岩崎宏美 全シングルハイレゾ化記念! ~スタッフが歴史と聴きどころをたどる~

“天まで響け!”のキャッチフレーズでデビューし今年40周年を迎えた岩崎宏美が、ビクター時代にリリースした全105曲を9月9日よりハイレゾで配信開始されます。50枚以上のシングルを一挙にハイレゾで配信するのは業界初の快挙です。この貴重な企画を余りある情熱で推進されてきた3人のキーマン、エンジニア袴田剛史さん、A&Rディレクター森谷秀樹さん、監修者の臼井孝さんにお話をうかがってきました。

聴き手:安場晴生(ソニーミュージック・パブリッシング)

 


 

イラスト:牧野良幸

 

岩崎宏美 ハイレゾ配信一覧

 

 

――これだけキャリアのある方のシングルがハイレゾで全作品配信されるということは画期的なことだと思うんですけど、私は1964年生まれなのですが、どちらかというと素晴らしいシンガー――アイドルとかではなく――というイメージがあって。とにかく歌が上手い人であると。

臼井 アイドルなんですけど、クラシックファンの人とかも結構いらっしゃるんですよ、当時から。

――そうなんですね。その辺りのことも、おいおい伺っていければと思います。では岩崎さんとのお関わりについて、森谷さんからお願いできますか。

森谷 はい。私はいまビクターのストラテジック部という、カタログ制作を担当するセクションに所属しています。岩崎さんとの関わりという意味では2007年、全オリジナルアルバムを紙ジャケットで復刻するというプロジェクトがありまして、その時にロングインタビューをさせていただいたりとか、臼井さんとの関わりというのもその時からなんですけど。それが非常に好評だったということもありまして、今回の企画につながっています。

――ありがとうございます。臼井さんのお関わり合いは?

臼井 私はそうですね、小さいころから『スター誕生』は観ていたんですよ。それで「ファンタジー」という4枚目のシングルのときに、すごく歌が上手いなと思って。ファンとしてレコードを買いだしたのは、84年ですね。『ダル・セーニョ』っていう10周年ベストが出て。全部買いだしたのは95年に『ファンタジー』というセカンドアルバムが、CD選書っていうので出たんですよね。

――廉価版のシリーズですね。

臼井 そうです。CDでようやくオリジナルアルバムが出てきて。で、その『ファンタジー』というのが凄まじく完成度の高いアルバムで。それは洋楽ファンにもすごく人気で。その後、音楽業界に来て色んな提案を出せるようになってから、宏美さんの復刻をやりたいってビクターさんに何年もずっと言ってたんですけど、森谷さんがようやく手を挙げてくださって、2007年からのべ50作くらいの復刻をしまして。それを機会に宏美さんにはずっと可愛がっていただいてるというか。いまも毎年ライブには行くようになっています。

――ではその辺りのことも後ほど。では最後に袴田さん。

袴田 はい。私も森谷さんと一緒で、一番深く関わらせていただいたのは、2007年に紙ジャケを作るときに全タイトルをマスタリングさせていただいて。現在はマスタリングエンジニアですが、その前はレコーディングエンジニアをやっていて、その時にアシスタントとしてなんですけど、岩崎さんがちょうどビクターの後期のとき、参加してまして。

臼井 どの辺りの作品になるんですか?

袴田 13 CATSがプロデュースした『FULL CIRCLE』とかですね。

臼井 ああ、95年の。AORファンとかにも人気の作品ですよね。

森谷 おそらくマスタリングとか復刻という意味でも、岩崎さんの作品をここまでやったのは袴田さんが初めてですよね。たぶんそれまではビクターの中でももっとベテランの方がやっていたと思うのですが。膨大な量の、22タイトルのマスタリングを細かいところまでやるということで、三人で徹底的に2007年にやったというのが、今回の企画にもつながってるんですよね。マスターもすごく直したりしてますもんね。

臼井 そうですね、結構ノイズがあったので。

森谷 ファンの間でも、ノイズがあるって言われていたところを全部チェックして。

臼井 「シンデレラ・ハネムーン」が特に有名で。音がちょっと「ぶにゅっ」となってたのを、袴田さんに移植していただいて。

森谷 オリジナルマスターの修復作業を。

――それを2007年のリマスタリングの際にされた訳ですね。すばらしいですね。

袴田 かなりやりましたね(笑)

