ハルカトミユキ「17才」インタビュー アニメ『色づく世界の明日から』との出会いによって生まれた、「普通の人」のための音楽

10月より放送を開始しているアニメ『色づく世界の明日から』。そのオープニングテーマとなっているのがハルカトミユキの楽曲「17才」だ。その名の通り「ハルカ」と「ミユキ」の二人組バンドである彼女たちがアニメのオープニングテーマを手がけるのは初めてのこと。短歌などの文学表現にも通じるハルカと、オルタナティブロックのアイコン、カート・コバーンへの偏愛を隠さないミユキが生み出す楽曲は、特定のジャンルに縛られることのない孤高の存在感を放ってきた。「17才」は、彼女たちの持ち味である光と影の両面を見つめる視線はそのままに、「世界のすべてが白黒に見えてしまう少女」というアニメの根幹をなす設定とも深い部分で共振することで、さらなるポピュラリティを獲得している。moraでは初インタビューとなる彼女たちに、そのクリエイティビティの源泉に迫る質問をぶつけてみた。

インタビュー・テキスト:北出 栞

 


 

【リリース情報】

『17才』 ハイレゾ音源配信中

FLAC [96kHz/24bit] AAC [320kbps]

インタビューの最後に、ハイレゾ音源の試聴もしていただきました(※)。

ミユキ すごい、声が全然違う。いいなあ。

ハルカ 立体感みたいな感じなのかな。コーラスがこの辺(頭の周り)でわーっと鳴ってて。メインの歌はそれより奥(耳の近く)で鳴ってる……というその奥行き感が。

ミユキ バラードとかだと、もしかしたらより違いがわかるのかも。

ハルカ 倍音成分みたいなのがいつもすごい気になって。もうちょい倍音ほしいなーとか思うんですけど、それがちゃんと聴こえる感じがします。

※ソニーのハイレゾ対応ウォークマンとヘッドフォンを使用。最新ラインナップはこちら: https://www.sony.jp/high-resolution/lineup/

 

【CDのみ】
『17才』(期間生産限定アニメ盤)

1. 描き下ろしアニメ絵柄
2. ブルーレイディスク(アニメオープニング映像収録)
※2019年2月末日までの期間生産限定盤です。期間終了後は在庫がなくなり次第終了となります。

Sony Music Shopで購入する

 


 

『色づく世界の明日から』と「17才」

――今回、アニメ『色づく世界の明日から』のオープニングテーマとして「17才」という曲を書き下ろされたということで、その取材になります。P.A.WORKSさんのアニメというと現代的な舞台とファンタジーが融合した、繊細な映像表現が印象深くて。その最新作のオープニングをハルカトミユキさんが担当されるというのは、すごく意外なようで必然的な感じもしたんですね。今回どのような経緯で、このアニメのオープニングを担当されることになったんでしょうか。

ハルカ 初めてアニメの主題歌をやらせていただくんですけど、曲を書いてみないかというお話をいただいて……コンペという形で曲を書き始めて。ミユキが曲を書いて、私が歌詞を書いてという形でいったんできあがりました。

――コンペに参加されたのは今回が初めてだったんですか?

ミユキ 何回かあります。一回映画のタイアップはあったんですけど(※)、それはオファーをいただいてという形だったので、今回初めて勝ち取った感じがありますね。

――脚本を実際に読まれて書き下ろされたということなんですけど、まず何を感じられたか……このお話のコアの部分はどういったところにあると感じましたか?

ハルカ 私は、自分自身のパーソナリティと近い部分を感じて。ちょっと運命的じゃないですけど……この物語に漂っている雰囲気と、主人公の瞳美が持っている陰の部分というか、「世界が白黒に見えてしまう」っていうことって、たぶん誰もが経験したことあるんじゃないかなと思って。それは実際に白黒に見えてるってことじゃないけど、何か心の中が白黒のままで生きてる時代があったりとか……私も自分が曲を書いたり歌詞を書いたりするときって、そういう何か人に言えない心の中のこととかっていうのが原動力だったから、自然に言葉が書けたって感じでした。

――先に言葉があって、そこに音楽が乗っていくという作り方だったんでしょうか。

ハルカ 私が言葉がすごく好きなので、昔は詞先が多かったんですけど、最近だとミユキも曲を作るので、ミユキの曲ができた後に私が歌詞を書くっていうのも多くなってきてます 。この曲も、ミユキの曲があってから私が歌詞を書いたっていう形です。

