RAMMELLSインタビュー ブラックミュージックを基軸に様々なルーツを感じさせる期待のバンドがファーストアルバムをリリース!
いま、ジャズやヒップホップなど“黒い”グルーヴを基調とする音楽に世界の注目が集まっている。ビッグネームでいえば先日新作を発表したばかりのロバート・グラスパー。8年ぶりのアルバムを発表した宇多田ヒカルも日本におけるその先駆け的存在だし、若手バンドでも今年のフェスを席巻したSuchmosを筆頭にその波は静かな広がりを見せている。そんな時代の流れともシンクロするニューカマーが今回ご紹介するRAMMELLSだ(作品の購入はこちら)。SuchmosのボーカルYONCEとバンドを組んでいたというプロフィールを持つギターの真田徹によって集められたメンバーは、全員が音大出身で作曲にも携わるプレイヤー。ボーカル黒田秋子の歌唱はスキャット的ともいえる独自のもので、「RAMMELLSらしい」としか言えない独自のフィーリングを生み出すのに一役買っている。今回のインタビューでは初めてのアルバム作品『natural high』の制作背景に迫るとともに、自身のルーツを構成する名盤についても語ってもらった。バンドを、音楽を心から楽しんでいるこの4人のことをぜひ知ってほしい。
取材・文/mora readings編集部
半年来の付き合いである安場氏をインタビュアーに、終始なごやかな雰囲気で取材は行われた。
(イラスト:牧野良幸)
■結成のいきさつ
――デビューするタイミングでは初のインタビューということで。定番ですが……RAMMELLS(ラメルズ)というバンド名の由来を教えてください。
村山 アメリカのヒップホップの重鎮であるラメルジーという方から取りました。
――その人のことが大好きなの?
村山 ……未だによく知らないです。
(一同笑)
村山 雑誌を開いてたらその人が特集されてて、グラフィティアートとかもやってて。これでいいんじゃないかっていう。
――それはバンドの名前を決めようとして(雑誌を)開いて。
黒田 そう。決めるときに雑誌をたまたま見てて、そのときにグラフィティアーティストの特集みたいな雑誌だったんですけど、その中に明らかに違う、圧倒的な人がいて、それがラメルジーだったんですよね。全員で「ヤバくねえこいつ?」ってなって、じゃあこれでいっかっていう(笑)
――(笑) 全員一致で。
黒田 そうです。……そうだよね?
村山 そうだよ。
――それは何月ぐらいの話なんだろう?
村山 10月ぐらいですかね。
黒田 ライブ前だから。
――いよいよライブハウスに出るってなって……
真田 バンド組みましたって言うのにバンド名がねえ!って言って。
――その初ライブは12月。結成は8月末ということになるんですね。結成はどういう経緯だったんですか?
真田 僕が前のバンド(SuchmosのYONCEらと組んでいたOLD JOE)を解散することになって……解散する前から黒田に声はかけていたんですけど、それで解散したからじゃあちょっとなんか新しいこと始めようって感じですね。
――じゃあ前から考えてはいたけれども、ちゃんと解散してからメンバーを集め始めたという感じなんですね。
真田 そうですね。
――黒田さんが誘われて、その後村山さんや彦坂さんが入る経緯というのは。
真田 ベースとドラムがいないって言って。「ちょっとチリポン(村山)暇なんじゃない?」って(笑) 一回サポートで呼んでみようかって話になったんですけど。そのあと探すのめんどくさいからメンバーになってよって言って。で、入りましたね(笑)
――そのときはドラムはいなかった?
真田 いなかったですね。ドラムは……一番大変でしたね。半年か、もっとかかりましたね。
黒田 いろんな人にやってもらったもんね。
真田 5人くらい叩いたんじゃないですかね。
――じゃあその時点でRAMMELLSをどういうバンドにしていこうみたいな構想というか、そういうのはあったんですか?
真田 そうですね……僕は女性ボーカルというか、女性とバンドをやるのが初めてだったんで、女性ボーカルを活かしつつバカ売れするっていう目標でRAMMELLSは始めましたね。
黒田 (笑) へえ~。
――バカ売れするっていうのは、お客さんを意識したバンドにしたいなっていう?