臼井 ライブ録音で、花束がばさっ!と鳴る音とかも。

森谷 ああ、その後ライブアルバムも出しましたよね。ちょっとしたイントロの違いとかでも、全部バージョンを明らかにして、全部ボーナストラックとして収録して(笑)

臼井 「四小節長い」とか(笑)

――それは2chマスターで残っていたということですか? バージョン違いが。

森谷 すでに商品として発売はされてて。

――それを全部検証したということですね。

臼井 そうです、そうです。

森谷 当時はあまり明確な区別をせずに発売していたので。

臼井 特にアルバムバージョンとか書かず発売されてたんですけど、ちょいちょい違うのを全部洗いだして。

森谷 全部違うバージョンとして、ボーナストラックとして入れたと。

――あ、なるほど。ではその延長ということになりますけど、今回のハイレゾ化のプロセスというのを教えていただけますか。

袴田 今回は全シングルをやらせていただいて……今まであまりやってなかったんですけど、アナログまで戻ってやっているんですね。半分くらいですかね?

森谷 アナログが良い状態で残っているものはすべてですね。

袴田 それが一番大きな点ですね。

――Uマチック(デジタルの3/4インチテープのカセット規格)ではなく?

袴田 シブイチ(1/4インチ幅のテープに収めた2chのマスター)ですね。オリジナルのマスターです。

――いわゆるアナログマスターということですね。

袴田 2007年の紙ジャケCDの際も、アナログまで遡って復刻しているのですが、残念ながらそのときはハイレゾフォーマットではなく、CD用に44.1kHzで取り込んでいたんですね。今回のように全てアナログまで戻って、ハイレゾ用にマスタリングし直すというのは、初めてなんじゃないかな。やり方としては今回アナログのシブイチ……これも状態のいいものと悪いものとあって、経年劣化は多少なりとも必ずあるんですけど。それを調べるために一回デジタルにして。必要なものはノイズを取る処理をしたり。かなり時間をいただいて進めてますね。で、その後の作業に関しては普通のマスタリングの作業と同じなんですけど。

――これはどこまでの作品がアナログマスターになるんですか?

森谷 83年までは全部ですね。

――ではかなりの全盛期というか。

森谷 ベスト盤がすでにハイレゾで配信されているんですけど、それはアナログからではないんですよね。ビクターがハイレゾ配信を始めたとき、まだ数タイトルしか出していなかったときに、<COLEZO!>というベスト盤が配信されたのですが、中身は紙ジャケCDの時のマスターをK2HDで24bit/96kHzにしたんですよ。それがすごく売れてるんですよね。それで40周年のタイミングで、全タイトル出しておきたいなということになり。

――すべてをやり直したということですね。

森谷 そうです、そうです。だから同じ曲でも、(ベスト盤として配信されているものとは)今回音源が違うということです。

――なるほど。それはだいぶ貴重な音源ですね……。

袴田 当時のレコーディングエンジニアさんがすごく優秀だったのもあって、やっぱりすごく音が良くてですね。みなさんの耳に残ってる音って、CDの時代のものがご存じのものだと思うんですけど。アナログマスターだともう少しやわらかくて、レンジが広い素直な音がするので。なるべくそれも活かしつつマスタリングさせていただきました。一方で臼井さんのアドバイスもあって、みなさんが耳にしてきた音とあまりにもバランスが変わってもいけないので、そこは十分比較しながら、いいところを見つけてやらせていただきました。

――なるほど……CDが普及してきたのって、83年くらいですかね。

臼井 そうですね。宏美さんも83年くらいからCDが出てますね。CDシングルは、88年からなんですけど。アルバムとしては。89年の「夢見るように愛したい」までは、アナログも出てますね。

――EP盤はやっぱり音がいいですよね。でもそれに近い形で、今回のハイレゾ音源では聴けるのは素晴らしいことですね。

袴田 だいぶリラックスした音にはなってると思います。

――岩崎さんの歌の持つ、包容力というのを活かしてということですね。では一曲聴いてみましょうか。

 

♪「想い出の樹の下で

想い出の樹の下で/岩崎 宏美

 