――じゃあミユキさんも、脚本から読んでインスピレーションを受けた、こういうサウンドが合ってるんじゃないかと試行錯誤されていったと。

ミユキ そうですね。「モノトーンの世界から主人公の女の子が足を踏み出して、色彩豊かな世界に変化していく」というイメージがあったので、サビで疾走感を出したりとか。私はそんなに言葉が得意じゃないので、どちらかというと作画のほうにすごく惹かれて。(キャラクターの)表情もほわっとしてるんだけど、すごく複雑な感じにも見えたり。この作品にどんな曲が合うんだろう、すごく自分から「やりたい!」という感覚が湧いてきて作りました。

――映像はどの段階のものを観られたんでしょうか?

ミユキ 皆さんが観られた、PV第2弾かな? あんまり台詞とかなかったはずです。花火がバーン、って打ち上がって、すごく綺麗な、長崎の未来の海の映像がある……あれを観てって感じですね。

――そういった新しいものが入ってきて、今回の曲が生まれたという感覚はありますか?

ハルカ それはあるかも……何もなくはこの曲はたぶん生まれていないだろうなと思います。

――すごくインパクトのある「17才」というタイトルなんですけど、これはすんなり決まった感じですか?

ハルカ けっこうぎりぎりまで悩んで、いろんな案を出してました。繰り返し曲を聴いて、映像を観ながら練っていく中で……それこそああやって映像と合わさったときに、インパクトというか、ハルカトミユキのことを知らない人が見たときに「〇〇って曲なんだ」って思ってもらう、その強さってほしいなって思って。じゃあここはもうシンプルに「17才」でいこうって、ぎりぎりで。

――歌詞の内容に目を向けると、「光」っていうのはすごく重要なモチーフになっていて。それは舞台が「写真美術部」っていうところもありつつだと思うんですけど……「光」のイメージというのは歌詞を書かれるハルカさんの中でどういった意味合いを持っているんでしょうか。

ハルカ たぶん、歌詞を書き始めたときからずっと「光と影」みたいなテーマって私の中にあって。けっこうダークな歌詞とかも多いんですけど、でも私はその先に光がなかったら歌を歌ってないと思ってて。でも最初から光り輝く世界を歌いたいとは思わない……誰かを直接的に励ましたりとか、こんなに世界は輝いてるよとか、生きるのはこんなに光に満ちて素晴らしいよっていうのを直接的に言うんじゃなくて、暗いものとか、それこそ白黒のものを見つめていった先にちゃんと光があるっていうのをどの曲でも歌いたいってずっと思ってきたから。

――歌い出しも、「たとえば今日までの僕が壊された夜」という非常にインパクトのあるフレーズから始まりますね。

ハルカ 歌詞はいつも頭から書くんです。もうちょっと作家的に、たとえばサビのところでキラーフレーズが入るように書いたらって言われることもあるんですけど、そんな風に計算しては書けないんですよね。

――「色」のモチーフについてもお聞きしたくて。いままでの曲でも「マゼンタ」とか、色名を冠してる曲がいくつかあるじゃないですか。1stフルアルバムのリードトラックの「シアノタイプ」というのも写真の用語だったり。そういう視覚的な要素は、歌詞を書かれる上ではどういった意味合いを持っているんでしょうか。

ハルカ 最初から色をモチーフに曲を書こうって始めることってないんですけど、歌詞を書いてるうちに無意識に映像が浮かぶんですよね。たとえば「マゼンタ」だったら、自分の見た空の映像が浮かんで、書いてるうちにその色をやっぱり使いたくなって。色が持っているイメージの膨らみ方ってすごいじゃないですか。黄色だったら「光」でもあるけど「危険信号」でもあったりとか……ひとつの曲でなんか軸がないなって思ってたところに色がポイントとして加わると、一気に統一感を出してくれる。だからぱっと出てくると使いたくなるんだと思います。

――「17才」という曲を作るときに思い浮かべた色はありますか。

ハルカ 『色づく世界の明日から』っていうタイトルもあるし、映像も最初色鮮やかな花火とか、海とか空とかを見たけど、私はどっちかというと「真っ白!」みたいな、そういうイメージが強くて。それこそ光をぱっと受けたときの白い感じって、カラフルよりもすごく強い。だから歌詞にもそういう白い光を浴びた瞬間のイメージが強いかなと思いますね。

――曲作りの面だと、アニメの主題歌だと90秒という尺の中に納めなければいけない、という制約があるじゃないですか。そこに対する難しさは感じなかったですか?

