2015年を代表する新しい才能・GLIM SPANKYを聴く!~王道のポップミュージックを塗り替えてやろうという気概~

2015年moraイチオシのニューカマー・バンドといえばGLIM SPANKY(グリム・スパンキー)。60年代や70年代のロックやブルース、絵画やアート、映像作品などサブカルチャーをルーツに持ちながらも、“いまの時代を熱く感じさせる時代を超越した存在感”のもと、颯爽とテン年代の音楽シーンに登場した2人組新世代ロックユニット。ついにリリースされた7月22日発売の1stフルアルバム『SUNRISE JOURNEY』における、生々しくも爆発力のある骨太なロックっぷりが素晴らしい。完全に、“いまの時代の王道のポップミュージックを塗り替えてやろうという気概”を強烈に感じるのです。“大人への階段を登る途中の不安や焦燥を形にしたメッセージ性の高さ”、そして“研ぎすまされた声の魅力”、“こだわりの生音感”が突き刺さりまくりなんです。松尾レミ(Vo,G)と亀本寛貴(G)による最強の2人組ロックバンド。時代を超える音楽の素晴らしさ。そんな可能性に魅了されまくりな、2015年を代表するであろう新しい才能に要注目です!!

インタビュー&テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

 


 

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GLIM SPANKY
“オーセンティック・ロックの旗手”
 
松尾レミ Remi Matsuo Vocal/Guitar  1991.12.7
亀本寛貴 Hiroki Kamemoto Guitar  1990.8.24
 
長野県の同じ高校に通っていた2人が出会い、2007年に結成。
2009年「閃光ライオット」のファイナリストに選出。
2013年12月、初の全国流通盤「MUSIC FREAK」をSPACE SHOWER MUSICよりリリース。
 
ロックとブルースを基調にしながらも、新しさを感じさせるサウンドを鳴らす、男女2人組新世代ロックユニット。
ザ・ストライプスやジェイク・バグといった、60年代~70年代のオーセンティックな音楽を鳴らす若手アーティスト達のムーヴメントが世界的に生まれつつある現在、
日本における「オーセンティック・ロック」の旗手として、今後の邦楽音楽シーンにおける台風の目となることは間違いないだろう。
また、「ジャニス・ジョプリンの再来」「10年に1人の歌声」とも称される松尾レミの強烈なボーカルは、多くのオーディエンスを虜にしている。
 
2014年6月11日、1stミニアルバムでメジャーデビューを果たす。
 

 

 

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1st ALBUM『SUNRISE JOURNEY』

M1. 焦燥
M2. サンライズジャーニー
M3. 褒めろよ
M4. MIDNIGHT CIRCUS
M5. 踊りに行こうぜ
M6. 夜が明けたら
M7. さよなら僕の町
M8. WONDER ALONE
M9. ロルカ
M10. 大人になったら
M11. リアル鬼ごっこ
 
 

 
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インタビューの様子。(イラスト:牧野良幸)
 

――moraチームがものすごくGLIM SPANKYにハマっているんですよ。あ、もちろん僕もなんですけどね。

松尾レミ(以下、レミ) ありがとうございます。うれしい限りです。

 

――もともとは、10代限定フェス『閃光ライオット』に出場されていた頃から観ていて。ズットズレテルズ、THE SALOVERS、挫・人間とか同期ですよね?

レミ え~! 6年前とかですね。よくご存知で(驚)。

 

――そこから新宿レッドクロス、ロフト、青山レッドシューズなどでのコアなライブ活動があったり、インディー盤『MUSIC FREAK』のリリースがあったり。実はGLIM SPANKYって、若いですけど紆余曲折ありながら成長しつづけてきたバンドなんですよね。ちなみに、お二人の世代にとって『閃光ライオット』っていうのは、とても大事な場所だったんじゃないかなと思うんですが。

レミ そうですね。『閃光ライオット』は、音楽で生きていくことを現実的に夢を見させてくれた第一歩みたいな感覚があります。それまで長野県の田舎の出身なので、音楽で食べていくなんて夢物語だったんですよ。

 

――なるほどね。

レミ 自分たちの廻りでも、音楽で生活していくなんて絶対に無理だって言われつづけてましたから。たとえば音楽や絵を描くことっていうのは、趣味でやるべきだって諭されるんですね……。でも、『閃光ライオット』に出てみると、10代で音楽で食べたいって人が普通にたくさんいるわけです。実際、その後に成功しているミュージシャンもいっぱいいて。それを目の当たりにした時に、ああ、こうやって生きている人達がこんなにいるのに、思い込みで「なれるはずがない」とか、「そんなのあり得ない」とか言っちゃうのがおかしいってことに気がついて。だから私たちにとって、夢で憧れだった世界が、憧れではなく現実に見えた場所なんですよ。