臼井 芳醇な感じがしますよね。

――アレンジの狙いと、宏美さんの歌もしっかりと前にくるんですけど、それでいて包み込むような感じがします。CD音源とも聴き比べてみて、ご感想のほうはいかがでしょうか。

森谷 マスタリングを始めるときに、アナログテープの音をどういう方向に持っていくのかということは、臼井さんに立ち会ってもらって。結局は変えようってことになったんですよね。アナログのマスターを忠実にというよりは、やっぱりイメージを近づけていくというか。あらためて聴くと、絶妙な気持ちよさが感じられました。

袴田 臼井さんも仰っていたんですけど、楽曲のイメージがだいぶ違うものに聴こえるねと。とはいえ質感とか楽器の鳴りとかっていうのは結構そのまま残していると思うんですけど。その中にちょっと力強さを出したりとか、全体の音量感を調整したりだとか。それでもCDには引けを取らないぐらいまではなっているんですが。あまりやりすぎていくと音がつぶれていってしまうんで。

――より聴かせたいスタジオでの鳴りというのを大事にされて創られたということでいいんでしょうか。

臼井 そうですね。

森谷 紙ジャケのときの音にそっくりにしようということでもなくて。やっぱりハイレゾフォーマットでの気持ちよさを追求したという感じですね。

臼井 CDはボーカルがより良くなってたり、ストリングスがより良くなってたり、「個人戦」で聴けるんですけど、ハイレゾは「団体戦」で、全体が良くなってるというのがすごく出てるなと思いました。

――そうですね。聴きどころが違うというか。

臼井 そういうところがより「ライブ感がある」と言われるところなのかな、と思いましたね。

――私はヘッドフォンでよく聴くんですけど、スピーカーで聴くとハイレゾの音ってスピード感が少し落ちる場合があるじゃないですか。それがまったくないので、素晴らしいなと思いました。(筒美)京平先生の楽曲とかは、意外とちゃんとしたブラックミュージックだったんだなということに気づいたり。スウィング感とかがより感じられて。

臼井 そうですね。すごくソウルフルで。

森谷 たぶん、マスターをそのまま忠実に再現すると仰ったようにスピード感がなかったとかそういうことになると思うんですよ。それが、そうならないように、紙ジャケのときのお手本があったので。それを比較しながら作業することができたと。

臼井 そのままの音だと“もったり”していたんですよ。それを袴田マジックで(笑)

森谷 (笑) でもその感じを決めるときは、臼井さんにも来ていただいて、確かめながらやっていって。

――では岩崎宏美さんのハイレゾ入門編というところで、おすすめの楽曲をお伺いしていければと思います。

森谷 僕も「想い出の樹の下で」ですね。岩崎さんの非常に伸びやかな声の良さが聴ける曲なので。元々好きな曲でもありますし……より聴き比べをしていただきたいなと。

――私もこの曲を当時聴いたときに、「何なんだこの曲!?」となりましたね。やっぱり世界観がすごくあって、大人っぽいというか……。

臼井 いわゆるアイドル歌謡というのとは、一線を画していましたよね。

――では、袴田さんのお勧めはどうでしょうか。

袴田 鉄板なんですけど……「シンデレラ・ハネムーン」ですね。ポップスって耳に残ることが非常に大事だと思うんですけど、今回もマスタリングをしていて頭の中でメロディがずっとループしてたのがこの曲で。そのぐらいわかりやすくて強烈で……でもそれが、いまのご時世音数も多い音楽が多い中で、すごくよくできたアレンジだなと思って。すごく基本的な、大事なところを押さえた楽曲だなと思って。大好きな曲ですね。

――ああ、こういう曲だったんだという。ブラックミュージックのマナーというか。それに負けない宏美さんのボーカルというのもあり。当時は流行歌としてすごく流行ってたと思うんですけど……僕もびっくりしました。では臼井さん、いかがでしょうか。

臼井 「思秋期」とか「聖母たちのララバイ」とかも好きなんですけど、ハイレゾでどうなるのかなという意味で一番楽しみだったのが「未完の肖像」っていう84年の10周年に向けて出されたシングルで。コアなファンが支持している曲ですが(笑)……阿久悠さん、筒美京平さん、萩田光雄さんというトリオで。デビュー曲の「二重唱(デュエット)」と同じトリオで、あらためて作られた曲なんですね。それと79年の「夏に抱かれて」という作品。あとは一番好きなのは「決心」という曲なんですよ。事務所が変わって第一弾の曲で。85年4月の曲なんですけど。ビクター時代ではその3曲ですね。