真田 そうですね。
――真田さんは別のバンドをやってたということなんですけど、黒田さんのバンド歴というのは?
黒田 ないです。高校の時ちょっとやってたくらいで。
――初めてのバンドに近いと。誘われてバンドをすぐやろうっていうのにピンときたんですか?
黒田 うん。なんか……やろうってなって(笑)
――いまのスタイル……キーボード弾きながらみたいなのも最初から決まっていたんですか?
黒田 なんか演奏しながら(歌う)ってのは聞いてたかな。
村山 最初はギター弾いてたんですよ。
黒田 ギター弾いたりピアノ弾いたり……迷ったんですけど。
真田 ギターかピアノどっちかをやってくれって言って、曲によって持ち替えるのでもいいんじゃないかって言ったんですけど。でもどちらかというとキーボードのほうが弾けるということで。なんかそうなりましたね。
――なるほど。で、村山さんはほぼ同時に加入したということですが、それまでのバンド歴は?
村山 バンド歴は……まあほとんどないに等しいんですけども、大学生のときに2年間くらいファンクバンドをやってました。
――じゃあまるっきり初めてというわけではないけれども、という。
村山 あとはもうひとつ、プログレッシヴロックバンドをやってたんですけど、それはひたすら音源を作るバンドで。
――じゃあライブ活動を積極的にするという意味では初めてという。
村山 ここまで活発な活動(をするバンド)は初めてですね。
――最初のとっかかりもライブなんですか。まずライブをやろうという。
真田 ライブするために音源を作ろうみたいな感じです、最初は。
――その最初に作った音源というのは?
真田 12月のライブから、「Night Cap」っていう3曲入りの会場限定のものを作って。それはもう売り切れちゃいましたね、あっという間に。
――それが最初だと。
黒田 挨拶代わりというか。
真田 最初事務所とかと契約するまでにやっぱ収入があったほうがいいじゃないですか、
黒田 あったほうがわかりやすいなって言って。YouTubeとかも用意して。
真田 名刺としての音源ですね。
――作ってみて、周りの反響とかはいかがでした?
真田 もう絶賛ですね!(笑) YouTubeが特にデカかったかなっていう感じがします。
――それもライブをやる前に?
真田 11月とかなので、そうですね。
――それを聴いてライブハウスからも問い合わせがあったりとか。
真田 はい。もうガンガンありましたね。
――そんな中でCINRA.NETさんの取材もありましたよね。確かオーディションがあったとかで。
真田 そうそう、この人(村山)が勝手に出しちゃって(笑) そしたら通っちゃって。
村山 普通にバイト先の働いてるときに電話かかってきて、「通過しました」って。で、「すみませんちょっとトイレ行きます」って言ってトイレの中で電話してました。
――それが何月ぐらいの話?
村山 12月かな。年末くらい。
真田 そうそう、ライブ始めてすぐ……まだ2本くらいしかやってないときにそういうオーディションとか通っちゃったから、やっぱかっけぇんだなって思って(笑)
――それじゃだいぶトントン拍子というか。その次にしようと思ったことっていうのは、やっぱりライブをどんどんやっていこうってことだったんですか?
真田 そうですね。あと4月までに正式なドラマーを入れることがまず目標で。ちょっと遅れましたが6月ぐらいからだっけ?
彦坂 確か。
村山 サポートとしては2月ぐらいから。
真田 まあ結果オーライということでね。
――なるほど、では彦坂さんのバンド歴というのも教えてもらえますか?