亀本寛貴(以下、亀本) そうですね。『閃光ライオット』は、都会でバンドをやっている同世代の子たちとはじめて接することが出来た場所なんです。ハマ・オカモトくんとか、とんでもない感じの人たちもいて、やっぱりすごいな、都会は違うなって思いました。その時は、全然自分たちはまだまだ埋もれてるなと思っていたんですね。実際、ぼくらはファイナリストとして残ったんですが、賞はなかったし、特別注目されたというワケではなかったんです。でも都会で最先端でやってる10代の子たちってこんな感じなんだという基準を知れて。よっしゃ、だったらもっと頑張って一丁やってやるかって気持ちになれたんですよ。

 

――ちょっと前ですが青山レッドシューズで、ロックファンの間で有名な某テレビ局のプロデューサー、YOU-DIEさんのイベントにも出られてたじゃないですか? ああいう目利きの方だったり、紙資料ではリリー・フランキーさんなど、本物の音楽を知ってる方からの応援の声がどんどん高まってますよね。そういう状況でアルバムを完成させてみて、お二人はどんな心境ですか?

レミ そうですね、YOU-DIEさんもそうなんですけど、いとうせいこうさん、リリー・フランキーさん、みうらじゅんさんとか……そういう方たちが気がついたらいろいろ応援してくれていることにまず驚きました。すごくうれしいことですし、光栄ですよね。この1stフルアルバム『SUNRISE JOURNEY』は、去年『焦燥』っていうミニアルバムを出してからすぐレコーディングに取りかかったんです。なので早い段階でほぼ完成していました。なので、少しずつ理解してくれる方々が増えている状況は夢のようですね。

亀本 音楽っていま、世の中にめちゃめちゃ溢れ返っているじゃないですか? どれも製品としてちゃんと作られていて、細部まで抜かりがないと思うんですけど。でも、だからなのか逆に自分の中に入ってこなかったり、ということもあると思うんですね。自分の曲をラジオとかで客観的に聴くと、自分だからかもしれないですけど、すごい違和感があるんです。……悪い言い方をすると、整ってないとか、粗削りに聴こえるんですね。でも、普通に人間が歌を歌ったらそうなるはずだし。人間が本気で伝えたいと思ってギター弾いたら、それが気持ちに生々しさとしてあらわれるはずなんですよね。本当の生の音を、生として伝わるように生々しくあったからこそ、耳に引っかかってくれたんじゃないかなって僕は考えていています。ちゃんと作られている音楽ばかりだと飽きちゃうと思うんですよ。聴いたときの存在感というか、他とは違う際立った要素って大事なんだと思っています。GLIM SPANKYのこだわりですね。

 

――先日、音楽配信の新しい潮流としてApple Musicがサービスを開始しましたけど、YouTubeやmora、iTunesなど配信サービス登場以降、過去のレジェンド作品に触れやすくなって、新作も旧作もフラットな感覚で音楽を楽しめる時代になったと思います。

レミ そうなんですよね。

 

――GLIM SPANKYのお二人が奏でるサウンドも、今の時代にはいい意味で違和感のあるアナログなロックのセンスを持ちつつも、でも“いま聴くべきだなってセンスを感じさせる”ところが、数々の新人アーティストがデビューしていく中で、GLIM SPANKYが目立っている特徴なのだと思っています。もともと、どんな風に音楽は楽しまれてきたのですか?

レミ 高校まで生活していたのが、とにかく田舎で村だったので(苦笑)。CDショップがあったとしてもTSUTAYAさんだけだったんですね……。

亀本 あとは、地元のローカルなCDショップ。

レミ そこもランキングのトップ10ぐらいしか置いてないところで……。レコードも置いていないし、素敵な本屋さんもないので、情報源といえばテレビか雑誌しかないんです。10代半ばで、やっとYouTubeとか観るようになるような環境でした。でもたまたまうちの実家が、父親がすごいレコード・マニアだったので、あれが聴きたい、これが聴きたいって言えば、それに関連付けて20枚ぐらいレコメンドされたんですね。

 

――それはすごい。

亀本 生き字引きみたいなね(笑)

レミ 最新のも古いのもいつもチェックしてるし。

 

――お父さん、何者なんですか(笑)

レミ ただレコード好きな、変なおじさんです(笑)。なので親にすごく助けられたというか。さらに音楽は音だけじゃない、ということも毎日のように言ってまして。音楽とともにカルチャーも教えてくれたんです。60’sのモデルさんがいっぱい載ってる雑誌だったり、ファッション誌を一緒に持ってくるわけです。「これを見とけ!」みたいな感じで(笑)。それを見ながらレコードを聴いていたら、いまの自分が見てもかっこいいと思うセンスに出会えるんですね。それで、だんだん自分の好みがわかってきて、60’sにたどり着きました。でもそれは60’sが大好きって当時から思っていたワケではなくて、知らない間に身の回りのものを見たら、音楽もファッションもそういうモノが好きになってたんです。気づいたらそうなっていたって感じで。

 

――それは面白いカルチャー体験でしたね。ちなみに、世代的にはBUMP OF CHICKENとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとか好きな感じですか?