 

♪「未完の肖像

未完の肖像/岩崎 宏美

 

臼井 ヘッドフォンで聴いたら、さらにダイナミックなことになってるなと思いました。初期のCDで聴いたころは、何かごちゃっとした印象だったんですよ。それがいま聴いて、すごく細分化されつつも、全体のよさも出ているなと。「夏に抱かれて」というのはサンバの歌で。明るい歌っていうのがあまりなかったので。ハイレゾになってどうなるのかなと。

―― 作曲が馬飼野(康二)さんなんですね。

臼井 そうです。最近でもアイドルの曲を手がけられていてご活躍ですが、この頃は岩崎宏美さん以外にも西城秀樹さんとか、たくさん書いてらっしゃいます。

―― そして、カップリングが筒美さんで。

臼井 この時期は前のシングルの誰かとリンクさせてあるんですよ。前のシングルの作詞が山上路夫さんだから、「夏に抱かれて」の作詞も同じ山上さんとか。「夏に抱かれて」と「万華鏡」の間は作曲・編曲は同じだったり。ちょっとずつ変えているというか、冒険されているのかなという感じはしますね。

 

♪「夏に抱かれて

夏に抱かれて/岩崎 宏美

 

臼井 天まで響け!(岩崎宏美さんのデビュー時のキャッチコピー) みたいな感じですね(笑)

――伸びやかさと、これもスピード感がちゃんとありますね。

 

♪「決心

決心/夢狩人/岩崎 宏美

 

臼井 この頃から打ち込みの音が顕著になりだしたんですけど、CD化したときはわりとデジタルな部分が目立ったなと思ったんですが、いま聴いてみると生楽器を足してる部分とのミックスがすごくいい感じだなと。

森谷 抜けた感じがありますね。

――さすが、バラエティに富んだ選曲ですね。今回はシングル盤のハイレゾ化ということで、B面曲もそれぞれ収録されているんですけど。何かおすすめはありますか?

臼井 「ロマンス」のB面曲の「私たち」ですね。これは「ロマンス」と争ったくらいの、京平先生はこっちをA面にしたかったという曲で。でも宏美さん自身は、朝の生番組だとちょっと辛いな~という、すごく高音が多い歌なんで、「ロマンス」を推されたんですね。で、阿久先生はより岩崎さんの世界観に合っているという理由で「ロマンス」を推して。2対1ということでロマンスになったんですよ。

森谷 でもそれで「ロマンス」がヒットしてなかったら違ってましたもんね、岩崎さんのキャリアは。

臼井 そうですね、それは京平先生も仰ってて。そこからよりしっとりする曲を宏美さんには歌ってもらうという流れができて。

――ひとつの分岐点になったわけですね。

臼井 「私たち」っていうのは独立されるまで、ずっとコンサートの終盤で歌われるくらい、ファンの間では超

人気曲だったんですよ。ご本人も25年ぐらい封印されてたんですけど、35周年のときにようやく歌われたんですよ。

――難しいということもあったんですかね。

臼井 というよりも、アイドル然とした歌で、ちょっと今とは路線も違いますし。

森谷 当時出してたライブアルバムには必ず最後に入っていて。当時コンサートに行っていた方には、もうおなじみの。

 

♪「私たち
(『ロマンス』収録)

ロマンス/岩崎 宏美

 

臼井 まだデビュー三か月なんで、声はまだまだ幼い感じなんですけど。

――でも、これを聴いたらやっぱりアイドルだと思いますね。

臼井 そうですね。アイドルポップスですね。確かに幼いんだけど、すごくさわやかで。いい曲です。

森谷 あとはまたA面曲になるんですけど、「センチメンタル」とか「ファンタジー」とか「未来」とか、この辺は全部推しですね。「ロマンス」がいいのは皆さんわかってると思うんですけど、その後の京平先生作編曲のシングル。それは全部素晴らしいと思うんですよね。中でも「未来」は、やっぱり突き抜ける感じがハイレゾとしてどう響くか、というところが気になります。