ミユキ メロディ自体は――ある程度サビは口ずさめる程度にしたいとか、そういうのはあったんですけど――それほど難しくなくて。一番難しかったのはイントロ・アウトロな気がします。どう始まるかがいつも書く曲以上に重要だし、終わり方もサビで終わってアウトロなのか、もう一回Aメロが来るのかとか、そこもすごく悩んだし。でもそういうところはこの3年くらいずっと一緒にやっているプロデューサーの野村陽一郎さんが経験豊富なので、「このフレーズどうですか?」とか、「これだとちょっとまだ弱いかな?」とか投げていって、やり取りをしながら作っていきました。

※映画『ゆらり』(監督:横尾初喜)の主題歌となった「手紙」。

 

ハルカトミユキと「オルタナティブ」 / 「朝焼けはエンドロールのように」

――ここでちょっと「17才」から離れて、おふたりの活動全体のことについてもお聞きしたいと思います。まずは曲を書いて、歌って、発表するというときに、どういう人が聴くだろうとイメージしているかというのをお聞きしたいなと。

ハルカ 私は……さっき話したことともちょっと近いんですけど、もともと曲や歌詞を書くことで自分が思ってることを表現するっていうのが始まりで。あんまりコミュニケーションが得意じゃないというか、人付き合いがわりとめんどくさいタイプだったんですよ。別に人が嫌いとかじゃないんですけど、腹を割って誰かと話すとか、大人数で話すっていうのが、すごい表面的になっちゃうタイプっていうか。表面的にはうまく付き合っていけるけど、それ以上踏み込もうとするとすごい疲れちゃうみたいな……そういう自分の中のギャップみたいなものに昔からすごく苦しんで、そこから歌詞を書くようになって。なので普段思ってるんだけど言えないことがある、すべての性別・世代……そういう人たちが曲を聴いて「あ、これ思ってたけど言ってくれた!」みたいになったらいいなというのはずっとあります。

――自分もそのひとりだったのでぐっときました……。ハルカトミユキさんの楽曲には何か、「赦し」とか「肯定する」とかっていう感覚があるんですよね。

ハルカ もともと何かを伝えたいとか、誰かを元気づけたいとか思って曲を書き始めたタイプじゃなかったから、ただただ普通の人――別に暗くも明るくもなくていいし、派手でも地味でもなくてもいい――が曲を聴いたときに、「自分もこれでいいんだ」って思えるようにはなったらいいなと思ってますね。

――以前に「オルタナティブ・フォークユニット」なんてキャッチフレーズが付いていた時期もあったと思うんです(※)。実際にロック色の強い曲も多数あると思うんですが、自分たちの中の「オルタナティブ」性みたいなものって、どこからきていると思いますか。

ハルカ 女ふたりで、アコースティックギター弾いて、鍵盤弾いて……みたいなところからスタートしてるから、やっぱり女性デュオできれいな声で……みたいな、とにかくそういうイメージを持たれるのがまず嫌だったんですよね。で、パンクバンドと一緒にやってみたりとか、バンドの中に入ってやってみたりとか、自分たちも変なエフェクトをかけてやってみたりとかしてきて、ジャンルで括られたくないみたいな変な反抗意識もあって。そこからさっき言ってくれたようなよくわかんない名前になったんですよ、たぶん(笑)。そのときに関わっていてくれたスタッフも、きっと何と言っていいかわかんなかったんじゃないかと。

ミユキ そうだね。

ハルカ でもそういうのが混ざり合っての「オルタナティブ」だったんだろうなというのは思ってて。確かにロックだけと言われても違うだろうし、ポップスと言われても違うだろうし……自分たちでも「この音楽はなんなんだろう」みたいなところはあって。

――なるほど。曲調のことでいうと、今回のシングルの1曲目と2曲目はまさに対照的ですよね。2曲目の「朝焼けはエンドロールのように」はロック色の強いアレンジになっていて、「17才」と並んだときにコントラストになっている。こちらの曲については、「17才」と並行して作っていったんでしょうか?