レミ そうですね。あとはRADWIMPS。もちろん聴いてましたよ。

 

――そういうものから入りつつ、ルーツを遡ったりして、自分に合うものが段々わかってきたと。

レミ そうですね。BUMP OF CHICKENも好きで聴いていたんですけど、それと同時進行で、たとえばBUMP OF CHICKENが影響を受けた音楽ってどういうものだろうと辿っていくと、自分が探っていったルーツに辿り着いたんです。BUMPが影響を受けたのは何だろう、って知ったのがThe Whoだったし、ローリング・ストーンズだったりビートルズだったり。そこから派生していきました。それと同時にホワイト・ストライプスに出会ってドハマりして、レッド・ツェッペリンを知って。ウッドストック(・フェスティバル)にも衝撃を受けたり、ツィッギー(60年代に活躍したモデル)がすごく好きになったり、その当時のファッション雑誌をいっぱい見るようになって、どんどん世界が広がっていった感じですね。

 

――亀本さんもそういう感じですか?

亀本 さっき、話されてましたが、僕らはビートルズを聴いても昔の曲を聴いているという感覚がないんですよ。普通にビートルズの方がBUMP OF CHICKENより後に聴いているので。僕の中ではBUMP OF CHICKENより後の音楽なんですね。時代感とか全く関係なく音楽を聴いてはいるんですけど、ちゃんと自分の好みというのはあって。昨日もオープンしたばかりのApple Musicを試してみて、最初に好きなアーティストを選ぶじゃないですか? そうしたら「For You」というオススメ欄に自分の好きなアーティストが、時代はバラバラなんですけど出てきて。どこかみんな似てるんですよね。時代とかは関係なく。我ながら今時な子の聴き方をしてるんだなと思います(笑)。

 

――これだけたくさんの音楽を聴ける時代ってすごいなと思いますよね。しかも、より高音質なハイレゾという選択肢も広がっているワケで。こういう時代はかつてなかった。なので、そんな時代から生まれてくる新しい表現、新しいアーティストが登場してくるんだろうなと思っていたんです。なので、GLIM SPANKYの存在にはすごく興味を持っています。

レミ ありがとうございます。

 

――レミさんは、もともと画家志望だったとか。

レミ そうですね、全然上手というわけではないんですけど、本当に好きで。たまたま祖母の親戚が画家だったり、祖母も絵でお仕事していたり、母親もイラストをやってました。保育園に入る前から絵の具を与えられていたんですよ。街の写生大会に出たりしていたので、好きでした。好きな画家もいたし……だから絵で表現していきたいなってずっと思っていたんですけど、中学生のころにバンドにハマりまして。どっちもやりたいなと思って、じゃあどっちもやればいいじゃんと思って、バンドをやりながら、そのバンドのアートワークだったり、グッズだったり、ファッションだったりを全部プロデュースすればいいじゃんと思って、いまに至りますね。

 

――全部つながってるんですね。

レミ そうですね。

 

――グッズだったりアートワークだったりも含めて、GLIM SPANKYのひとつの表現だと。

レミ 音楽って音だけじゃないと思っています。周りのモノも全部含めてのGLIM SPANKYなので。そこは一番こだわりたいところ。ロックスターは見た目が98%って思っています。もちろん、音だけこだわってるというのも素晴らしいと思うし、リスペクトできるんですけど、私のやり方ではないなというか。音だけではない周りの部分も、しっかりと世間に提示していけたらいいなって思ってます。

 

――ちなみにGLIM SPANKYらしさというのは、どのぐらいのタイミングで掴めてきたんでしょう?

レミ 最初は学園祭でコピーバンドから始まりました。なのでどうやって曲を作ったらいいかわからないし……、自分の表現したいものをどう表現すればいいのか、その術がわからなかったんですよね。でも、中学校からThe Whoとかホワイト・ストライプスにハマったというのもあって、クラシックロック、ブルースロック的な部分も好きでした。たとえばホワイト・ストライプスはアートワークも黒と赤のインパクトで面白いんです。そんな音だけじゃない部分というか、提示をしっかりやりたいなとはずっと思っていました。徐々に成長していくにつれて、表現方法を学んで。なので、GLIM SPANKYらしさが生まれたのは、高校を卒業してからぐらいですかね。『閃光ライオット』が終わったぐらいかな。

 

――いろいろなものを吸収してきて、自分たちのインスピレーションで、オリジナルなものとして再解釈したと。

亀本 アートワークだったり、着るものだったり、持つ楽器だったり、髪型だったり、靴だったり……自分たちのやりたいことができるようになってきたのはメジャーになったタイミングですね。3年前のライブ映像とか観ると、「何この服!?」とか自分で思ったりするんですよ(苦笑)。ヴィジョンは元々持っていたんですが、思い描いていたものを表現できるようになったのは最近ですよね。

 

M11. リアル鬼ごっこ

――そんなメジャーデビューして盛り上がりつつあるタイミングで、いま映画『リアル鬼ごっこ』のイメージソング「リアル鬼ごっこ」が話題になっていると思うんですけど。この曲は、ぶっちゃけ別に映画のイメージソングじゃなくても、イントロからポップな要素が上手いバランスで表現されていてめちゃくちゃかっこよくって。この楽曲はどのようにして生まれたんですか?

