日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」 vol.34

vol.34 Theme : 「ギブルアワイ!」

 

 だいぶ更新サボっちゃったけど、11/2(水)発売の新譜のレコーディングが無事に終わったので久々更新! Rec.中もリファレンスとして様々な音楽を聴いてたので、アルバムの宣伝も兼ねて何を聴いていたか少しずつ紹介しようと思う……まずはベタ中のベタ、王道中の王道のレッチリことレッド・ホット・チリ・ペッパーズ!

 ドカドカ速くてうるさい2ビート中心の我々スターベムズが、なぜ16ビート中心のレッチリを参考に? という疑問が出てくるけど……実は新作『Feast The Beast』にはファンキーな曲も収録(先日名古屋のワンマンでフライング披露)。しかもその曲の歌詞がアルバム・タイトルにもなっているので、何気に今回のアルバムではレッチリが重要なキーワードかも?ってことで、俺なりのレッチリ雑感をば。

 

 読者的には重鎮? ベテラン? 既にアメリカを代表するスーパーBANDな印象のある彼らも、アラフォーやアラフィフからするとヤンチャな新世代BANDだったわけで、デビューもついこないだのような気がして調べたら、BAND名を冠したアルバム『Red Hot Chili Peppers』のリリースが何と1984年!  もう30年選手の大ベテランだった! Vo.アンソニーとBa.フリーのオリジナルメンバー以外が流動的な初期だけど、基本は今と全く一緒。ファンキーかつヤンチャな演奏にラップ&シンガロング! 今でこそ当たり前のミクスチャー・スタイルは既に確立されてるし、何気にプロデュースは英国ニューウェーブの父、ギャング・オブ・フォーのアンディ・ギルだったりと時代を先取りし過ぎてる。

 

 1st『Red Hot Chili Peppers』

 

 続く『Freaky Styley』ではファンキーと言えばこの人!なPファンクのジョージ・クリントンをプロデューサーに迎えるセンスの良さを発揮。ミーターズをカヴァーしちゃうセンスも早過ぎる……っつかレッチリのおかげで、その後の70’s再評価みたいな動きが生まれた側面もあるかもね……アンソニーやフリーにしてみれば、普通に青春時代のヒーロー達を取り上げただけなんだろうけど、彼らがブレイクするに従って若いリスナーがどんどん過去のファンク遺産を発見していくみたいな構図があったかも。レッチリならでは話。

 

 2nd『Freaky Styley』

 

 そして世間的なプチ・ブレイクは3rd『The Uplift Mofo Party Plan』からってのがおっさん世代の認識。日本にもうっすら情報が入ってくるようになったと思う、とはいえ深夜の音楽番組とかだけど……なぜなら彼らのアイコンでもある<チンコ・ソックス>(股間に靴下を履く例のアレねw)がここで披露されたので!

 

 3rd『The Uplift Mofo Party Plan』

 

 今でもセトリに入ることの多い「Me And My Friends」を始め、既に完成しているレッチリの型が堪能出来る……世間はニューウェーブやニューロマンティックでバブリーに弾けてる時期に、それと逆光するかのようなワーキングクラス感を打ち出したセンス……いや、実際にワーキングクラスだったからこそのファンク/パンク感は本物で、直後にオーバードーズでこの世を去ってしまう初代ギタリストのヒレルのセンスなのかも。その後レッチリに加入してBANDの歴史そのものを変えてしまうジョン・フルシアンテも、ヒレルの大ファンで彼のギターをコピーしまくって上手くなったらしいし……長くなったのでジョン加入後のレッチリは次回に。それまで初期3部作をじっくり聴くべし! 

 


 

プロフィール

日高央(ひだか・とおる)

1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

日高央(ヒダカトオル)(@hidakatoru) | Twitter
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