ハルカ 時期は一緒なんですけど、「17才」のほうが先にできてました。そのときはアニメが決まる前だったので、こっちの曲(「朝焼け~」)がシングルになるかな? と思いながら作っていて。と言いつつも、いま自分たちがどんな曲を歌ったらいいのかみたいなのが迷走してる時期でもあったので、「17才」が主題歌に決まりましたっていうのを聞いて、「ギャップがあるものを作っても大丈夫だな」と思えて完成したところがありますね。

――「朝焼け」というキーワードと「17才」の夜っていうキーワードが対になっているのも、別々に作っていたのがたまたまシンクロしてきたと。

ハルカ そうですね。

――ミユキさんはいかがでしょうか。

ミユキ これも曲が先にできてたんですけど、楽曲的にはやっぱり(「17才」と)対比にしたいと思って作ってました。両方がハルカトミユキにとってすごく大切なものなので、今回の作品が新しい人に届くチャンスだから、自己紹介的になる作品には絶対したいなと。「17才」のほうは光を感じられるように、アコギとかシンセメインでやって、方やこっちはバンドでがっつりっていうのは意識的にやってます。

――サビの「駅前に捨てられた自転車と同じ」っていうフレーズは、ノイジーなギターサウンドも相まってものすごいパンチラインだと思うんですけど、これは実際にそういう光景を見て?

ハルカ これも頭の中に映像としてイメージがあって。やっぱりこの朝焼けって田園風景で見る美しい朝焼けじゃないし、ほんとに新宿の歌舞伎町で見てるみたいな……でも朝焼けは同じ朝焼けじゃないですか。この曲に出てくる主人公の気持ちとして、その朝焼けに対して自分のいまいる街の雑踏があって、でも自分だけ動けない……みたいなモチーフとして、自転車の映像がすごい出てきて。

――いま「主人公」って仰られましたが、毎回そういった設定はされるんでしょうか。

ハルカ 最初からシナリオみたいに書くことはないんですけど、基本的にはフィクションとノンフィクションの間みたいになることが多いので、自分の目線では書くんだけど、だんだん書いてるうちに切り離されていって、「あっ、この人はこうだな」というのはあったりしますね。

※タワーレコードのメディア「bounce」の記事などを参照。
https://tower.jp/article/news/2013/07/29/n08

 

歌人・穂村弘と共作した「そんな海はどこにもない」

――3曲目に収録されている「そんな海はどこにもない」は、歌人の穂村弘さんに歌詞を書いていただいたということで。改めて穂村さんにリスペクトを寄せている理由や、今回お願いすることになった経緯を聞かせていただけますか。

ハルカ 大学生のときに古本屋さんに行って、たまたま手に取った本を開いたら一行だけしか書いてなくて、それが穂村さんの短歌だったんですけど、「何これ?」と思って、そのときの衝撃から好きになって。そこから短歌というものを読み始めて、自分でも書き始めて……大学時代は短歌を書いて歌集にしたりとかもしてたんですけど。なんでこんなに惹かれるんだろうと思ったときに、穂村さんが書く言葉って、すごくポップスの歌詞っぽい部分があって、私が理想とする歌詞の感じなんですよね。ただただ抽象的なことを言うでもなく、何か一瞬を写真みたいに切り取った一行で、ほんとに物語が伝わってくるみたいな衝撃があったから。それでデビューしてから穂村さんと対談する機会があって、いつか歌詞を書いてもらえたらとどこかで思ってたんですけど、今回アカペラの曲ができたから、いましかないかなと思って。穂村さんの詩世界みたいなものを、アカペラだったら表現できるかもしれないなと。

――ということは曲があってそれを穂村さんにお渡しして、そこに穂村さんが歌詞をつけてくださったという。

ハルカ そうです。穂村さんはこれまで一回だけ歌詞を書いたことがあるんですけど、それは高校の合唱曲で、でもやっぱり穂村節が炸裂しすぎて、ちょっと合唱曲として歌っていいのかみたいな仕上がりになったって本人も仰ってて(笑)。私は大好きなんですけど。今回はアカペラを聴いてもらって、特になんの指定もせずに感じたままに書いてください、とお願いして。

――そうなんですね。そもそもアカペラの曲が生まれたのには何かきっかけがあったんでしょうか。

ミユキ 「解体新章」っていうタイトルのツアーがあって(※)、そこで披露する新曲を作るということになったときに、「自分たちを解体していく」っていうことで声・楽器というのを分解して、声だけの曲を作ろうってことになったんです。

――短歌には五七調の独特のリズムがあるから、人が作ったリズムに言葉を当てはめていくってことには全然違う回路を必要としそうですけど、実際に自分でも短歌を書かれたことがあるハルカさんからするとどうですか?