レミ これは映画のお話をいただいたときに、園子温監督が、以前にも映画化されている『リアル鬼ごっこ』という作品をまったく観たことがなく、原作も読んでいないけれども、「リアル鬼ごっこ」というワードから新しい映画を作ったという話を伺って。こちらもクリエイターとして、「リアル鬼ごっこ」というワードから音楽でどれだけ自分たちの表現ができるかという勝負というか、遊びというか、そういうきっかけで作り始めました。

 

――なるほどね。

レミ その後、映画の台本を読んで、映画の内容も自分の中に入れて形にしていきました。今回の映画が、高校生から篠田麻里子さんぐらいの年齢までの……トリンドル玲奈さんも私と同世代だし、少女から大人になる時期……いまでも自分の中には焦燥感があるし、いろいろ葛藤があるんですね。なので、リアルに共感できた部分はあって。やっぱりタイアップというか、こういうお話をいただくときでも、自分の心で共鳴できないと作りたくないんです。それで共鳴せずに、作品に迎合して作ったとしたらそれは意味がない、ソウルがないものだし、完全なる商業音楽になってしまうのはすごく嫌なんです。今回は共鳴できてよかった。何かに追われて、何かを追いかけているときが一番素晴らしいという、そのテーマ性に自分でもすごくハマって。死ぬまで青春でいたいんですよ、私は。でも青春ってなんだ?って思ったときに、それって年齢ではなくて、あきらめないことというか、満足しないことが青春だなって思っていて。なので満足しないということは、何かを必死に追い求めて駆けているし、何かから逃げているのかもしれないし。そういうことがすごく輝いているなって思うんです。60歳になっても、80歳になってもそういう魂を持ってる人って絶対にかっこいいな、私もそういう大人になりたいなって。そんな気持ちを自分なりに、リアルな鬼ごっことして捉えて作品にしたのがこの「リアル鬼ごっこ」です。アルバムにはラスト11曲目に収録しています。

 

――園子温監督の作品は以前から観られていたりしましたか?

レミ いままで観たことがなかったんです。亀本は観てたんですけどね。けっこうグロテスクな表現が多そうじゃないですか? そういう要素がなかなか苦手なもので……。きっかけがなかったんです。でも、あるときに園子温監督のWikipediaを読んだことがあって、一番最初の映画作品の名前が『俺は園子温だ!』という。そして、漫画雑誌の『ガロ』に連載もしていたという話もあって……それを見たときに「あ、私だ」と思ったんですよ(笑)。私も「私がGLIM SPANKYだ!」と思ってるし、『ガロ』も昔から読んでいたし。すごく共鳴することがあって。だからこそ同じベクトルに立って作品を作ってみたいなと思ったんですね。

 

――バンドの結成の流れでいうと、長野県から亀本さんは名古屋の大学に行かれて、レミさんは東京の大学に進学されたと。で、その後亀本さんは大学を入り直して東京に出てこられるわけですよね。レミさんにすごい才能を感じられていたのですか?

亀本 そうですね、もちろん。一緒にだったら絶対何かできるなと思っていたので。

レミ 私が受験を考えるときに電話して「私は東京に行くけど、一緒に来ない?」って言ったら「大学辞める!」って言ってくれて。幸運でしたね(笑)。その後は、ライブばっかりやってました。

 

――レッドクロスとかロフトとかで観ましたよ、ライブ。

レミ ええ~! 本当ですか。うれしいです。けっこうライブ終わった後も朝までいるタイプでした(笑)。なので、大学には遅刻して行っちゃったり、授業休んだりとかいろいろあったんですけど。実技だけはやっぱり大好きで(※進学したのは日芸。一限はだいたい英語とか勉強系なので、それはハネて(笑)。午後から行ってひたすら絵を描いて、デッサンして、絵の具やって……という感じで。友達もみんな夢が……デザイナーになりたい、絵本作家になりたい、イラストレーターになりたい、という子ばかりでした。お互い切磋琢磨できる環境にあったので、課題とかもあるし大変でしたけど、楽しかったです。いい大学だったなと思うし、去年中退したんですけど、中退してもずっとみんなとは関わりがあって、一ヶ月に一度ぐらいは連絡取り合って「いまの状況どう?」とか「新しい仕事が決まったよ!」とか、情報を共有してます。「いつか雑誌とかで対談できるといいね!」なんて話したりもして、すごく私の糧になっています。

 

――いまエンターテインメントでかっこいいものって、アートとしての価値をちゃんと理解しているかどうかって大きいと思うんですね。よい出会いの中から、新しい発想や作品が生まれてくるといいですね。

レミ そうですね、いろいろつながれたらいいなと思います。

 

M1. 焦燥

――それでは7月22日発売の1stフルアルバム『SUNRISE JOURNEY』の話を。ド頭からハマったんですけど、1曲目の「焦燥」は初期からあった曲なんですよね?