彦坂 僕も全然やってないほうなんですけど。ドラム始めた中学校のときと、あと高校生の時に大学生とバンド組んでて。そのときのベースの人がいまyEAN(ヤーン)ってバンドをやってる人ですね。
――真田さん以外バンド文化ってのを知らずにバンドをやっているというのは、珍しいと言えば珍しいかもしれないですね。たぶん僕がみんなに会ったのは5月だったと思うんですけど、その頃には音源を作るって話がもうあったと思うんですよね。いつ頃からそういう発想があったのかなと。
真田 もう去年の8月ぐらいから決めてたよね? 結成したぐらいから最初の一年ぐらい予定は立ててて。それに向かって俺がすげー頑張るみたいな。8月ぐらいから「じゃあ来年の6月アルバムね」みたいな話はしてて。まだ2人だけのときに。その6月に録るやつを、できれば全国流通が目標だったんですけど、まあどこにも引っかからなくてもライブ会場限定で出すつもりではいました。だからレコーディングのスタジオは先に3月ぐらいには押さえてて。
■アルバムの制作について
――最初から出口は決めていたと。で、今回の『natural high』……当時はタイトルは決まってなかったと思いますが、作るにあたってどういう構想があったのか教えてもらってもいいですか。
黒田 構想……は特に決めずに、いい曲作って、いい歌を歌うっていう、それだけです(笑)
真田 おお、かっこいい! まあ、デビュー盤だけど、この一年のベストみたいな感じ。
――ジャンル感というのはどういう意識をして作ったんですか? それとも、意識してない?
真田 意識してないですね。
彦坂 でも僕がサポートしだした時は、もっとバラバラな感じがしてたんですけど。
真田 ああ、それは確かに。
彦坂 もっと統一感なくて、全然曲ごとに違って。「このバンドはどこに向かっていくんだろう?」みたいな風にも思ってたんですけど(笑)、やってくうちに結構いい感じに……共通項が曲ごとに見つかってきたというか。そこから何か「ああ、いいかもな」って思い始めましたね。
――共通項って何なんですかね?
彦坂 なんだろう? やっぱメロディの普通じゃない感じと、僕らリズム隊はけっこうブラックミュージックが好きなんで、そういうのをちょっと意識してて、でも真田君はやっぱロックギタリストなんで。
真田 まあ、そうだね。
彦坂 みんなそういう軸を持ちながら作っていって、今みたいになったというか。
――いろんな感性をぶつけて、最初は噛み合っていなかったのが合わさってきて現在のRAMMELLSになっている、という。それはスタジオに入ってセッションすることによって組み上がっていくものなんですか?
真田 そうですね、やっぱ時間がかかることだとは思うんですけど。12月にライブを始めて……40本弱くらいだと思うんですけど。(自分以外の)3人ともあんまりバンドマンじゃなかったので、早くライブハウスに慣れさせたいって考えがありまして。でもバンドやってない人とやるっていうのは逆に武器になるなとは思ってて。バンドマンっぽすぎるのもちょっとヤなんで……
――「ライブバンドです!」みたいな“匂い”というか。
真田 そうですね、そういう“匂い”がないんですよね、みんな。俺はどうか知らないですけど(笑)
――それを逆にいうと、曲は作るんだけどライブをとにかくどんどんやっていくみたいなことは構想としてはあったと。
真田 そうですね。
――じゃあいよいよそうやってライブをやりながらレコーディングを行ったわけですけど、進め方はどういう感じだったんですか? もうアレンジを全部詰めて、ライブでも試した状態で臨んだのか。
彦坂 でもいろいろね、新たにイントロを付けたりとか。
村山 そうだね……「Holiday」はイントロ付けたりはしたけど、アレンジに関してはある程度出来上がってなかった?
真田 全部ライブでやってた曲だから。作ったときとはリハとかライブやってる中で変わっちゃうよね。それが一番いいんじゃないかなと思いますし。
――曲ができました、メロがあります、歌詞はまだかもしれないけどという中でリハスタに入って、ライブをやるという流れの中でほぼアレンジができちゃうと。
真田 そうですね、ライブ何回かやって「ここやっぱこうしよう」みたいなのは多々あります。
黒田 「Holiday」とかもそうだけど、プリプロの時にイントロ付けたりさ、超ギリギリまでやってたよね。
真田 (レコーディングの)数日前にイントロとアウトロ付けましたね(笑)
――いろんなバンドのいろんなバンドのやり方がありますけど、RAMMELLSは机の上で作ってないというか。
真田 でもやっぱみんな音大生(出身)だから、机の上でも作れるよね?……どっちもいけます、うん(笑)
彦坂 「Tower」とかはライブやるごとに変えてましたね。曲の長さとか、もうどうしてもいろいろ気になっちゃって。ライブ何本かやってやっと落ち着いたみたいな。
――ではアレンジするときに何か気を配ってることってあります?