ハルカ 自分が詞先で曲を書くときは短歌的な頭ですね。五・七・五・七・七じゃないにしても、どこか五七調みたいなものが頭の中にあるから詞先で書けると思うんですよ。それがなかったらほんとに散文みたいなことになっちゃって、メロディも付けられないと思うんです。五七調って日本人にすごい馴染みのあるものだから、それこそ昔の演歌とか歌謡曲の歌詞を読むと五七調とか、じゃなくても何かしらリズムがあるんですよね。逆になんのリズムもない……というか、規則性のないものがくるとすごく難しい。それこそほんとに頭を切り替えないと歌詞を書けないですね。

ミユキ こういう歌詞にするからこういう曲で、という共有は前もってはしてないんです。「これは怒りの曲です」とか、超抽象的な部分はするんですけど。だからこそ歌詞が乗ってきたときにびっくりするし……ただハルカの歌詞だったら、見たときにすごいハマるなとか何となく想像はつくんですけど、穂村さんの場合はちょっと見ただけだと強烈すぎて(笑)。これってハマるのかなとか最初は思ったんですけど、やっぱりハルカが歌うといい意味で違和感があって、曲として成立するんだなっていうのは改めてびっくりしましたね。

※2018年の4月から、各公演ごとに異なる新曲を披露していくというコンセプトで行われたふたり編成のツアー。

 

おわりに――「17才」という時代について

――最後に表題曲の「17才」というタイトルにかけて、おふたりにとって17才というのがどういう季節なのか、ご自身の当時のことも振り返りつつそれぞれお聞きできたらと思います。

ハルカ (しばし悩んで)自分の中では14才くらいが一番めんどくさい時期だったんですけど、それとも違うし……18才から曲を書き始めたことを考えると、ほんとにどこに行ったらいいかよくわかんないまま生きてた時代だなと思うんです(笑)。それこそ17才、高校生に戻りたいと言う人って多いですけど、私は一度も思ったことなくて。そんなに楽しかった記憶もないし。
17才って世間的なイメージだときっと青春まっただ中で、実際そういう人もたくさんいると思うけど、絶対それだけじゃないだろうし。ほんとは何を好きでいてもいいし、何を嫌いでいてもいいはずなんだけど、「自分はこうじゃなきゃいけないのかな」って思っちゃう年頃なんだろうなっていうのはすごい思います。

――ミユキさんはいかがでしょう。

ミユキ アニメを観てて、写真美術部に入って、仲間ができて、みんなで支え合って……みたいな、そういうのってすごい憧れてたな、でも私はあんな青春送れてないな、と思って(笑)。でもやっぱりこの曲、というかこのアニメのおかげで、そういう17才とか、青春時代どう過ごしてたんですかということを聞かれることも多くなって。それで考えたんですけど……中学生のときはわりとみんな同じものを好きになったり、それが自分に合ってるか合わないかは別として、「これが流行ってるから」ってそれを身に着けたりしてたのが、高校生とかになると、「自分が好きなものはこれ!」みたいなのが、すごくはっきりしたなと思って。世界史と英語の授業が好きになって、夏休みに留学に行ったり。

――ハルカさんは18才から曲を書き始めたということでしたが……

ミユキ 私も同じですね。高校3年生まで毎週ピアノのレッスンは受けてたんですけど、バンドとかも自分ではやってなくて。ORANGE RANGEのファンクラブに入ってたんでライブに行ったりとか、あとはカート・コバーンに出会って……顔がイケメンなので(笑)、雑誌の切り抜きを集めたり、伝記も読んだり。それで大学に入って、そのときに自分で音楽を……カート・コバーンになりたくて、こういう音楽をやりたいって思ってやり始めたのが、やっぱり18才です。

――17才というのは、ハルカトミユキというバンドにとっても「前夜」的な時期だったということですね。

ふたり (うなずく)

――アニメに出てくる17才のキャラクターたちも、これからどういう未来をたどっていくのか、想像が膨らむなと思いました。本日はありがとうございました!