レミ この曲は本当に初期で、高校2年のときに作った曲ですね。この曲で『閃光ライオット』にも出ました。GLIM SPANKYとして活動していくきっかけになった曲ですね。

 

――いしわたり(淳治)さんがサウンド・プロデュースで参加されるなど、アレンジにも変化が起きました?

レミ そうですね、『閃光ライオット』に出たときのアレンジは、曲を作りたての自分の、できることを最大限やったアレンジだったので、どうしても「こうしたらいいのに!」とか、「ああしたらよかったのに!」など、いろいろ思うことがあったんです。ちょっといまの自分ではこの曲はできないなと思っていた時期もあって。でも、歌詞で伝えたいことは変わっていなくて。これをどうにか世間に伝えることはできないかと思ったときに、まずはすべてぶち壊そうと思って。弾き語りの状態にして、イチから構築し直しました。そこに淳治さんを加えて、朝から晩まで唸って唸って考えて、作っていきました。

 

――歌詞がほんとにすばらしくて。泣けてくるんですよね。そこにドラムがBOBOさんで、ベースにはハマ・オカモトさんが入ってくるとなると、またいろんな融合というか、広がりが生まれてますよね。

レミ ハマ君はやはり『閃光ライオット』でライバルというか、違うバンド(ズットズレテルズ)だったので、この曲を弾いてもらうのは驚きですよね。「ベーシストを誰にしよう?」と考えていたときに、昔から知っている人がいいなって思ったんです。初めてのレコーディングだったし。BOBOさんもすごくタイトで、BOBOさんが叩くと、なぜかルーツロック的なものをやっても新しく感じるみたいな感覚があって。そこは、あえてそういう要素を求めてお願いしましたね。

亀本 全体的にいえることだと思うんですけど、ヘッドフォンで聴いたときに、ドラムがめっちゃいいんですよ。ドラムがリズムも音もタイトなんで、そのおかげでギターもかっこよく聴こえるという。ありがたいですね。

 

M2. サンライズジャーニー

――2曲目が「サンライズジャーニー」。この曲がまたとても好きで。もともとシングルの中に入っていた曲ですよね?

レミ 「褒めろよ」のシングル盤に入っていた曲ですね。

 

――歌詞もやっぱり素晴らしくて。この曲はどのようにして生まれたんですか?

レミ これは『焦燥』をリリースしてすぐに作り始めたんです。いままでずっとバンドをやってきて、ライブハウスにお客さんが一人二人来れば良いほう、っていう中でやっていて。たとえば友達のバンドが先にデビューしたり、解散したり、他の事務所やレーベルが声をかけてくれたこともあったけど、それを全部バスに喩えたとするならば、すべて自分たちで自分たちの判断で見送ってきたわけです。で、ずっと私たちはバス停で自分たちの乗るバスを待っていたんですけど、なかなか来なくて。もちろん乗り込もうとすれば乗り込めるバスもたくさんあったんですけど、これは自分たちの乗りたいバスではないなっていうものばかりで。やっと今、いままで見送ったすべてのバスよりも一番人が乗り込みそうで、一番かっこよくて、一番遠くまでいきそうな、でっかいバスが自分たちの目の前にやってきて、それに乗り込んだところっていう気分なんです。もしかしたらつらい旅になるかもしれない、でこぼこの道、坂道もいっぱいあるかもしれないけど、すでに自分たちの前にいた乗客たちは、それさえも一緒に乗り越えてくれそうな人たちに思えて、だから乗り込んだというか。旅の途中でたくさん人が乗ってきて、でもそれもみんな収容できる、すごく魅力的なバスに思えたので。始まりを予感させるというか、自分たちのスタートでもあるし、自分たちのための朝がきて、これから始まるっていう思いを思いっきり込めて書きました。

 

――実は、誰もの生活や気持ちに当てはまるメッセージ性を持つ曲だと思いますね。

レミ ありがとうございます。人それぞれみんな始まりのときがあって、スタートのときがあると思うので。それぞれのテーマソングにして欲しいなって思っています。]

 

M3. 褒めろよ

――そして3曲目が「褒めろよ」。非常にアッパーな曲なんですけど、これはドラマのタイアップ曲だと思うんですけど、ハマりまくってるんだけど自由度は高いという不思議な感覚があって。何か制約などはあったんですか?