真田 うーん、最近ギターをどこまで入れるかみたいなのは気を遣ってるかな?
彦坂 最初にアキさん(黒田)が曲作ったりとかして、それをチリポンさん(村山)に投げて、打ち込みのデモを作るんですよね、でもギターとかはほとんど真田君に任せるというか。
――分業じゃないけど、リズム隊だったらリズム隊で、自分の持ち分で考えて、楽器を乗っけていくという感じなんですか?
彦坂 ドラムはもう、チリポンさんがほとんど打ち込んじゃいますね(笑)
村山 大ざっぱにね。ベースだから、やっぱドラムが鳴ってないとベース入れらんないみたいな。
彦坂 デモの段階でけっこうドラムは決まりますね、だから。
――レコーディングの雰囲気はどうでした?
真田 5日間録りましたけど、楽しかったよね。
黒田 すごい楽しかった。
真田 俺、いままでのレコーディングで一番楽しかったです。
――そこであんまり悩みはないというか。
真田 やりたいことをやるだけですから。
彦坂 レコーディングはけっこうどんどん進んでいって。リズムは2日で、1曲1時間ちょいみたいな。ハードっちゃハードでしたね(笑)
――そういう風にやってるプロの人はあんまりいないと思うけど。
真田 いやあでも、甘やかしたくないなと思ったんですよね。何なら2日間で一日6時間にして。
彦坂 休みなく録っていったんです。一日の最後の曲とかもうフラフラで(笑)
真田 でもそれはリズム隊で進める順番決めていいって言ったからね?
黒田 ケンカしないで!(笑)
彦坂 (笑) 僕はレコーディングはいままでサポートとかでもいろいろやってきたんですけど、それと比べるとだいぶペースは速いほうでしたね。
■収録楽曲について
――じゃあちょっと視点を変えて、歌詞の話をすると、全体の世界観とかってあるんですか?
黒田 うーん。自分が経験してないことは書けないから……
――そうなんですね、意外な気もします。歌詞を書くのは速いんですか?
黒田 いや、めっちゃ時間書けてます。曲によるんですけど……「Holiday」とかはすぐできたんです。
――典型的なJ-POPの歌詞とはずいぶんと違うと思うんだけど、メロディに寄り添ってるということなのかな?
黒田 そうですね。言葉を優先しつつ、あとは自分の発音とかで、うまくハマるようにやっていくという感じで。
――黒田さんの歌詞……というか歌はみなさんどう思ってるんですか?
彦坂 歌詞は……まあ不思議ちゃんなのかなって思いますけど(笑) 歌は、メロディの付いてるラップみたいに聴こえますね。音程が付いてるラップみたいな。けっこう言葉詰めてて。韻も踏むときあるし。ディアンジェロもそうだと思うんですけど、スキャットとかに歌詞乗っけてるみたいな。
――即興性が高く聴こえるっていう。ディアンジェロみたいだっていうのは僕も他の人から聞いたことあります。
黒田 AメロBメロがあって、サビが一番よく聴こえるとかっていうのはしたくないなと思ってて。Aメロもよくて、Bメロもよくて、サビもよくてって言われるメロがいいなって、それはずっと曲作るときに思ってます。
彦坂 「Night Cap」とか、どこがサビかよくわかんないですからね。
――日本のミュージシャンはあんまりそういう風に作らないですからね。タイトルとかはどういう感じなんですか?
