『天元突破グレンラガン』の放送があったのも忘れてはなりません。
さらにさらに、京都アニメーションの大名作、「人生」とまで謳われるKey原作の『CLANNAD』が放送されたのもこの年ということも言っておきたい!
前年『ハルヒ』『ひぐらし』などの作品によって耕された土壌に、「アニメでこれぐらいのことをやってもいいんだ」と、個性的な作風を持つクリエイター/制作スタジオがアクセルを思いっきり踏み込んだ作品が数多く現れたのが、この2007年といえるでしょう。
ちなみに、テレビアニメーションではないですが『君の名は。』が空前のヒットを記録している新海誠監督の出世作『秒速5センチメートル』もこの年に劇場公開されています! 山崎まさよしの名曲「One more time, One more chance」を印象的に使ったクライマックスは、多くの観客の心に消えない傷跡を残していきました……。『君の名は。』とはひと味もふた味も違った恋愛物語が楽しめる今作。いまこそ注目ですよ!
それでは、個別の作品を振り返っていきましょう。
ひぐらしのなく頃に解
前年放送された『ひぐらしのなく頃に』の完結編。雛見沢村で起きた数々の凄惨な事件の真相が解き明かされ、大団円を迎えた。
EDテーマ「対象a」を手がける「anNina」は、ぼくのりりっくのぼうよみなどのメジャーアーティストにも楽曲提供を行うトラックメイカーのbermei.inazawaと、ソロ名義やバンドsiraphなどでも活動する歌手のAnnabelによるユニット。
天元突破グレンラガン
「お前のドリルで天を突け」! ガイナックスらしい、外連味と勢いに溢れたロボットアニメ作品。深夜ではなく、日曜朝の時間帯に放送されていた。地下から地上へ、そして地球から宇宙へとスケールが大きくなっていく物語を支えたのがOPテーマ「空色デイズ」。物語の進行に沿って、使われる歌詞が1番→2番に変わる演出もなされた。挿入歌の「happily ever after」も、想いを受け継ぐ最高に熱いシーンで流れる大名曲!
OPテーマ「空色デイズ」
挿入歌「happily ever after」
さよなら絶望先生
『週刊少年マガジン』連載のブラックユーモアとパロディ満載のギャグ漫画をアニメ化した作品。後に『魔法少女まどか☆マギカ』の美術で名を馳せるアニメーション作家ユニット、劇団イヌカレーによる独創的な演出が話題に。筋肉少女帯・大槻ケンヂが参加のOP主題歌も中毒性高し!
ぼくらの
搭乗者の命を使って動くロボット同士の戦いに巻き込まれた小学生たちの運命を描くSF作品。石川智晶の歌う主題歌「アンインストール」は、歌詞中で繰り返される「アンインストール」という言葉の回数が死んでいく子供たちの数と同じということで話題になった。
OPテーマ「アンインストール」
EDテーマ「Little Bird」「Vermillion」収録
らき☆すた
のちに『けいおん!』へと続いていく、「日常系」アニメの元祖といえる作品。とはいえ扱われるのはオタク女子・泉こなたを中心とした「あるある」ネタで、現在からするとだいぶ尖った作風といえる。
そしてこの作品を何より“伝説”たらしめているのは、OPの「もってけ!セーラーふく」だろう! 手がけたのは神前暁×畑亜貴の黄金コンビ。スラップベースが縦横無尽に暴れまわるこの楽曲は、ニコニコ動画で多数の「演奏してみた」動画も生んだ。
ひだまりスケッチ
こちらはシャフトによる「日常系」作品。「まんがタイムきらら」系列誌に連載の「萌え四コマ」を原作としたものでは最も古いもののひとつで、第4期まで制作される長寿シリーズとなった。原作の蒼樹うめはのちに、同じくシャフト制作の『魔法少女まどか☆マギカ』にキャラクター原案で関わることになる。
みなみけ
本作も「日常系」アニメの源流に位置する作品と言っていいだろう。タイトル通り「南家(みなみけ)」の三姉妹を中心としたドタバタ・ギャグが展開される。やはり第4期まで制作されたが……この第1期が最高とする声は根強い。
CLANNAD
2005年『AIR』、2006年『Kanon』につづく、三作目の原作:Key、制作:京都アニメーションによるアニメ化作品。恋愛アドベンチャーゲームを原作としながら、学園生活にて結ばれたヒロインとの「その後」の人生をも描いたことで「CLANNADは人生」との名(迷)言を生み出した伝説のアニメである。
前二作同様原作BGMの使い方が素晴らしく、アレンジ版のボーカル曲なども見事にシーンに合わせている。特にアルバム『ソララド』収録の「オーバー」が流れる第18話は、後に『アイドルマスター』シリーズを監督する高雄統子の演出も相まって屈指の名シーンに! 他にも「願いが叶う場所」「空に光る」など、アニメ・ゲーム史に残る名曲多数。
OPテーマ「メグメル」
EDテーマ「だんご大家族」
ef – a tale of memories.
『CLANNAD』と同じく、恋愛アドベンチャーゲームを原作としたシャフト制作による青春群像劇。現在はSILVER LINK.を中心に多数の作品を手掛ける大沼心監督による抒情的な演出が見どころ。原作ゲームのOPムービーは新海誠が担当していることでも有名だが、こちらはシャフトらしい奇抜なレイアウトとカッティングの妙からなる、原作とはまた違った味わいのフィルムになっている。毎話少しずつ変わるOP映像も話題に。
OPテーマ
「euphoric field」
機動戦士ガンダム00
女性を中心に絶大な人気を誇った『機動戦士ガンダムSEED』シリーズから一転、現実の西暦の延長線上にあるシビアな軍事ものとしての性格を強めたシリーズ。監督はSF色の強い作品に定評のある水島精二。主題歌にはL’Arc〜en〜Ciel、the brilliant green、THE BACK HORNなど人気ロックバンドが参加し、武骨な印象の本編に彩りを添えた。
電脳コイル
NHKで放送されたSFアニメ。現実を拡張するアイテム(いまで言うAR)「電脳メガネ」が普及した近未来を舞台に、少年少女の冒険活劇が展開される。メガネをかけていないと見えないモンスターやペットの存在など、その世界観は「Pokemon GO」を先取りしたものとして再び話題に! 現在でも根強いファンを持つ作品。
OPテーマ「プリズム」
EDテーマ「空の欠片」
あなたの思い出の作品はありましたか? 次回の更新もお楽しみに!