レミ 「褒めろよ」のときは、『太鼓持ちの達人』というドラマのお話と同時に書き下ろしで書いてくださいということで。まずミーティングに行ったんですよ。そうしたら「GLIM SPANKYの曲なら、なんでもいいよ!」と言われて(笑)。テンポも歌詞も曲調もね。だからこそ私たちも燃えるわけです(笑)。なんでもいいんだったら「もうすごいドラマに合ってる曲書いてやる!」って思って(笑)。

 

――そういうことなんだ。いやぁ、本当にかっこいい曲ですよね。

レミ それでこのドラマの内容が、『リアル鬼ごっこ』のときも言いましたけど、自分とすごくリンクしまして。相手を褒めて、ボスを倒して先に行くというか、上に登っていくというドラマだったので、実際私たちもメジャー・デビュー、スタートのとき、上に登っていきたいと思っている状況なので、まさに自分のことを書きましたって感じです。だからみんなにも「自分のことを歌ってる!」と思ってほしいし、年齢も関係なく、たとえば小学生が「明日クラス替えだ、どうしようこわいな!」って思ってるときにも聴いて自分を奮い立たせてほしいし、疲れて帰ってきたサラリーマンが寝る前に聴いて「よし明日も頑張るぞ!」って思ってほしいし。そうやってみんなの背中をぐいっと押せる一曲にしたいなと思って、このテンポ感だったりこの勢いある曲調に仕上げました。

 

M4. MIDNIGHT CIRCUS

――次の曲は「MIDNIGHT CIRCUS」。すごくGLIM SPANKYらしい、サイケデリック感が表現されているという。歌詞とサウンドが生み出す世界観が、最高な雰囲気を生み出しているんですよね。

レミ これは元々あった曲なんです。上京してすぐぐらいに書いていて、題名も「キャラバン」っていう全然違うものでした。歌詞もこんなに長くなくて、五行ぐらいの歌詞をずっと歌い続けるっていうものだったんですけど、こうやってもう一度出すっていうことになったときに、もともと自分が好きな幻想的な世界観をより明確に伝えたいなという思いがあって。歌詞も書き足して、サウンドもより風景が浮かぶようにというか、真夜中の幻想的な煙に巻かれたような雰囲気にしたいなと思ってアレンジを進めました。自分が持っている好きな世界……真夜中だったり、幻想文学だったり、絵画の世界だったり。そういうものを落とし込んだ作品ですね。

亀本 これは「キャラバン」から「MIDNIGHT CIRCUS」になったときにかなり作り変えました。より重厚感とか、夜の雰囲気だったり、全体的に作り直しましたね。頭の中で想像していたイメージは変わってないんですけど、ちょうどメジャー・デビューもして、いろいろ曲作りの方法を勉強してたんで。吸収したものは全部出すという感じで詰め込みましたね。

 

――余談なんですけど、ダイアモンド☆ユカイさんといういまはタレント活動もされてイメージが全然変わっちゃった人がいますが、80年代にRED WARRIORSっていうサイケ要素のあるバンドをやっていて。後期RED WARRIORSの持っていたサイケデリックな要素とGLIM SPANKY「MIDNIGHT CIRCUS」は、自分の中でつながったんですよね。

レミ え~! それは初めて言われました。RED WARRIORSって、ギターが木暮”shake”武彦さんですよね?

 

――そう。さすが詳しいですね。アルバム『Swingin’ Daze』あたりは、サイケで幻想的なかっこいい曲が多いんですよ。

亀本 和製ジミー・ペイジみたいな感じですよね。

レミ ぜひ聴いてみたいですね。

 

M5. 踊りに行こうぜ

――次が「踊りに行こうぜ」。これはずばりロックチューンという感じですね。

レミ そうですね。ハードでヘヴィな感じです。

亀本 ベースがくるりの佐藤征史さんなんですよ。

レミ 佐藤さんはみんなのアイドルみたいな感じで。場を和ませてくれて、楽しかったです。

 

――くるりとの接点はどんなところから?

レミ ディレクターの嶋津さんが提案してくれて。

亀本 「サンライズジャーニー」、「踊りに行こうぜ」、「夜が明けたら」の3曲を同じメンバーで録っているんですね。プロデューサーがいしわたり淳治さんで、ドラムがBOBOさん、ベースが佐藤さんというメンバーで録ったうちの一曲なんですけど。「サンライズジャーニー」を作ったときに、佐藤さんに弾いてほしいなという話をしていたんですよ。

 

――バンドが二人だからこそ、プレイヤーを都度ピックアップできるというのは面白いですよね。

レミ そうですね、二人だからこそできるスタイルですね。

 

M6. 夜が明けたら

――で、6曲目は「夜が明けたら」と。すごく優しさの感じられる曲調で。レミさんとしては、歌詞はどんな風に生まれてくるものなんですか? 言葉へのこだわりも半端じゃないですよね?

レミ そうですね……やっぱり感情が爆発したときにしか書けないですね(笑)。なので、感情が爆発すれば一瞬で書けます!