臼井 アイドル歌謡なのに、パーカッションとかギターとか、演奏も聴かせるようなところが当時からあって。その良さがすごく出ていて。

――改めて聴くと、かなり本格的なサウンド感ですよね。それをちゃんと歌いこなす、だいぶ難易度の高いことをやってこられたんだなと。

臼井 そうですよね。京平先生の曲の中でも、宏美さんの曲は難しいんです。他の方に提供した曲では1オクターブに収めたりしてるのに(笑)

 

♪「未来

未来/岩崎 宏美

 

森谷 CDでも相当いいんですけど、苦しいところが何一つないですよね、ハイレゾで聴くと。

臼井 よりビブラートの部分とか、コーラスと混ざってるところとか、そういうところがよく聴こえるなあと思いました。

袴田 アレンジもすごくあると思うんですよね。隙間のあるアレンジで。一生懸命バランスを取らなくても、音数がすごく少なくても成り立っている感じがしますね。

――それでは締めとして、岩崎さんは現在も現役で活躍されていらっしゃいますが……いまに通じる魅力というものを最後に語っていただければなと。

森谷 岩崎さんはいまはテイチクでずっとやっていらっしゃるので。いまでも深く関わっていらっしゃるのは臼井さんなんですよ。

臼井 指名されてしまった(笑) 宏美さんは、現在ではファルセットとかも多用して母性とか優しさみたいなところとか、震災以降は明るさとか、前向きに希望を歌ったりされてることが多いんですよね。特にライブに行くと、その良さが本当によく分かります。デビュー当時から高音がきれいに出たり、伸びる感じというのが人気なんですけど、そこだけじゃなくて、いまはより全体での表現力というか。そういう部分も聴いていただけたらと思います。たとえば「聖母たちのララバイ」は、その後も何回もレコーディングされてるんですね。そのたびにより優しい感じとか、包まれる感じみたいなのが出てるので。

――なるほど。ちなみに今後のハイレゾ化の予定などは…

森谷 アルバムもハイレゾにしたいとは思っていますね。

――ライブにすごく魅力があるということなので、ライブ盤などもどうなのかな、と思ったのですが。

臼井 オリジナルのLP時代24枚、CD時代8枚の他に、ライブアルバムも14枚ほどあるので……(笑) 長い道のりが。

森谷 オリジナルアルバムとライブアルバムを、毎年1枚ずつ出しているんですよね。

――それもすごいことですよね。

臼井 その中でも10周年の時に出た『I WON’T BREAK YOUR HEART』というアルバムは、海外のアーティストが参加しているロサンゼルス録音のアルバムで。洋楽ファンにもすごく人気の作品なので、ハイレゾ化でどうなるのかなというのが楽しみですね。

――阿久悠さんや筒美京平さんといった、職業作家の方々のすばらしい仕事を順に追っていけるという意味でも、こうしてまとめて聴けるようになるのは意義深いですよね。 それでは最後に一番リクエストもされる「聖母たちのララバイ」を聴いて、締めとしましょうか。本日はありがとうございました。

 

♪「聖母たちのララバイ

聖母たちのララバイ/岩崎 宏美

 


 

プロフィール

 

臼井 孝(うすい たかし)

京都市出身、音楽マーケッター。化学メーカー、広告代理店勤務を経て、05年にT2U音楽研究所を設立。音楽市場分析、ヒットチャートに関する執筆(つのはず誠名義)、企画CD・配信サイトの選曲や監修をつとめる。岩崎宏美作品では、30周年BOX、『GOLDEN☆BEST』『GOLDEN☆BEST II』の選曲、ビクター時代のオリジナルやライブアルバムの復刻監修、『Dear Friends BOX』ブックレットの執筆など、のべ66枚の制作に携わる。

 

袴田 剛史(はかまた たけし)

1970年東京生まれ。2004年よりFLAIR MASTERING WORKSに参画。いわゆる”復刻もの”の大きなプロジェクトに参加することは多く、普段はジャンル問わず様々なマスタリングワークにも従事している。

 

森谷 秀樹(もりたに ひでき)

1992年、ビクターエンタテインメント入社。 1998年より、A&R/ディレクターとして、 リイシュー/新録を問わず、数多くの作品を手がける。 担当するジャンルも幅広いが、常に丁寧な作りを心がけている。