黒田 タイトルは……意外とあっさり決めちゃうよね。曲ができて、歌詞もできて、一番最後に付けるんですけど。
村山 すごい適当ですね。タイトルは。
――じゃあ短く1曲ずつ紹介してみましょうか。まずは「Holiday」から。
真田 (座ってる)順番に行きますか。
黒田 じゃあ私から。「Holiday」は、ライブのMCでも言ってるんですけど、昼間からお酒飲んで、髪の毛ボサボサですごくだらしなくて、でも絵になる女性の休日の曲です(笑)
真田 2曲目は「Anna」か。この曲は歌詞がなくて、スキャットではないですけど、まあ謎の言語で歌ってる曲なんですけど。(ボーカル以外の)俺たち3人はインストっていう感じの要素があるなと。
――歌はあるけど、言葉は乗ってないという。
真田 声は乗っかってるけどインストって言っちゃっていい曲ですね。これも結成当初からある曲です。あと後半のギターソロがやっぱ、「こいつうるさいギターだけじゃないんだ!」っていうのがわかっちゃうよねぇ(笑)
黒田 はいはい(笑) じゃあ次~。
――次がさっきも話に出ていた「Tower」ですね。
村山 「Tower」は……けっこう俺は好きな曲で……展開が好きです。けっこうブラックな色が強めで。歌メロもちょっとラップみたいな感じのところがあったりして、完全に俺の趣味が反映されたような曲です。
――次が「Banaffee」。
彦坂 「Banaffee」は、ビートがけっこうヒップホップの訛りというか、それを意識してるので、たぶんそういうのに耐性ない人は「なんだこれ?」みたいな。ドラムずれてるし気持ち悪いって思うかもしれないですけど、ちゃんと意識してやってるんで。不思議な曲ですね。変拍子ですし。
――つづいて「Night Cap」。
黒田 「Night Cap」は、酔っ払いの曲です。以上(笑)
彦坂 また酒……
真田 そして次の「Black Dot」は……疾走感のある曲です。
黒田 ほんとに?(笑)
村山 雑だな~。
――次が最後の曲「Blue」ですね。
村山 これはテツ(真田)が言ったほうがいいんじゃない?
真田 「Blue」は……僕が一年半以上前に作ったんですけど。
黒田 へぇ、そうだったんだ。
真田 春に家でアコギ弾いてたら、ああいいなって思うリフ……っていうよりは最初のギター(のフレーズ)が出てきて、歌乗せたら……すごいいい曲になりました。
黒田 はははは(笑)
真田 あとギターソロが長いです! ライブではずっと最後にやってる曲です。
黒田 そうだね。早く「Blue」以外の最後の曲を作れるといいですね。
真田 以上、全7曲でした!
■今後の抱負など
――ありがとうございます(笑) そして19日、世の中に出ていくと。これからどういうバンドに、どういう風になっていきたいとかそういうのはあるのかな。
彦坂 やっぱりかっこよく。なんか難しいことをしてたとしても、複雑に聴こえない……
黒田 難しいことしてるかな?
彦坂 してないかもしれないですけど(笑) 真田君とかもよく言ってますけど、難しいことしてても、かっこよくないと意味ないんで。
――かっこいいってのはどういうことなのかな?
彦坂 やっぱ感覚で聴いてかっこいいというか。そこはシンプルに、パッと聴いてかっこいいかかっこよくないかで僕たちも判断してるんで。曲作るときとかも。
真田 そうだね。
彦坂 あんまジャンル感とかも意識しないで、パッと聴いて「あ、かっこいいな」って思えるバンドになりたいなと。
――そこは妥協しないでと。じゃあツアーも発表されましたけど、これからのRAMMELLSにとってのライブっていうのはどういう感じになっていきそうですか?
真田 音源が駄目だとかってわけじゃないんですけど、たぶんみんなやっぱりライブを一番自分たちの売りになる部分にしていきたいとは思ってるんですよ。そのために……音源買っていいなって思ってライブに来た人が、「ライブのほうがいいじゃん」って言ってくれることが理想ですね。
――なるほど。ツアーでは初めて全国を回るということにもなるので、どういう感じにしたいという意気込みなどあれば。
真田 そうですね……まだ自分たちが何も知られてない状態なので。音源買ってくれた人がきてくれるんだと思うんですけど。いい意味で期待を裏切れるように、頑張っていきたいと思います!
――長期的な展望としては……来年とか。
村山 来年かあ。うーん……オンリーワンになりたいっていうのが目標ですかね。
真田 俺はね、RED MARQUEEだね! フジロック!
黒田 あ~、そうですね。フェスに出たいです。
真田 違う違う、フジロックに出たい。他はいい。(笑)
――(笑) じゃあここから雑談風になりますけど、RAMMELLSからのおすすめの一枚というのを。
黒田 私はマリーナ・ショウの『フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?』。
――これはどのあたりが?