 

――おお~。

レミ だから大変です(笑)。タイプ的には一日一曲すぐ書けちゃう人と、一ヶ月に一曲しか書けない人ってなったときに、私は完全に一ヶ月に一曲しか書けない人で。どうしても自分が思ってることを書きたいし、きっと私が思ってることなら、他のみんなも思ってるはずって考えているんですね。たとえば「MIDNIGHT CIRCUS」みたいな、幻想的な世界観ももちろん表現したいんですけど、一方で「褒めろよ」だったり「夜が明けたら」みたいな、感情的な世界観も好きなんです。こういう曲は、心のタンクが溢れたときに書けます。この曲が書けたのもそんな時でした。

 

――GLIM SPANKYって、サブカルチャー的なセンスとメインストリーム的なセンス、実は両方書けるワケですもんね。

レミ そうですね、本当にそういうバランスでやっていきたいなと思ってます。

 

M7. さよなら僕の町

――7曲目は「さよなら僕の町」。これは一発録りに近い感じでしょうか? 臨場感を大事にしたバイノーラル録音をされていると、資料にはあるんですが。

亀本 そうですね。人形の頭にヘッドセットをつけて。

レミ これは高校三年のとき、大学に合格したときに書いた曲です。リアルに自分が東京に出ていくとき。いままで家族と暮らしていたけど、それも全部田舎に置いて東京に行かなきゃいけない、友達もいない、知らない街にいかなきゃいけないってときに、やっぱり寂しいという気持ちがあったんですけど、憧れも強かったので「やってやるぞ!」って思っていたんです。でも、そのときって「やってやる!」という思いと同じくらい「寂しいな……」という思いもあって。ああ「ママのご飯食べられなくなるのか……」とか。「この自然が見られなくなるのか……」と思うと、寂しい気持ちもあったんですけど、でもその「やってやる!」という、自分の気持ちを奮い立たせるには、その寂しさに鍵をかけるっていう。一聴すると切ない感じもあるんですけど、それよりも「鍵をかける!」というのは上に行くための前向きなことなんですね。すごくポジティブというか、希望に満ち溢れた曲だと思っていて。だからこそ当時の感情もいまも鮮明に思い出せるし、どれだけ当時の感情をこの曲に入れられるんだろうって考えたときに、一本一本スタジオでマイクを立てて防音室で録るよりは、地元の思い出の場所で録りたいと思って、高校の美術室で録音しました。

 

――それを実現しているってすごいですね。

亀本 そんなに手間なことではない気もするんですけどね。予算的には安いくらいかも。

 

――卒業された長野の高校で。

レミ いつも大学受験のデッサンを描いてた思い出の場所で完全一発録りで。雑音が入ってもいい、と思っていたので、外で野球部が部活していたんですけど、その音も入ってます。音楽に空気を閉じ込めるにはこの方法が一番かなと思って、このレコーディングを選びました。

 

M8. WONDER ALONE

――次が「WONDER ALONE」。サウンド・プロデュースが高田漣さんなんですね。この組み合わせも面白いなと……オーセンティックなんだけど、疾走感も出ているという。

レミ (高田漣氏の父親の)高田渡さんが大好きだったので、それは以前にもディレクターに話していて。で、サプライズ的に「高田漣さんどう?」って言われて「わぁ!」ってなって(笑)。細野晴臣さんも大好きなんで、細野バンドの皆さん……伊藤大地さんもそうだし、伊賀さんもそうだし。こういう曲だし、ばっちりだなと思ってやりました。

 

――となると、自分の中のカルチャーの蓄積でGLIM SPANKYをこういう風にしてみたい、ああいう風にしてみたい、というのがまだまだいろいろあるんじゃないですか?

レミ そうですね。やりたいことだらけなんです。

 

M9. ロルカ

――次が「ロルカ」。これもサウンド・プロデュースが高田漣さんですね。

レミ そうですね。

 

――柔らかなテイストで、漣さんらしさも表れていて。

レミ これも「さよなら僕の町」と同時に作ったんですけど、ちょうど高校を風邪で休んでいたときに作って。すごく具合が悪くて、夕方ぐらいに起き出して自分の部屋で曲を作っていたら、友達が“今日のお便り”とかを持ってきてくれたり。そういうのを見たときに「早く学校行きたいな!」と思って。だからこそ「明日もお互い元気でありますように」っていう歌詞を本当にそのまま書いたんですけど。そのころ「ロルカ」って詩集にハマっていて、その世界観と自分の部屋の夕暮れの世界観の切なさというか、感情が溢れているところがすごくリンクしていたんです。

 

M10.大人になったら

――で、10曲目が「大人になったら」。これがまたものすごいいい歌だなあと。最高ですね。

レミ ありがとうございます。

 