黒田 まずアルバムのタイトルが最高。あとジャケが、私本人が写ってるのってあんま好きじゃないんですけど、(これは)めっちゃかっこよくて。中身ももちろんかっこいいんですけど、そのかっこいい女性が1曲すごい未練タラタラな曲が入ってたりとかして。いいなって思いますね。
――じゃあ、真田さんは。
真田 うーん……俺はスティーリー・ダンの『彩(エイジャ)』っていう。
――名盤だ。
真田 音楽オタクとか楽器やってる人はみんな知ってるアルバムだと思うんですけど。なんかやっぱすごいんですよね。
――聴いたことなかったら聴けと。
真田 そうですね。まず聴いたほうがいい。一番完璧に近いなって思いますね、音楽として。完璧な音楽なんてないんですけど、このアルバムは99点ぐらいじゃないかなって思いますよね、ほんとに。
――ブラックミュージックもそうだし、いろんな音楽を器に入れて全然世の中にないものができてるって意味では、RAMMELLSが目指しているものにも通ずるところがあるかもしれませんね。じゃあ村山さんは。
村山 えっと……エリカ・バドゥの『ライブ』っていうアルバムですね。俺のブラックミュージックが好きになった一番最初の一枚で、グルーヴもすごいし、エリカ・バドゥの人間味がすごい伝わる一枚だと思いますね。
――彦坂さんは。
彦坂 僕は……ザ・スティーブ・マックイーンズの『シー・モンスター』っていう……(CDを取り出す)
黒田 なんで持ってきたの(笑)
彦坂 だってたぶん誰も知らないから。去年サマソニに来た、シンガポールのバンドなんですけど。
――へえ、シンガポール。
彦坂 ええ。シンガポールって英語圏なんで、ボーカルが英語ペラペラで、発音もすごくよくて。ドラムは二十歳なんですけど、ほんとに上手くて。いわゆる名盤ももちろん好きなんですけど、RAMMELLSに興味持ってくれた人がこれを聴いたらけっこうピンとくるんじゃないかなと。
――ありがとうございます。ちなみに、moraっていうのはハイレゾがすごく好調で。今回『natural high』もハイレゾで出るんですけど、ハイレゾに関して何かありますか?
彦坂 ここ数年でハイレゾってワードがあふれてきていて、僕の好きなアーティストとかもどんどん音源を出してて興味があったので、すごくうれしいです。
――チリポンは何かある?
村山 そうですね……録り音を家でもクリアにそのまま聴こえるっていう技術を、RAMMELLSでも味わっていただければと。
――真田さんは?
真田 まだ聴ける環境がない人もいっぱいいると思うんですけど。正直、特に僕たちの世代はあんまり浸透してはないんですが、マスタリングスタジオで聴いたときのというか、全アーティストなるべくいい音で聴いてほしいと思っていると思うんで。ハイレゾでもぜひ聴いてください。
黒田 そうですね……私もハイレゾってあんまり知らなかったんですけど、もっと広まるといいなと思います。当たり前になるといいなと。
――では、最後に一言。
黒田 初めましての方も、この一年で出会ってきたお世話になった方も、みんなに聴いていただきたい一枚になってるので、ぜひ先ずは聴いてもらって……ツアーもあるから、近くの方は来ていただいて。これからも、2回、3回とツアーで各地に行けるようにがんばります。
RAMMELLS プロフィール
ギターの真田徹がSuchmosのYONCEらと組んでいたOLD JOEの解散後、自分の求める最高の音楽を実現させるために大学時代の先輩である黒田秋子(Vo, Key)、村山努(B)を誘って2015年8月に結成。2016年には彦坂玄をドラムに迎え、ライブ活動を本格的にスタート。変幻自在のボーカルで表現される中毒性たっぷりのメロディーと個性溢れるリリックに、ロック、ファンク、ソウル、ジャズ、シューゲイザーなど様々な音楽性が絡み合った新世代オルタネイティブサウンドを響かせる。
RAMMELLS(@RAMMELLS_JPN) | Twitter