――GLIM SPANKYの根本というか、大事なところを歌っている曲なんじゃないかなと思ったのですが。

レミ そうですね。これも感情が大爆発して、一瞬のうちに書き上げた歌詞で。ちょうど大学三年で、就職活動の時期でみんなそれぞれ悩んでいたときに、大人もいろいろ言うし、いろんな考えもあるし、というときに、じゃあ自分にとっての就職とはなんだろう?というのも毎日考えていたんです。で、私は音楽でやっていきたいとずっと思っていたし、でも就職ってなると、会社に所属するってことが就職なのか、とか、企業で働くことが就職と呼ぶのか、って考えたときに、いやそれは違う、と思って。私の解釈する本当の意味での就職というのは、自分がやるべき使命感を持って、世間に提示だったり、貢献していったり、そういうのも含めて自分のやりたいこと、自分にしかできないことを還元するというか。そういうことが本当の意味での就職だなと思ったので、私は音楽が就職だと思っているし、一方で友達は「親があの会社に行けって言うから受けたら受かっちゃった、でも本当はやりたくないんだよね」、「でも給料はいいからいっか」って言っていたり。でもそれって本当の就職といえるんだろうか、そうやっていい企業に受かって喜んでるけど、でも「本当は自分はやりたくないんでしょ?」って思いがあったりとか……いろんな感情が渦巻いて。一方である人が「バンドなんて絶対無理だからやめろ!」って言ってきたり。その人はもともとすごく音楽が好きで、自分もずっと楽器をやっていた人なんですけど、叶わずにあきらめちゃった人で……「お前はわかっていない、明日死んでも後悔しないのか。俺は後悔しない。すべてをわかっているから!」みたいなことを言ってきて。でもこの世の全てを本当にわかっているんだったら、決してそんなことは言わないだろうと思ったんですね。音楽をやっている人がこれだけいて、これだけ素晴らしい仕事をしているのにそんなことを言うなんて、逆にお前は何もわかっていないと思ったんです。でも、そういう人も心の中ではまだ音楽をやりたいと思っているかもしれない。夢を自分で閉ざしている人たちに向けても、心の鍵をこじ開けて同じ気持ちにもう一回なろうよって言いたいし、逆に自分たちと同じ年齢の人や高校生や中学生、これから大人になっていく人たちにも聴いてほしい。本当にすべての年代の人たちに対して届けたい曲なんです。

 

――亀田誠治さんプロデュースなんですよね。一緒にやってみてどうでしたか?

レミ GLIM SPANKYだったらどういう音にするかっていうのをすごく細かくわかってくれて。ロックの中でもたくさん方向性はあるんですけど、すごく的確に「こういう音はどう?」と提示してくれて。レコーディング方法は「こういうのはどう?」とか。私たちにとってはすごく勉強にもなるし、逆に亀田さんのほうがキッズなんじゃないかっていうくらい純粋だったりするんですね。「どんどんハミ出していこう!」みたいなことをずっと言っていて。「GLIM SPANKYはハミ出していたほうがいいから!」と、音もそうしてもらったし、だけどハミ出してるだけじゃ駄目だから、ちゃんと世間に届くものを確立しながら、ハミ出しているという絶妙なバランスを取ってくれた方ですね。

亀本 この曲はそんなにアレンジが大きく変わったわけではないんですけど、やっぱり亀田さんがベースを弾くだけで変わりますね。メロディーをめっちゃ弾きまくるんですけど、他のメロディーを殺さないからすごいなと思いました。

 

――これでアルバム『SUNRISE JOURNEY』収録楽曲すべてのお話を伺いました。さらに、7月22日にジャニス・ジョプリンのカバー「MOVE OVER」のハイレゾ音源、29日には『SUNRISE JOURNEY』のハイレゾ音源もリリースされます。CDよりも約三倍密度が高い、24bitのハイレゾ高音質サウンドなんですけど、これまではそんなにハイレゾって楽しまれてはなかった?

レミ 全然聴かずに(笑)。プレイヤーを持っていませんでしたから。

亀本 よく電気屋で、それこそソニーのヘッドフォンとウォークマンで試聴できるところってあるじゃないですか? よく電気屋さんで聴いてました(笑)。

 

――ハイレゾは、スタジオで作っていたときに鳴っていた音に近いサウンドが、リスナー側でも楽しめるんですよね。GLIM SPANKYにぴったりの試聴スタイルかもしれないと思います。

レミ うん、本当に面白いなと思っていて。言ってしまえば全部レコーディングし終わったものを「完成しましたー!」って、みんなで卓の前で聴くのとたぶん似てるんだと思うので。それは迫力もあるし、より生々しく聴こえるので、もちろんヨレてる部分とかもはっきり聴こえるってのもあるけど(笑)、それも良しとしちゃうみたいな。それもその時の空気ですからね。

 

――そうですね、それも楽しさのひとつなんですよね。

レミ そんな風に聴いてもらえたら面白いな、もっと身近に、生々しい音楽を届けたいですね。

 

――GLIM SPANKYにとって「生々しさ」っていうのは大事なキーワードですもんね。

レミ そうですね。生々しいものはやっぱり心臓に響くと思ってるので。私がルーツミュージックを好きな理由も、生々しいからというのがあって。現代の音でも、何が好きかって考えたときに、今どきのミュージシャンでも、生々しさをちゃんと音源に込められるミュージシャンが好きなんです。だからその系譜というか、GLIM SPANKYも、空気感だったり、生々しさを大事にしているので、ハイレゾだとどんな反応がくるのか楽しみです。